1.お客様の観る優先順位

お客様が観る優先順位
1. 台詞を話している人
2. 動いている人
3. みんなが動いている中で一人だけ止まっている人
4. 台詞を聞いている人

1. 台詞を話している人

ストーリーを把握するために、観客はまず台詞を聞いて理解するため、一番見られるのです。

2. 動いている人を見る

人間は、言葉の裏、つまり動機を伺うことを無意識にしますので、台詞の言っていることが分かれば、違うところで情報を入れようとします。動いているものを目で追うというのは、本能的にあるのだと思います。

3. みんなが動いている中で一人だけ止まっている人

これは、台詞の言っていることを理解できればまでは2と同じことなのですが、最初動いている人をみてその後止まっている人を見るという流れになるので、3番目にしました。

4. 台詞を聞いている人

これは、話している人の台詞が分からない時に、どういう反応で聞いているのかと伺うことをしますので聞き手の人を見るのです。あまり大きな動作がなく静かに全員が止まっている場合は、2と3がないので、この台詞を聞いている人が2番目に見られるようになります。大体こんな感覚です。しかし、これは演技であったり舞台の位置取りで簡単に優先順位を変えることが出来ます。

例えば、台詞を話している人ではなく聞いている人を見てもらう場合であったり、台詞を話している人ではなく、その周りに動いている人を見てもらう場合であったりなど、演技に方向性を出すことによって優先順位は変わるのです。これは実際に動いてみないと説明は難しいのですが、

分かりやすい例で言うと、例えば、ある二人の登場人物の内の一人が問い詰めていて、もう一方の人は問い詰められて話を聞いているというシーンがあるとします。この時に話をしている人を見てもらうのではなく問い詰められている人の顔を見てもらうためには、話し手の人がその聞き手の後ろ側を回り込むようにして相手を見ながら話すと聞き手の顔に観客が自然と目が行くのです。

これは、話している人が動いているにもかかわらず、聞き手の顔を見続けることによって「お客様、この人に注目して下さい」という動機のメッセージを送っていて、それを観客は無意識に受け取るのです。どういう動機メッセージを送っているのかというと「この話を聞いて、どういう反応をするのか一瞬たりとも見逃さないぞ」という役の人物の動機が伝わっているからのですね。この動機が伝わると観客は同じように「聞き手の反応を注意深く受け取る」ようになり、聞き手の顔色を伺うことに繋がっていくのです。

また、話している人の前側を聞き手が通るということも聞き手を見てもらえる動きとなります。このように、演技者の動きだけで、観ていただく方向性を変える方法は他にもたくさんあるので、こういう演技は是非覚えておきたいところですね。お客様にはこういった動きは無意識に感じる部分ですのですが、動作演技というのは本当に大切なのですね。何故ならお客様にとっては台詞の内容よりも、動作の動機の方が圧倒的に印象に残るものだからです。

では次のページでお客様に見ていただきやすい舞台の立ち位置の話をします。

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