今回は演技プランの話。ガッツリ芝居の話ではありますが…

多くの方へ演劇の魅力を身近に感じていただきたく思っておりますので、

演劇をしたことがない方でも分かりやすく、またお役に立てるお話になればと進めさせていただきます。

ではさっそく、

今回は、俳優の『演技プラン』についてですが、

この演技プランとは何ぞや??

この言葉…お芝居をされている方もあまり聞きなれない言葉かもしれませんね。

簡単に言うと、

俳優がどのように演技を組み立ててお客さんにお見せするか?

この戦略のことを演技プランと私は申しております。

大体、お察しの通りですよね(笑)

演技については俳優の方々それぞれのアプローチがあるので、

今回の話はこういう話もあるよという程度で聞いていただければと思うのですが、

私自身はこの演技プランのおかげで、かなり現場で得をしていまして、

出来ましたら、この方法を是非お試しいただきたく思っております。

さて、

何故演技プランがあった方がお得かというと、それは…

演出家を驚かせることが出来るからです。

まぁ、中には全然驚かない人もいますが(笑)

驚く確率が上がるというお話です。

ではどうして、演出家を驚かせた方がお得なのかというと、

「稽古の主導権を握りやすくするため」

ということです。

…???って感じですよね(笑)

分かります(笑)

これには深~い理由があります。

私の今まで経験してきた演劇を作っている現場は、

「演出が正しい」

という風潮がプロでもアマでも多くあり、

「演出の言葉は絶対!」

という空気があるのですね。

このような空気で稽古してる時、

俳優陣はあまり稽古が楽しそうに見えないのです。

そりゃ、稽古は真剣にやるもんだ!

これだけ言うと、お𠮟りを受けそうですが、

私が申し上げたいことは、

稽古を真剣に取り組んでいても楽しんでいないように見える俳優が意外に多く、これは少し問題のように思えるのです。

「それは仕事だから仕方がないよ」

そう思われる方もおられますが、

仕事だからつまらないという考えで片付けて良いのだろうか??

それよりも、強く感じるのは、

真剣に取り組んでいても楽しんでいないように見える俳優は「やらされている」

という感じにどうしても見えてしまうのですね。

みんな俳優がやりたかったからしているはずなのに、いつの間にか「やらされてる」っておかしいと思ったのです。

ですので、演出が正しいという雰囲気を止めして、

「こういう見せ方も有りだよね」っていう

俳優の方から「目に見える形」で演出に提案し、

演出が「それいいかも」っていう風な

お互いが作り合っているという稽古場環境にしたいわけです。

この時に、俳優陣にも主導権が握れば、演出も俳優もお互いが意見を聞き合う環境になって双方が楽しくなるということです。

「そんなの当り前じゃないか」

そう思われる方、ごもっともです(笑)

でも、この当たり前が出来ていない環境は本当に多いのです。

会社でも、仕事を楽しんでいる人は時間があっという間に過ぎますが、仕事をつまらないなと思う人は時計ばかり見て仕事することになりますよね。

楽しんで仕事すればいいことじゃないと言われれば、これは当たり前のことですが、

それが出来れば苦労はしない(笑)

これが現実的ではないでしょうか。

ですので、

これからするお話は、物事を楽しむやり方でもあると思うので、色々応用が利くかなと思います。

さて、話は大きく戻りますが(笑)

演出を驚かせると主導権が握れるとはどういうことかというと

人は驚くと、素直に相手を受け入れるようになります。

お笑いとかでしたら、

「そう来たか!」ということで笑うことかと思われますが、

これは意表を突いていますよね。

意表を突かれることにより驚き、相手をあるがまま受け入れて笑うということをしています。

ですので、構えて見られると、驚かれる確率が少ないので、なかなか笑いに繋がらないのはそういうことも言えるのです。

驚くということは、今までの視点では及びもつかないので、素直に情報が受け取りやすくなるのですね。

俳優が演出を驚かせると、演出は「最後まで見せてもらおうじゃないか」というスタンスになります。

そうすると、思い通りに稽古が進められるという寸法なのです。

ですから、驚かせることは結構ポイントなのです。

さてさてさて、

次の問題です(笑)

では、どうやって驚かせるのかということですよね。

演出家を驚かせる方法を簡単に言いますと…

台本に書いていないことをする

えっ???

おいおいって感じですよね(笑)

なんかこう書くとかなり…

アウトローですよね(笑)

これがどういう流れになって驚くことに繋がるのか順序だって話して参ります。

演技の答えは台本にはない

またまた、どういうこと???

今回は、訳の分からない問題提起ばかりですみません(笑)

「じゃあ、どこに答えがあるのさ!」

って感じですけど、

答えは自分の心の中にあります。

どういうことかというと、

一番最初に台本を読んだ時、

「自分がこの作品に対してどういう感情を抱いたかということ」

この中に演技の答えがあるのです。

初見で読んだ時の心境は、お客さんと目線がまるっきり一緒なのです。

この話、どういう展開になるのだろう??

