
一昨日昨日、2025年2月1日(土)/2日(日)と今年度の俳優養成講座第2期に向けての2日間の体験ワークショップを開催しました。
1日目6名、2日目6名にご参加いただきました。
お越しくださいまして、ありがとうございました‼
ワークショップ後のアンケートでも全ての方から高評価をいただき、このうち半数以上の方が講座への関心または入会、さらにその他の私さいとうのワークショップの見学をご希望があり、体験型のワークショップを開いて良かったかと思います。
劇団ブルアは今後ますます活発に活動するために、志のある方を募集しております。
ですが、劇団員として即入団ということではなく、一年間基礎をみっちり学んでいただいて、最後に卒業公演に出演していただき、その後、お互いの話し合いにより劇団への入団という流れを作っております。
というのも、私たちの劇団はまだまだ小さい団体なのですが、外部のプロ劇団との繋がりありまして、その外部公演等に即戦力として舞台に上がれる俳優陣を求めておりまして、そういうことが理由でご理解をいただいております。
ですので、当劇団の俳優養成講座はプロの現場で通用する実践型の演技を指導いたしております。
この講座の特長の一つは、まず、受けられた方の殆どが驚かれます。
今回受けられた方の中のご感想にも「最初からこんなに奥の深い話をするんだ」というお声がありました。
そうですよね。
今回は体験ワークショップなので、どういう練習方法でお教えしているのかということがメインになり、それが指針で自分で入会の判断をされるので、最初は簡単なワークなのかと普通は思われるのです。
ですが私のこだわりは
演技術を覚えることにより、将来の自分がどういう俳優になりたいのか?
という明確なビジョンを実際に持っていただきたく、そのサポートし、それを叶えるのが私の役目だと思ってます。
つまり自分の高い理想を聞き、その理想を私たちと一緒に叶えていきましょうというところから練習を始めたい意図があるのです。
何故なら、明確なビジョンがある方が練習は楽しいからなのですね。
誰とも比べず、ただ自分と向き合うことでその成長を自分自身で見守ることが出来る。
勿論、時には成長が感じられないこともあるでしょう。
上手くいかないように感じることも多くあると思います。
ですが、その時のための私たちの役割があるのです。
出来ないところを見るのではなく、出来たところを見る
こういうその周りからの視点で、支えることが実は何より重要なのです。
プロの指導だから厳しいとお考えになられて、私たちの門を叩く方も大勢おられますが、そのような方々からも驚かれます。
何故なら思ってた厳しさがないからです。
ここも私たちの俳優養成講座の特長です。
厳しさではなく、喜びから演技を修得して欲しいからという意図を込めさせていただいてます。
なぜそのようなコンセプトの講座なのかと言いますと、
私自身も、外部の公演に行きますが、殆どが厳しい世界。
勿論それは当然のことではありますが、その中で問題のように感じることがありました。
お芝居を純粋に楽しめていないように見える役者が現場では多く見受けられたこと
これが、私が講座を持つきっかけになったのです。
何故なら・・・・・・
俳優をしたいからこの世界に入っているのに、そこで楽しめていない現状は何故なんだろう・・・・・・?
そうふと思ったからでした。
明らかな矛盾だ。
でもどうしてこんな矛盾を感じるのだろうか。

