初見で読むという状況は、お客さんが作品に初めて出会った時と同じなのです。つまり、お客さんと同じ感覚で内容が掴めるというということです。そしてもう一つこれがとっても重要なことで、台本をよく読んで答えを探せと言われることがあるかもしれませんが、実は・・・・・
台本に答えはないんですよね…(笑)
こんなことを言うと、おかしなことを言ってるなと思われるのかもしれません。でも本当にそうなんです。
「じゃあ、どこにあるの?」ということですが…
「初見で見た自分のイメージの中にある」
つまり、答えは自分の頭の中にあるって話なのです。
台本に書いているセリフというのは動機を表すもので、感情を表すものではありません。台本の台詞に答えがあると思って字面を追えば、それはすなわち感情を表すことなってしまい、セリフの裏に隠れた本来の動機を表すことが難しくなるのですね。
セリフは感情で動機を隠すためにあるもの
これは観客の一番の楽しみとなる「想像していただく表現」となり、言葉の奥に何かその人の心が見えたりするほうが断然楽しいのです。
「垣間見る」ほうが逆に興味を誘う
観客が見てみたいと思う時に、「開けっぴろげで見られる」ような分かりやすい説明的な表現をされるとつまらなくなってしまいますので、観客が見てみたいと思うものを分かりにくくすることで想像していただく状況を作るということが実は大切なのです。
では、ここで言う観客が見てみたいものとは何かというと、それが先ほどから出ているキーワード…
「動機」
なのです。だから「初見で読んで自分がどう感じたか?」がとても重要で、その時感じた役の人物一人一人の動機を一つずつ顕在化して、それをもとに演技プランを構築するとお客さんから共感を得られて、味方についてもらうことが出来るようになるのです。
では、次のページで、実際に作品の話の流れを掴むための台本読解法の話をしますね。