おはようございます。こんにちは。こんばんは。

今回より、今の演劇について、実際に感じていることを主観的に忖度なしにつぶやいた内容を記した«演劇オヤジのつぶやき»シリーズを作ってみました。

飽くまでも、主観論でありますので、変わってるな(笑)・・・と軽くお読みいただけると嬉しいですし、そこに何か演劇や普段のことにヒントのようなものがあれば幸いです。

さて、今回の表題

上達すれば良い役が来ると思うのは大間違い

ということですが・・・

実は上達すれば良い役につけると思う人は結構多いのじゃないかなと思います。これは色々な言い方が出来て、自分が認められれば然るべき環境に行けるという言い方も出来ます。

しかし誠に残念なことを言うようですが、上手くなったからといって良い役が巡ってくるということは極めて稀だと私は思っていて、さらにそういう考え方をしていると、道半ばで目的を見失いかねないですよというお話を今回させていただこうと思っているのです。

変なお話ですよね。でもこれは、誰かを下げようとか、陥れようとかそういう意味合いでは当然書いていませんので、温かくご覧いただければと思います。

私自身は若い頃も、そんなに演技が上手な方ではありませんでした。それよりも周りには器用な俳優が多く、色んな役を作り上げることが出来た人が多かったので、どちらかというと私は不器用な部類で全く目立つような存在ではありませんでした。そして現在もなお、自分が演技の上達が出来た俳優だとは思っていません。しかし、・・・これがなんとも不思議な話なのですが・・・30歳を過ぎてから私のいただける役は殆ど主役ばかりになっているのです。

何度も申し上げますが(笑) 私自身、芝居が上手くなったから主役を頂けるようになったとは到底思っておりません。ただ・・・

良い役を頂けるようになったから芝居が少しは上達できるようになった

とは思うようになれました。

私のイメージとしては環境が先で、実力はその後といった感じなのですね。不思議な話に聞こえるかもしれませんが、こういう流れで今まできていたように思います。

では、どうして私は上手くも無いのに、自分に主役ばかりの良い役が来るようになったのかということですが・・・これは間違いなく、

人間関係

なのですね。周りの人のお陰で、そういう重要な役を預かることが出来るようになっているのは確かなのです。

また、人を起用する側の立場から言うと分かりやすいのですが、人を起用する人は素晴らしい人よりも可能性のある人の方を起用したいと考える傾向があります。言いかえれば素敵な人よりも可能性のある人の方が魅力的なのです。もっと言いますと、素晴らしい人でなくても良いのです。

自分たちと一緒に仕事をして作ってて良いものが出来そうだなという人を選びたいものなのです。

これは大原則のように思います。

世の中は、調和のとれた関係の方が成功しやすく、足りないところを補い合える人の集まりの方が楽しく仕事が作れて、協調性の取れた素晴らしい仕事ができやすいのですね。良い人を起用したからと言っても、そこに調和のとれた関係性が築けなければ、却って力を落とすことになり、芝居で重要な相乗効果が生まれはしなくなるのです。

ここが分かれば、作り手のニーズは必ずしも完璧に優れた人を求めている訳ではないのが分かりますよね。だけれども、多くの人が芝居が上手くなれば良い役にありつけると考えている。こういう考えですと、求めている需要と出したい供給は微妙にずれることになり上手くいかなくなるのです。

一番の理想はというと、与えられた役を与えた人以上に楽しんで役作りをしてくる人が良いですよね。そういう人は大化けして想像以上のものを持ってくる可能性も感じます。

ですから、もう一度申し上げますね。

上手くなったら良い役が来るということはありません。

良い役に巡り合えているから芝居が上手くなっていくのです

こうして徐々にステージが上がっていくのです。

私は、上手くなったからプロの舞台に立てたと思ったことは一度もありません。プロの素晴らしい舞台を数多く経験させていただけたからそれなりに見えるようになったのだと確信しています。

もう私の申し上げることはお分かりいただけたかと思われるのですが、

自分が上手くなれば良い環境に行けると考える人は、条件が合えば活躍できると考えてしまい、条件が揃わなかれば、上手くいかないと考えてしまう

という考え方になってしまうのではないかと考えるのです。しかし、良い条件が先に揃うことなど、世の中はそう甘くはありません。悪状況の中で、勝負しなければいけない状況が実は殆どなのです。ですので、悪状況でも自分を最大限に活かす考え方で臨まないといけないのですね。その方法が・・・

現状でも最高に良い環境

だと考えることなのです。

今与えられている役で自分をどう最大限に生かすことが出来るのか?