その答えは、日々の練習や稽古を楽しんでないということに繋がったわけです。
こういう言い方をすると気分を害される方もおられるかもしれませんが、演出のオーダーで演じるような「やらされてる俳優」が多いように思えたのです。
これでは面白いわけがないなと思うに至ったわけです。
実はこの根本になる原因は本当に簡単なことなのです。
それは、役者には役者の、演出には演出の役割が明確にあるのですが、
その明確な役割が分からないから、このような厳しいだけの世界になっている
のです。
役者には役者の役割があり、その仕事をしっかりと熟すことが出来れば、何が起きるかというと、演出からすると楽しみで楽しみで仕方のない仕事となるわけです。
ですが、演出からするとその楽しみがない。
するとオーダーが入る。勿論、演出は俳優ではないので、俳優の事情を考えた指示は行いません。
そうすると、俳優は時には意見することもあるのです。
例えば、その指示ではこちらが上手く動けなくなるというようなことを演出に伝えたりするのです。
ですが、そもそもは、俳優自体がどういう事情かで前から観ている演出の意に反したことから起きていること。
ですから、もしも、俳優の仕事をしっかりと行っていたならば、自分の表現で演出がどのようにお感じになるかまで責任を持つことは当然ですので、それがおかしいから、オーダーがくるということに繋がるのです。
ですから、演出は至極普通のことをしている場合が結構多いのです。
また、役者が時々演出が寝ているのを批判したりしています。ですが、これも前述の理屈からすればもうお分かりになられるとは思いますが、自分たち俳優が眠たくなる演技をしているから待ちの状態で寝ていると考えてもいいのです。
褒められることでもありませんが(笑)
ですから、眠たいから寝ている訳ではないのですよね。
寧ろ自分の仕事を蔑ろにされていると考える演出家の方が多いのではないでしょうか。
これは勿論、逆の場合、つまり演出に問題があることも当然あります。
ですが、今回の話の趣旨から、その点は省略させていただきます。
この役者の仕事が俳優自身よく分かっていないことが原因で稽古が面白くなくなることは本当によくあるのですね。
何回も稽古をしなければセリフが入らないということもそうです。これは間違っています。セリフを入れるまたは合わせるだけなら稽古前の練習で解決できるからです。
それを稽古でやろうとするのは、少々傲慢な行為とも言えます。
というように、このような意識の低いことを考えて芝居をしても意味がないので、意識の高いところからお話しさせていただき、その意識の高さからお芝居の楽しみが見出せるのですよということをお教えすることの方がよっぽど重要なのです。
意識の高い人は、役者の仕事をよく熟知していますので、当然のことながら稽古は楽しくなるのです。
演出と戦っているという構図が容易に想像されます。
演出も負けてはいられませんので、全体の相乗効果を発生させるための方向性を示します。
こうすることで初めて芸術性の高いインスピレーションがどこからともなく流れ込んでくるのです。
そういうインスピレーションを起こす俳優になるための心構えから話せば、演技を覚えることは喜びでもあるし、セリフはより自然に入るので、覚えるという苦行もなくなる。
その方法をまず最初に教えることが何よりも大切なことだと思っています。

稽古に苦労するような人間を育ててはいけません。
稽古を楽しめない人間を育ててはいけません。
芸術は飽くまで「自分の求むるままに」、「ただひたすらに」が理想なのです。
そういうことから一つひとつ技術を覚えていきましょう。
という体験レッスンでした。
実はこれにはカラクリがありまして、この二日間で膨大な知識が今回学ばれた方の中に入ったかと思います。
ですが、これは全て頭の片隅に入れておくだけで良いんです。
その知識を活かそうとしなくても良いと。
ただ、本当に自分が困った時、演技の探求に行き詰まった時に、ふと落ちてくるインスピレーションの切欠となる材料を頭の中に入れた程度のことです。
人間はそれだけ素晴らしい能力があり、例え、教わったことであったとしても自分で得られたインスピレーションで独自に解釈できた方がよっぽど実りが大きいのです。
その人間の素晴らしい能力を自己で経験していただくことが何よりの自信に繋がる。
これがこの講座の特長的なカラクリなのです。
そのために、膨大な量の深いところからご指導させていただきました。

夢のある話をしないと面白くない。
あなたはどういう俳優になりたいのですか?
そこを語り、それを叶えようと決断するから面白くなる。
この決断が何をもたらすのか・・・・・・?
それは、
目の前の事を「やらなくてはならない」から「やりたい」という行動に変化させる
のです。
才能のある俳優が素晴らしい舞台に上がるのではありません。
素晴らしい舞台に上がるから才能のある俳優になるのです。
この法則は、普段の私たちの環境でも同じことが言え、それを証明しているからこそ、言葉に重みを感じていただけたのではないかと思います。

さいとうつかさ
劇団ブルア 代表
劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。さらに、自身のBlog『さいとうつかさの演技力会話力Blog』は1000万PVを超え、多くの方々から支持を得ております。