
今回は芝居の話をガッツリさせて頂きます。以前に、『台本を読むには技術がいる』という記事を載せました。何故このような話をブログでご紹介したかという経緯からお話しさせていただきます。
私は今、自劇団の俳優養成学校や他団体のワークショップ、他劇団の演出などを行っております。この活動の共通する課題が・・・
台本の読み方
実は台本の読み方が同じようになっていて、セリフから感情を作る読み方をされています。また、お教えされている方の中にもそういう風に指導されているのを今までも見てきて、間違った台本の読み方をされていると率直に感じたことが何度かありました。例えば・・・
「このセリフは怒っている台詞だから、もっと怒らなければいけないけど、全然怒ってるように見えない」
というようなダメ出しが結構見受けられるのです。こうすると、指摘された人は「もっと怒らなきゃ!」となって、頑張ってしまうのですが、そのやり方では上手くいかないのです。この何故上手くいかないのかをご理解いただけていない指導者の方が多く、その影響で後進の方もそのような上手くいかない方法で演技を作ってしまっているように思えたのです。
こういうことを申し上げるととっても偉そうに何言ってるんだと思われるかもしれませんが、これをご覧になられている方は、自分の知識を広げられようとされている方だと信じておりますので、少しだけ私の変な理屈にお付き合い願えれば幸いです(笑)
まず、私の若い頃の話ですが、劇団の養成所に入りつつ、内緒でたくさんのワークショップにも参加していました(笑)当時所属していた劇団は禁止こそはされてませんが「変な癖をつけてもらいたくないから」という理由からか外でお芝居をするのは良くないというような空気があったので、劇団の活動以外の日に都合をつけて行ってたのです。その時に思ったのが、「演技の手法をお教えするところは多いけど、台本の読み方についてお教えしているところは少ないよな」と思ったのです。
まぁ、私がたまたまそういうワークショップにしか行ってなかったからかもしれませんが、ただ、今のお芝居の現状を見ると殆どの方が台本の読み方は個人任せで、プロでも「それはちょっとおかしいよね?」っていう読み方をされている人も結構いますので、多分、台本の読み方をお教えしているところは少ないのだとは思います(笑)
そして、よく聞くのが演出が俳優に
「もっと台本を読んできなさい」
と言われるのを稽古でよく見ますが、よく読んだら分かるという感覚で思われているのであれば、それはそれで問題だとも思っています。それはどうしてかというと・・・
台本を読むには技術がいるので根性論で片付けてはいけない
普通の人には見えないものが『技術』なのです。素人がよく読むだけで分かるようなものであれば、それに価値があるでしょうか。また、よく読むだけで出来るのであればそれに価値を見出せるのでしょうか。職人の技術は見習いから始まります。『見て習うのです』最初は見ても分からない。だから職人の世界は5~10年で一人前だと言われる世界が多いのではないでしょうか。俳優も演技という技術職なのです。
それが良く読んだだけで分かるようなものであるならば、なんだか俳優をやっている自分としては・・・
悲しい(笑)
『そんなに簡単にできると思われているんだ』。ですから、
俳優の地位向上を掲げている私としてはこの状況を何とか打破したい(笑)
そういう思いから、この台本の読み方についてお話しさせていただく思った次第でございます。ですので、今回は具体的に俳優の台本を読む技術について詳しくお話しをさせて頂きます。これを読んでいただけて、『俳優って凄いことしてるんだ!』と思っていただければ本望です!!
目次 |
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1. 劇的ということ |
2. イメージが湧いても辻褄が合わなければ意味がない |
3. 台本を読むと見えなくなるもの |
それでは次のページでご説明いたします。