2.『話し手が喜ぶ』聞き手の息の使い方

話している相手に気持ちよく話していただけるようにする「聞き手」の息の使い方をご説明します。

話し相手の言っていることが理解できた時 ⇒ 口から息を吸い、ゆっくりと息を吐く(吐く時は口と鼻どちらでもOK)

補足説明すると、人間は驚いたりひらめいたりする時に息を吸います。この場合は、理解できて気づきを得たというひらめきですので、その時に息を吸うのです。そして、自分の納得できた時に息を吐く。ゆっくり吐くのは何故かというと「思いもよらない貴重な言葉で感心している」という息がゆっくりと吐くという動作表現になっているからです。話し手が話している時に、聞き手がこのような息をすると、話し手は「わかってくれたんだ」と満足するのです。

相手の話を真剣に聞いている時 ⇒ 息を止める

この補足説明は、息を止めるとその場の雰囲気の緊張度が上がるのです。また、集中している表現にもなります。つまり「真剣に聞いている」=「緊張(注意)して聞いている」というものが話し手に伝わり、自分の話の重要性を理解してもらえているということが伝わるのです。誰でも自分の話を真剣に聞いてもらいたいですから、これは特に重要です。

この二つの息を覚えるだけでもうあなたは聞き上手です(笑) 表題の通りとっても簡単でしょ(笑)

この二つの息を駆使するとどうして良くなるかはご理解いただけたとは思うのですが、ここからさらに演技論の話を入れますと、この二つの息の使い方で相手の話を聞くと、相手の話のテンポが良くなるというのがあります。人間は機嫌が良くなるとテンポが良くなります。これが俗にいう、

「調子に乗る」

というものです。この二つの息を聞いている時に使うと、気分が良くなり、調子に乗るのです(笑)

「調子の乗る」という言い方…なんか嫌ですね…(笑)

『テンポが良くなるのです』

つまり、この二つの息の動作を駆使すると、自然とテンポが良くなるのです。嘘みたいな話でしょ。だから、芝居でも、話のテンポを良くしたいなと思ったならば、この方法を是非お試し頂ければと思います。

さて、今までは「こうやったら良いよ」という話でしたが、「こうするとだめですよ」という話もしましょうか(笑)

話し手の話している間に相槌を頻繁に入れること

これダメです(笑) そうしたいお気持ちもよく分かります!相槌は「聞いてますよ」というアピールに確かになります。しかし……

「はい・・・はい・・・う~ん、なるほど・・・はいはい、そうか・・・なるほど・・・へ~そうなんだ」

確かに『さしすせそ』はしっかり使ってますが… 出来ればやめた方が良いと思います(笑)

これは「軽く聞いている」という印象を無意識に与えてしまうのです。演技レベルから言うと、頻繁にする相槌は、分かったとしても息を浅く吸うのでひらめいた感が全く表せなく、すぐに吐き出すことになるので、感心したようにも見えない。

だから、こうされると相手は無意識に

『軽く扱われている』

と感じてしまうのです。ですので、私たち俳優は、まるっきり人の話を聞いていない人を演じる時はこういう風に「頻繁に相槌を入れる聞き方」をするのです(笑)

もし相手に嫌われても良いのであれば、この手は有効かと思われますが…(笑) やっぱり、それで揉めたら嫌なので使わないでくださいね(笑)

相槌は聞いている内容よりも、聞いてますよという意識になって、相手の話が聞けなくなるのです。

一方、息を止めて相手の話を聞けば、

「自然と話の内容が入ってくるのです」

ですので、集中して聞きたいという時は、息を止めてみて下さい。こうすることで、相手にも真剣に聞いていることが伝わりますし、自分にも自然に話の内容が入ってくるのでお互いに良い方法なのですね。このように動作から、集中させたり、意識をむけさせたりすることも出来るのですよ。

また、私たちの演技手法で「身体を動かして感情を誘発させる」というものがあります。身体の動作から感情を出力させる方法ですが、この手法を用いるとある程度の感情のコントロールが出来るということなのです。

例えば、気持ちが沈みがちな時に、明るい感情を誘発させる動作を用いれば、明るい感情が自然と湧いてくるといった具合に、不思議な現象が練習をしていくうちに段々と出来るようになるのです。

そう考えると、私たちの感情の浮き沈みは自然と出てくるものではなく、浮き沈みを作っている身体の動作があってそこから誘発されているのではないかと思えたりするのです。

私は専門家ではありませんが、もしも「このような感情をコントロールするような」研究してくれる方がおられましたら、是非私たちの練習方法を提供したく思っております。今までもこの練習で多くの方がこれを実感されているので、この方法が少しでも社会のお役に立てることが出来るのであれば…

そして、この感情を誘発させる動作を私たちは「感情のスイッチ」と言ってますが、この感情のスイッチは実は『息』によるものが結構多いのです。

息の吸い方や吐き方で「感情が誘発される」

このことをより多くの方々に知っていただけるようにこれからも本ブログで紹介します。

ただ、知識がない中でこの「息の練習」をするのは注意が必要です。たかが吸ったり吐いたりする呼吸の練習だと思わないでくださいね。吸って吐いての練習は頭がフラフラしたり、気分が悪くなったりする恐れがあります。

ですので、必ず、知識のある責任者の下で適切な練習をしてください。自己責任でお願いします。と言っても、よく考えたら…

練習方法書いてませんね(笑)

そうなのです。こればかりは指導の下ではありませんので、安全を考え内容は記しません。ご了承ください。

ただ、どうしてもその練習方法が知りたいという場合はコメントまたはこちらのホームページでお問い合わせください。また、内容にご関心頂けましたら、こちらの情報を拡散していただければ大変嬉しく思います。

これからもどうぞ宜しくお願い致します。

最後までご覧くださいましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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