演出ノートの最後は、制作についてお話しさせていただきます。

劇団運営で一番大切なお仕事はこの制作と言っても過言ではありません。ただ、私はここを甘く見ているわけではないのですが、あまり力を入れていなかったのは事実です。というよりも創作の方にいっぱいいっぱいで、手が回らなかったというのが本当のところでした。過去4回の公演は全て私が切盛りしてたのですが、今回は今までよりも大きい会場ということで、劇団員にお任せすることにしました。

その責任者の一人が今回、大地のかぐや姫で主役も務めました井出美空です。

今回の製作の井出美空は目標をことごとくクリアしましたので、ここが一番劇団としても成長できたところだと思います。

大きく飛躍出来たのは二つで、一つは

兵庫県芸術文化協会令和5年度舞台芸術鑑賞機会創出事業に参加

これは演劇を学生の方々にご覧いただく機会を創出するということで、たくさんの学生の方々に観劇いただきました。こうしてより演劇に関心を寄せていただくことは地域文化的にも凄く大切なことだと思いますし、それをブルアでさせていただけたのは本当に喜ばしいことで、少し社会のお役に立てる劇団になれたのではないかと思います。そしてもう一つは、

クラウドファンディングもプロジェクト達成

これは、今回の肝になるところでして、今回の作品『大地のかぐや姫』は社会問題をテーマに書いた作品で、多くの方々に発信し、関心を寄せていただけるきっかけになればという思いがありました。そしてこのクラウドファンディングを通じて、多くの方々に知っていただける機会になればと始めたのでした。

そして、クラウドファンディングをしましたという内容をSNSで発信すると、急に閲覧数が増えて、コメントやDMもたくさん来るようになりました。その中で「大変興味がありますが、神戸なので遠くて観に行けなくて残念ですが、応援しております!」というお言葉を沢山頂戴しました。地方劇団であるにもかかわらず、全国の方々から応援メッセージをお寄せいただけるなんて、夢にも思いませんでした。そこでたくさんのご支援をいただけて、こちら側はそのご支援のお礼としてTシャツや手ぬぐい、DVDやお写真での直筆サインなどご用意させていただく流れになりました。ご支援いただいた皆様、この度は本当に有難うございました! 只今、リターンアイテムを製作中ですので、しばらくお待ち願えればと思います。

さらにTwitterやInstagramでは、劇団員のフォロワー数も増えて、個人個人に応援メッセージも届くようになり、本当に本当に嬉しかったです。稽古の真剣度も日に日に増して、本当に素晴らしいお力をいただけたと日々感謝して稽古に臨んでおりました。皆様の応援のお陰で公演が成功出来たのだと確信しております。

こうした発信の中心を担ったのが井出美空でした。彼女は先ほども申し上げた通り今回の主役で、制作のお仕事と、稽古で日々頑張っておりました。

彼女のお陰で、劇団の活動が多くの方々へ届けられたのかなと思います。よく頑張りました!ありがとうございます。

最後に、社会問題を発信すると、色々なご意見もちょうだいします。それだけ、社会問題というのは立場によってそれぞれ問題が異なり、難しいところもあるからです。ですので、今回のお芝居は私たちが判断するのではなく、飽くまでもこういう思いがあるというところに留めてました。世の中は利権に走っている人もおられますが、みんなに良かれと思ってお仕事に従事なさっておられる方が殆どだと思うのです。そこにやり甲斐があり、自分のお仕事に誇りを持たれておられます。そういう方々を否定することは出来ません。

それよりも、どうすればよりよい社会を作ることが出来るのかを考えるためには相反することがある問題があるのなら、やはり歩み寄りが何よりも解決の第一歩になるのだと信じております。ですから、まずは問題提起をして、こういう問題があるので、自分に出来ることは何かと考えるきっかけはとても重要だと思うのです。私ならこうする。そういった一人一人の行動を起こすきっかけが、演劇であればと願っております。

その活動を純粋に発信して下さった制作に感謝申し上げます。

勿論、劇団のメンバー も色々と今回頑張りました!

ただ、今回の功労者は、制作の井出美空と照明と出演を遂げた凛旺雅子だったのではないかなと思います。感謝します。

最後までご覧いただきまして誠に有難うございした。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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