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感情というものは出すものではなく湧き上がるもの。

ここを理解しないと押しつけの演技となってしまってなかなかお客様を味方につけることが出来ません。

しかし、感情を思いっきり出して演技している人が結構多いのも事実。

こういう演技ばかり見てしまうとお客さんは…

もうお芝居は良いかなとなってしまう。

なんか頑張ってるんだけど、独り善がりだよねって感じることもよくあること。これは先ほど言った表現を押し付けているが故に、無意識に不快感を示すという結果を招いているのかもしれません。

例えば、悲しんでいる人がいるとします。感情を出そうとしている人は「私は悲しい!」とまるでアピールしてしまっているように見えるのです。こうなると見ている人は「ああ、そうですか」って感じで逆に冷めてしまうこともある。泣く芝居でも泣こうとしているから泣けなかったりします。よく、お客さんよりも先に泣くなとダメ出しをする人がいますが、これは実は後先の問題ではなくて泣くことに対して「泣こうとしている」か「泣くのを我慢している」かということが問題で、リアリティで言うと泣こうとしている人はほぼいないのですね。堪えている人の方が圧倒的に多く。その堪えている心情が汲み取られるからお客様にも涙を誘うことが出来るのです。

感情は出すものではなく隠すもの。こう思うくらいが丁度いいのかもしれません。勿論一概には言えないことではありますが、怒る時も「私は怒ってます」という人は普段あまりいません。怒ってませんよというスタンスですけど「いや、めっちゃ怒ってるじゃない」という感じが殆どだと思うのです。つまりこれはどういうことかというと、

感情はコントロールできないという表現をした方が観客にはよりリアリティがあるように見えるのです。

それともう一つは感情を隠しているけども、心中は穏やかではないんだろうなとお客様に察していただくことも一番重要で、感情を出してしまったら想像の余地がなくなり、お察しいただけなくなるのです。これはお客様の楽しみを奪っている演技とも言えます。

このように、感情を出すことは、お客様にとって押しつけるような表現となってしまうばかりではなく、お客様の楽しみも奪うことにも繋がりかねないのです。

ですので感情を出す方法ではなくて感情が湧き起るという演技方法を身につけることが俳優には求められるのです。

では、この感情が湧き起る演技方法とはいったいどうすれば良いのか?

それは次回にお話しさせていただければと思います。

共感いただけると幸いです。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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