相手をより一段と安心させる話の聞き方(応用編)

息を止めて、一点を見つめて聞いている時に、相手の話に展開があれば、それに合わせて別の違うところに目をやり、それからまた一点を見つめる。これは、相手にとってとっても嬉しさ倍増の仕草なのです(笑)

真剣に聞いてもらえてるだけではなく、自分の話に想いを巡らせてくれている‼

と感じるのです。こうして、話の展開ごとに目線を変えて一点を見つめている仕草を見ると

相手はもう大満足ですね‼(笑)

仮に理解してもらえなくても、真剣に話を聞き考えて下さったという誠意が見えるので、結果がどうであれ、満足できるのです。ですから、例えば、断らなければいけないと最初から分かっている話であっても、このように相手に対してお話を聞いてあげると、断られたとしても、

悪い気はしない

のです。これが本来の丁重な断り方ですね。人間関係はとても大切です。断り方ひとつで、関係の糸が切れてしまう場合は結構あります。その時に、真剣に聞いてお断りするという『おもてなし』の精神は必要ですよね。ただ、これを聞いた時に、

そんなテクニックで聞いてるふりをしてるなんて相手に失礼じゃないですか?

と思われる方もいるかもしれませんね(笑) しかしこのテクニック! 実は何も相手に見せるためのものだけではないのです。これが一番申し上げたかったことですが、こういう仕草、動作をすることで

『本当に真剣に話がすっと入ってくるようになる』

のです。私たちは、他人の話を真剣に行く時、意識的に集中して聞きますが、例え集中しても聞けない時は聞けない時ってありますよね。

例えば、同じ話を何回もされると、何回もされているので、「ああ、またこの話って」なるのですね(笑) そうすると、いつもとは少し違ったニュアンスの言葉を入れられても、それを気に留めることもなくスルーすることって結構あるのです(笑) こういう時に限って、聞いてなかったことが仇になり叱られてしまうってことは、人生の中で何度か皆様もご経験されていると思います。

本人は真剣に聞こうと思ってます‼でも人間ですから、抜ける時は抜ける‼(笑)

ですから、強い意識で集中しようと思っても気合いだと言っても、出来ないことは出来ないこともあるのですね。でも、この先ほどの動作を実践して慣れてくると、これが不思議と自然と他人の話をしっかりと聞けるとようになるのです。

これは、身体の動作から無意識に動かしている能力なのです。こうすれば、自然と、普通に相手の内容が入ってきやすくなるのです。しかし、それは一回や二回の練習ではなりません。身体動作で何回も反復して、そうして得られた段々と理解していく流れと身体の動きがマッチングしていくような感覚がそうさせているように思います。

演技入門の話ではすでになくなっているくらい難しい内容になりましたね(笑) ですから演技というのはこう思ってください。

演技とは観客に見せるだけの技術だけではなく、自分のあらゆる能力を引き出す技術でもある

これも一番言いたかったのです(笑)

今回は視線の話を一つだけしか出しませんでしたが、他にもたくさんあるのです。また、舞台は大小さまざまですのので、息を止めて一点を見るだけという演技では、大きい劇場では通用しませんので、そのやり方にも様々な方法はあります。

例えば、大きな劇場で、演じるのであれば、敢えて最初に動きをつけて『止まった』という動作を際立たせるといった方法を取ります。そうすることで、遠くからご覧になられている観客にも、『止まっているということを印象付ける』手法もあるのです。息も止めていると分かるように、その前にしっかりと息を吸っている動作をみせ、それから止めると息を止めているのが表現が安易に伝わるのです。

劇場ではこういったテクニックを多様に使いますが、まずは普段の生活でもこういう練習をしていますと他人の話をしっかりと聞けて、なおかつ誰からも慕われる素晴らしい技術になりますので、是非お試し頂ければと思います。

最後までご覧くださいましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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