演出ノート第三弾は作曲のお話から始めさせていただきます。

今回の『大地のかぐや姫』は台本もオリジナル作品ということで、音楽もオリジナルでいきたいと思い、作曲家のcoricoさんにお願いしました。

corocoさんは、第二回公演でも作曲をしていただき、その音楽がとても素敵だったので、今回もお願いした次第でございます。

第二回公演の音楽はこちら

舞台にぴったりの音楽でこの時の公演もとても好評だったのです。

3月の初めに台本を渡し、こういうコンセプトでということでお願いできますかとお聞きしたところ、快く引き受けて下さいました。

そして、それからすぐに、公演のテーマ曲が届けられて驚きました!『もう出来たんだ!』

その音楽がこちら

もうイメージにぴったり過ぎて、涙が出ました!(桂小金治さんみたいになってるので)

それに、大地のかぐや姫ということで、見事に和風テイストにまでなってて、本当に驚きました!

これで行こう‼

即決めで、すぐさま俳優の皆様に音楽を共有したところ・・・

皆様、全員が、

テンション爆上がりするね‼

と大興奮でした。それからです。稽古の雰囲気がガラッと変わったのです。

こんないい音楽を作って下さってるんだから、期待に応えなきゃと俳優が奮起したのは明らかでした。こういうところで相乗効果が発揮されるのが総合芸術の演劇ならではのこと。深く感動した稽古を今も鮮明に覚えています。

photographer:soichiro kishimoto

意外に思われるかもしれませんが、私の好きな音楽の一つは一幕終わりの音楽で、母 竹子がみんなを送り出した後に、自分も興味を示しみんなの後を追うというシーンで流れてた音楽でした。今から少し希望が見える音楽で、暗い現実の中を生きる母 竹子がほんの少し昔の姿に少し戻ったかのような希望ある音楽がとても切なく感じられて、素敵でした。

今回の作品は登場人物一人一人見せ場があって、そこにその音楽があるというスタイルでした。ですから、出演者の殆どの方は一種の自分のテーマ曲があったのです。この曲に自分の芝居を重ねることがとても自然に出来たということは、同じ思いを共有できているということになっていたと思います。自然に湧き上がる感情は、この音楽にも支えられ、より劇的な表現として現れて、それが素敵な劇場空間へと発展していったように思えます。

そして何と言っても大勢の方々はここだと思います。

photographer:soichiro kishimoto

クライマックスの岬のシーン『心の奥底からの叫び』。

ここの音楽には相当のこだわりがありました。なんと、尺がぴったりで、セリフと音楽が本当にピッタリだったんです。作曲されるときに、イメージしてイメージして作り込んできたのが、想像できます。感想でもここのシーンに痺れたと仰ってる方が大勢おられました。勿論、演出の私も、これ以上のものはないなと思えたくらいです。

劇中の音楽は残念ですが著作権の兼ね合いがあり、ここで載せることは叶いませんが、

もしもですが、今後この公演がしたいという団体様がおられましたら、上演許可の時にこの音楽の使用するオプションもつけることが出来ますので、お気軽にお問合せ下さい。

台本上演使用料と音楽使用料はかかりますが、出来るだけお求めやすい金額でご用意しています。

本当に素敵な音楽です。多くの方々に聴いていただければとお薦めします。

『大地のかぐや姫』は若者の自殺の問題。そして農業問題といった社会問題を発信する演劇ですが、この作品を多くのところでしていただけることが、何よりもその問題を知っていただけることにも繋がるで、作り手の方々との共感を得られるように、その音楽も共有させていただければと考えた次第でございます。もし、この記事をご覧になられた劇関係者の方がおられましたら、今、台本を出展する準備をしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

最後に、この音楽を操作する音響さんのお話をさせていただきます。

今回の音響を担当して下さった小田歩さんです。

photographer:筒井俊博

音響を大きなホールで一人でするのは今回が初めてとまたもや演出の無茶ぶり。(すみません)

ただ、心配なことがあれば必ず聞いてきて、コミュニケーションを大事に仕事を進めていくので、安心感があります。また、チャレンジ精神も豊富なので、演出時にも相当、無理を聞いていただきました。本当に有難うございます。

小田さんは、楽器奏者でもありますので、音楽のセンスはピカイチです。ただ、ジャンルが芝居なので、必死にくらいついている感じが前面に出ていて、演出としてはガッツがあってとても嬉しかったです。

芝居心が分かる音響を

彼女はそこも目指しています。本番を終えてどうだったのでしょうか??

大事なシーンがありました。

photographer:筒井俊博
photographer:soichiro kishimoto

劇中、日本の農業を憂う一人の老人文三郎が語るシーン。この話の肝になるところの音楽。ここの音楽の出し方に凄くこだわりました。

公演が終わり、文三郎役をされてした「劇団ぷらっと」の中川順平さんは音響の小田さんに、

あの音楽の出し方は抜群だね!最高に良かったよ。

photographer:筒井俊博

と言われてました。

もちろん私も、とても良かったと思います。私は調和のとれたものがとても好きなので、こうした俳優と音響さんの息がぴったり合うところを目の当たりにすると、とても感動するのですね。

こうして、内輪で褒め合っているようなブログ内容になって大変申し訳ありませんが、劇団ブルアは「ダメ出しではなく褒め出し」であることですので、何卒ご容赦願えればと思います(笑)

最後までご覧くださいまして誠に有難うございました。

追伸:coricoさんのグランドピアノでの『大地のかぐや姫』の演奏がTwitterで上がってましたので共有します。

この曲を出演者の阿佐泉美役の寺川美代も泉美ちゃんで弾いてます。(おまけ)

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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