こういう風に考えられている人間性に人は魅力を感じるのです。

こういう普段からの行いが周りに伝わり、それが可能性溢れる人間に育て上げられるようになるのです。

台詞が2つしかないから・・・

そんな思いで稽古に取り組んでいる人に魅力は感じません。ということはどういうことを意味するかというと、そういう人には絶対に良い役が来ないように世の中はなっているのです。

そして・・・この原理を分かってない若者が演劇界では意外に多いのです。

ですので、実は演劇界では頭一つ抜けることはそんなに難しい話ではなかったりします。私自身の例でも何度も言うように、目立たない存在であっても、たくさんの主役を獲得するのはそれほど難しいことではありませんでしたから。ですから今回の内容は、ちょっとした世渡り法なのかもしれませんね。

つまり、自分は与えられた役をこれでもかというくらい読み込んできて、たった一つの台詞であっても、考えに考え抜いたものを持ってきていた。その心意気を先生方は買って下さったのか、次々と良い役をお与え下さったわけなのです。

それにその当時の私は、周りの人に劣っていると感じていたから頑張れたのかもしれません。しかし、この経験から、どんなに小さな役でも、楽しんで役を作り込む楽しさを教えてもらえたようにも思えるのです。つまり相乗効果はたくさん現れるようにもなるのです。良い流れですよね。

こういう風に少しずつ少しずつ、周りからの面白いやつと思われて、次コイツにもう少し重要な役を与えてやろうかという可能性のある人間にはなれたのだと思うのです。

ですから、その経験を踏まえて今の後進の方々には今の条件で自分をどう最大限に生かすことが出来るのかが考えられる人になってほしいのです。

こういう人は、次にこういう役を与えたら、きっと何かまた最大限に引き出してくれそうなので、とても可能性のある人に見えます。

ここが、上手い俳優よりも可能性のある俳優の方が断然魅力的だと言われる所以なのです。

こういう人は自分実力よりも素晴らしい役が舞い込みやすくなる

さぁ、お伝えしましたよ!これは、もう生かさなきゃだめですよ。本当に結構お得情報だと思います(笑)・・・だって本当に知らないんですよ。今の若い人たち。

台詞の少ない役とかだったら手を抜く人だっていますからね。あなたの本気はいつ見せるつもりなんだ・・・(笑) そんな勘違いした人になってはいけませんよ‼ そういう人は自分で俳優生命を短くしているということに気がついていないのです。

逆から考えてみれば簡単明瞭な話ですが、あなたがもし、人を起用したい人がいれば、その人物はどういう人物が良いかを考えて、まずはその人物に近づくことが何より大切なのです。

そうするとこういうことに気がつくはずです。

与えられたタスクに最大限に答えようとチャレンジして必ずその結果に報いるような人と、多くの人が仕事がしたいと思っている・・・

仕事は人間関係の方がとってもとっても大切のです。

このことが理解できなければ、どうして自分は認めてもらえないんだと間違った考え方をして、やがては道半ばで諦めてしまう。そういう流れを自分でオートマチックに作ってしまうことにも繋がりかねないのです。

ここにいち早く気がつければ、きっと巡分満帆の演劇生活が送れると思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。

劇団道化座に14年間所属し日本全国、海外で公演。現在は役者の勉強会「いわゆるえんげきの会」と当劇団の代表を務めております。ステージ出演回数は400回以上と実践で培った演出と演技指導が強み。劇団以外でも、演技指導、演劇ワークショップを行なう。スタニスラフスキーシステムを独自にアレンジした実践型メゾッド『ゆるえんメソッド』は今までにはない演技練習法として支持を得ております。特長は「ダメ出しではなく褒め出し」「自分を変えないで本来の自分をみつける」という考えで演技向上だけではなく「自信を深める」演技レッスンを行なってます。

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