自分の役をどう演じるか……
お客様へ自分の役をどうご覧いただくのか……
こういった戦略を、私たちの演技法「ブルアメソッド」では、演技プランと言ってます。
俳優の技術の中でも、この演技プランを立てる技術は最も難しく、また習得までに時間のかかる技術であります。
台本を読むのも技術がいるのですが、この自分の役をどう演じるのかという役作り構築にも実は技術が必要なのです。
今回はこの自分の役をどのように演じるのかという技術、演技プランについてお話しさせていただきます。
まず、この演技プランを自分で構築することが出来るようになるのに。大体10年程私はかかりました。
皆様であればもう少し短い年月で習得されるかもしれませんが(笑)
さて、まずどうしてこの役の構築「演技プラン」が必要なのかをご説明します。
役作りは色々なアプローチでされていて、その殆どが俳優自身の考えから、こういう風な人物だとして持ってこられるものだと思います。
そうして、稽古で持ってきたものをご披露し、そこで演出に見てもらって、構築を図る方が殆どだと思います。
上記の役作りですと何ら問題はないのですが、ここであまりにも漠然とした役作りしかできない場合はとなると、少し話は変わってきます。
あまりイメージもなく、満足に役作りが出来なかった上で稽古に参加すると……
これがあまりよろしくない方向へ行ってしまうのです。
理由は2つ。
一つは、やる気のなさがほぼ全員から見えてしまい、共同で作る周りの人のモチベーションを下げてしまうということ。
もう一つは、演出の意見が全てとなり、演出の言う通りのオーダーで演じることになる。つまり、自分の役作りが「have to」になってしまうということ。
この二つが出てしまうと、本当に稽古はつまらなくなってしまうのです。
少し厳しい言い方にはなりますが、満足に役作りが出来なかった上で稽古に参加するという行為をしてしまう人は、舞台に上がる資格のある俳優だとは言えません。
分からなくても、持ってくるのが俳優の任務なのです。人に意図して影響を及ぼす仕事をする俳優が、人に悪い影響を及ぼしてどうするんだということですものね。
この人に悪い影響を及ぼしているというのは、周りの人にだけでなく、自分にもということなのです。
言い換えれば、満足に役作りが出来なかった上で稽古に参加するという行為はやる気を阻害させる原因を自分自身で作っていることにいち早く気がつかなければならないということですね。
ですので、絶対にこういう行為は避けたいところです。
満足に役作りできない原因は、台本の読み込み不足も勿論その原因ではありますが、一番の原因は、その役に対しての思い入れです。自分の役を大切にしたいと思うからこそ、自然と役のことを考える、そういう自分環境が作れていないことが一番の原因なのです。
ですので、自分の役割の重要性を感じることが出来れば、自ずと役作りをするという行動になります。こういうところまでが俳優の心構えなのですね。
また普段から、少しの役だからとか、自分は役についていないからとか、そういう理由で演劇をしているならば、そういう方は良い役に仮に出会っても、ものには出来ないことも私は痛感しています。
良い役に出会いたいのであれば、目の前の事を楽しく懸命にこなせば簡単に巡り合うはずなのに、自分の中で、これはやるこれはやらないと決めてしまうから、良い役に出会える確率を下げている。そういう方々も残念ながら多く見てきました。自分が上手くなればなるほど、そういう傾向があるので、これは自戒でもあります。
参考までに「良い役に出会うには」というYouTube動画がありますので、こちらもご覧いただければと思います。
では、どうしたら明確な役作りが出来るのかというお話を次のページでさせていただきます。