こういうワクワクした心境が一番最初にあったはずなのです。

この初見で見た自分の話のイメージを指針に演技を組み立てると当然面白くなるのです。

ただ、このイメージは段々と稽古するうちに忘れ去られてしまいます。

稽古するうちに、話の新鮮さがなくなるからです。

こうならないように、初見のイメージを大切にして組み立てることがとっても大切なのです。

台本から答えを得ようとすると、最初に受けた感覚を見失うことになります。

それはなぜかというと、

最初に受けた感覚は自分の感覚を信じる行為で、台本から答えを得ようとする行為は、自分の感覚は信じられないという行為になりますから、自分のイメージよりも台本で確かめることが必要だと思ってしまうからです。

演劇人は自分で感じたことをどう表現するかが仕事です。ここに自信がなければこの仕事はやってはいけません。

手厳しい意見に聞こえるかもしれませんが、

台本から答えを探すという行為は、話しの辻褄がしっかり合うようにしているだけにすぎません。

しかしその表現が仮に辻褄が合ったからとしても、面白くなければ何の価値もありません。

話の筋を作っているだけで、こういう風に話はなっていますというような説明的な芝居になってしまうのですね。

ですので、こうならないようにするためにどうすれば良いのかを次にお話しさせていただきます。

点と点を繋げることが面白い

違う言い方をすればですが、

線を繋げているだけの演技プランでは面白くなく、点と点を作る演技プランの方が断然面白いというわけです。

点と点を作れば、あとはお客さんに想像していただいて繋げていただくことをしてもらえれば良いということです。

これは普段の会話でもそうですが、質問がない、理論だけを延々と述べている話は面白くありません。

言ってることは興味深いのですが、想像をしなくても理解が出来ると脳は考えなくなるのです。

要は眠たくなるということです(笑)

それよりも、話の中に問題提起をしっかりと入れて、相手に疑問を投げかけながら話している会話は面白いものです。

話の中に、『?』を入れると聞き手はそれを考えたり、想像したりするのですが、話し手がこのような話が出来ると、聞き手は面白くなるから話に関心を寄せることになるのです。

つまり、コミュニケーションは、相手に想像をさせることが出来るととっても話が弾むのです。

これはお芝居でもありまして、私たちの中では「なぜ?」を作ることで関心を寄せてもらうということをしています。

例えば、嬉しいことがありましたが、本人はあまり嬉しそうではありません。なぜ??

これは「嬉しいこと」という点と「本人はあまり嬉しそうにない」という点であらわされています。

この点と点の間をお客さんが想像すると面白いのです。

しかし、これを台本から答えを得ようとすると、線になるので、

嬉しいことがありましたが「こうこうこういう理由」であまり嬉しくないのですよ。

と全く想像の余地がなくなり、お客さんが想像出来ずじまいとなり、そうなんだって済んでしまうのです。

つまり台本から答えを探すとどうしても線になってしまうので、お客さんの楽しみを奪うことになっているのです(笑)

ですので、

「こういう点がありました。そしたらこういう点が出てきました。」

という点をたくさん用意してあげて、お客さんに線を引っ張ってもらうことをしてもらうことが何よりも大切なのです。

その点を見つけるためには、最初に読んだ時の感覚がものをいうのです。

最初に読んだ時に、こう思いませんか?

「これって、なんでこうなったんだっけ?」

そうしてもう一度台本を照らし合わせ、

「なんだ。そういうことか」

と分かると思うのです。

この時に自分はすでに分かってしまっているので、分かっているという前提で練習に取り組んでしまう。

そうではなく、このような疑問が出てくるということは、ここが疑問のポイントですよということを頭に入れて、それをどう見せるかが鍵になるのです。

疑問のポイントを上手くお見せすることが出来れば、次にすることは、その疑問の答えを出来るだけ分かりにくく表現することの方が『親切』なのです。

問題は簡単に分かっては面白くありません。ですので、面白くするという観点から『分かりにくくする』は『親切』なのです。

このような、何故の点と答えの点を用意することが私たち演技者の仕事なのです。

問題を分かりにくくさせるためには、台本には書かれていない、登場人物のバックグラウンドがとても重要になります。

この登場人物のバックグラウンドが一つ一つの点となって、その点を繋ぎ合わせるのがお客さんの楽しみであるわけです。

とってもややこしい話にはなりましたが、これで台本に答えがないという意味は何となくお分かりいただけたかなと…(笑)

最後に、

お客さんは、どういう役の人物に感情移入すると思ますか?

それは、お客さん自身が苦労に苦労を重ねてようやく理解できた役の人物に感情移入するのです。

役の人物を何層も何層も垣間見ることが出来て、この人はこうであろうと予測をしていくと

いつの間にかその一つ一つが自分の人生にも当てはまるものとして認識することもあるのです。

ですので、同じ道を歩んだと思える人物に共感を得られるのは自然なことなのですね。

私はこういう人間ですから見て下さいという人にあまり関心が集まらないのは、

層を重ねず、一層で勝負しようとするから共感が得られないのです。

最初嫌な人だと思ったけど、段々一緒にいるといつの間にか関心を寄せてるってこと、今までに経験はありませんか。

今人生のパートナーは最初合った時最悪だったっていう方結構いると思うのです(笑)

人は一層だけでは判断できません。

何層も何層も重ねてみることで、その人の深みが出てくるのだと思います。

そういう風にして人間関係をじっくり育てたいものですね。

演技プランは相手への見せ方を勉強させていただいただけではなく、このような人間関係の基本的なことも教わることが出来ました。

これは私にとって、何にも代えられない宝物です。

皆様にも、この宝物を手に入れていただければと願ってお伝えしました。

ややこしい話だったかもしれません。

最後までご覧いただきまして感謝いたします。

ありがとうございました。

劇団Blue Earth Theater Company代表

さいとうつかさ

劇団道化座に14年間所属し日本全国、海外で公演。現在は役者の勉強会「いわゆるえんげきの会」と当劇団の代表を務めております。ステージ出演回数は400回以上と実践で培った演技指導が強み。劇団以外でも、演技指導、演劇ワークショップを行なう。スタニスラフスキーシステムを独自にアレンジした実践型メゾッド『ゆるえんメソッド』は今までにはない演技練習法として支持を得ております。特長は「ダメ出しではなく褒め出し」「自分を変えないで本来の自分をみつける」という考えで、演技向上だけではなく「自信を深める」演技レッスンを行なっております。

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