【超簡単】演劇レッスン②では、台本を読んで想像力を働かせようというお話でした。

今回は、台本を読んで、演技表現をどのように組み立てるのかという演技プランを作る上でのお話になります。

とは言っても、このことさえ押さえておけばとっても簡単です。

それは何かといいますと……

ということです。

そんなこと当たり前じゃないか!って思われる方も多いでしょう(笑)

でも、これを明確に自分の頭の中で分かっておかないと、実はダメなのです。

例えば、これは前回のブログでも記しましたが、

悲劇の場合、結末…つまり最後は必ず悲しい話で終わります。

ってことは、その作品に劇的な要素を入れるためには、最初は必ず幸せな、或いは楽しい話にしておいた方が良いのですね。

そうすると、楽しい時間を過ごしているのにもかかわらず、セリフの展開は悲劇の場合、どうもそうはさせてくれない訳ですよね。当たり前ですけど(笑)

ここでポイントになるのが、楽しく幸せな空間であるはずが、そうではなくなったというキッカケが見つけられるかということなのです。

これ……実は、台本を最初から順を追って読むとなかなか見つけられないのですが、台本を逆さから読むと簡単に見つけることができるんです。

実際に読み方をお見せできませんので、少し難しい話にはなりますが、

例えば、台本が一幕もので、五場あったとします。

一幕というのは、簡単にご説明すると幕が終演まで閉まらないという意味ですので、休憩がない芝居を一幕ものと言います。

二幕ですと、終演の前にも一回幕が閉まるので、休憩が一回ある芝居のことを指します。

一場の場は、簡単に説明すると、幕は閉まらないけれども、その中での場面転換がありましてその場面場面を指します。

一場の後、幕が締まらず場面転換する場合は、その次の場面は二場になるわけです。

さて話を戻しますが、作品が一幕物全五場の場合、休憩なしの作品で4回場面が変わりますよというお芝居ですね。

台本を最後から読むということは、この場合ですと「五場」のシーンから読むということなのです。

五場のシーンを読んだ時、作品の結末、答えがギッシリと書いてます。

ここからこういう考え方にシフトしてみて下さいね。

その作品の結末の答えが分かったなら、その答えに対する問題を前場で探してみる

こうすると、その結末となる答えに対する問題部分(セリフやト書き)が簡単に見つけることができて、その部分がとても重要なのだということが簡単にわかるようになるのです。

これ本当にやってみて下さい。驚くほど簡単に物語のキーになる部分が見つけられます。

これはですね。脳の働き方によるものだとは思うのですけど、実は私たちって、作品をしっかりと読んでいるつもりでも、順序立てて、或いは理論立てては読んではいないということなのです。

こうして、一手間加えて、台本の理解を深めることは実はもの凄く大切なのです。

人間は、一度情報が入ってしまうと、全体を理解したと思うのですが、全てを理解している訳ではないのです。

そして、これが私の今回最も言いたいことの一つですが、

ということがあるのです。

私は、先輩方から、台本をよく読んできなさいと言われてきました。その度に台本を読んではきたのですが、途中であることに気がついたのです。

それは、新鮮な感覚が完全に失われているということです。

簡単に言うと、セリフが自分のものだけではなく周りの方々の分も全部頭に入ってしまって、自動的にそれが分かった上での演技を組み立ててしまっているのです。

これが実は一番難しいことで、自然な言葉回しをするのであれば、自分の言葉でさえ、整理していなければ、次に何を話すかは決めていないのです。

次に何かを話す場合は、その場の状況であったり、相手の表情であったりとかをよく見た上で、話すのであって、そういうものがリアリティーのある話し方であります。

ですから、台本を何回も何回も読むのではなく、台本をどのように効果的に見せたいかという、先ほどの答えから導く問題点をクローズアップさせて、その部分を如何に見せるかを頭の中で考えることが大切なのです。

こういう考え方が出来るようになると、次の通りに考えることができます。

先ほどの悲劇の話をしますと、結末は悲しいわけですから、最初は楽しく幸せな空間を作ります。ただこの幸せな空間を作るだけではなく、

絶対に悲しい方向へ持っていかないようにする

という一歩先の考え方に進化できるのです。

絶対に悲しい方向へ持っていかないようにするけれど、自分のセリフやト書き、また相手のセリフや、全体のト書きはそうはさせません。

必ず、悲しい方向へ持っていこうとする。でも!私は楽しく幸せの方向に突き進んで表現するのだと決意をすれば、今まで見えてこなかった「重要なセリフやト書きが見えてくる」のです。

そしてここが本日のポイントです。

その重要ポイントのセリフやト書きが、演技のヒントを教えてくれるのです

これを、役の人物から教わると言います。

良い役に出会うと、俳優はその役から沢山のことを学び、飛躍すると言われるのがこの世界。

ですから、たくさんの良い役に出会いなさいと後輩さんにはお伝えしています。

それくらい、良い役に出会うことは大切のなのです。

ただ、この説明をするとまた二つくらい記事が出来るボリュームになると思いますので今回は控えます(笑)

これは簡単に言うと、このセリフとっても大切ですよ!と明確に分かった時点で、ではどのように大切にするのかを「考え」または「意識するようになる」のです。

そうして意識が変わってくると、その大切にお見せしたいという情報が、見えてくるようになるのです。

悲しい時に夕焼けを見ると、涙が出てくるように。自分のフィルター(コンディション)で夕焼けが悲しく見えたり、奇麗に見えたりするのと全く同じです。

もうお分かりいただけた方も多いのではないでしょうか?

つまり、自分の中で、台本の大事な部分を

のです。

そうすれば、今まで、全く見えなかった景色が台本上で繰り広げられるようになります。

台本をよく読んだら理解が深まる……?

世の中には、出来そうで出来ないことを言う人が大勢います。

しかしそれは、今、私が言ったこともそうなのかもしれません。

ですから自分で試すより方法はなく、自分で見つけるからこそ価値のあるものだと思えるのです。

私が、こうして発信しているのも、価値のあるものだと信じてお伝えしてしている次第でございます。

私の経験で申し上げると、台本を読めば読むほど、盲点が増えるということです。ですから、読むにしても工夫が要ります。

その工夫は、数限りなくありますが、今回のテーマもその一つであります。

ただ、何回も台本を読んだから、見つかった技術なのではと言われれば……

奥が深いですね。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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