稽古は全員で前から見る

これだけで実はみんなでお芝居を作っているという一体感が出来ます(笑) つまり、演出もスタッフも自分の出番でない俳優陣も全ての人が、稽古をしてる演技者を前から見てあげることで、芝居作りの一体感が出てくるようになります。重要なことは・・・・・

自分がもうすぐ出番でもギリギリまで前から見る

これに徹すれば、必ず稽古の雰囲気は良くなります。この行為はどういう意味を成すかというと、今稽古をしている時間を大切にしているという行為に繋がっているのですね。誰しもが、一つのことに注目して稽古を見守っている。こういう行為が、個々人のモチベーションに繋がり、やる気へと繋がっていくのです。何故なら、俳優は見られてなんぼの商売(笑)

見られることに快感がありますよね(笑)

だから、そのニーズに応えてあげると、調子に乗ることが出来るのですよね。 人は調子に乗ることがとても大切です。ケンカの口上で「調子に乗るな」ということを言われ「調子に乗ることが悪」のように感じられますが、

芸術創造においては、調子に乗って「個性を伸ばす」ことはとても大事なのです

何故なら、調子に乗るということは自らが欲した状態で行動をしているからで、これこそが自然な行いでその先に芸術的なひらめきやアイデアが現れるようにちゃんとなっているからです。

このように、みんなでしっかりと稽古の雰囲気を作れば、一体感のある素晴らしいもの作れるようになるでしょう。見られている俳優陣も、しっかりと観ていただけることに応えたいので、演技の質も良くなるのです。こういったとてもシンプルで簡単なことで、良い芝居が作れるようになるのです。是非これを実践して頂ければと思います。それと、もう一つこれのついでにやっていただきたいことがあります(笑)

もしかしたら、このついでにすることの方が重要だったりする方もおられるかもですが(笑) 前から見ている時にですが、こう念じて欲しいのです。

私は、あなたをみていますよ‼

と。つまり、演技者に無言のプレッシャーを感じさせるのです。自分の鋭いまなざしで、もし仮に演技者が動揺するような仕草を見ることが出来れば、自分の自己重要感が上がる(笑) こういう勝負を稽古でしていると、当然ですが緊張感が増し、これも稽古の雰囲気を良くさせる方法でもあるのです。ただし、これも限度がありまして、あまりに厳しい眼差しプレッシャーを送ることが出来る存在になれましたら、この圧力をコントロールすることも重要です。例えば、緊張して委縮してしまっている演技者でしたら、今度は温かい目で「大丈夫ですよ」と念じながら見守るのです。

こういう風にして、稽古の雰囲気は自分で作るんだとなれば、自分の存在価値も上がり、またとても楽しい稽古を作ることが出来るようになります。私たちは個々でプロフェッショナルでいなければなりません。しかし、その中でプロフェッショナルな存在でない人がいるかもしれません。ただ、そういう人が仮にいたとしても、その人を上手に引き上げられるような影響力を発揮させられる人が真のプロフェッショナルなのですね。悪いことを悪いと指摘するだけではプロとは言えず、悪いことをどうすれば良くなるかを考えるのがプロの世界。何故ならば、お芝居は、作り手全員の力で一体感を生み出し、とてもつもないエネルギーを生み出すことが一番大切だからです。

自分の力以上のものを出すために奇跡を呼び起こす方法。これが『一体感をつくること』なのです。私たちの舞台の成功には、必ず奇跡が起こっています。

奇跡とは、全てにおいて調和のとれた世界が築き上げられた時に起こるもの。全てにおいて丁度良いことが起きるという奇跡が舞台成功の鍵なのです。その奇跡を起こす鍵が「一体感」なのです。もう一度申し上げます。

稽古で重要なのは「一体感」を作ること

そのためには、自分の出番でない時は、ギリギリまで共演者の演技を前から見ること。そして、「私はあなたを見てますよ」と念じること。こうして奇跡を起こしてみていただければ…

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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