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舞台にはプロセニアム・アーチという額縁があります。これは演劇は絵画のようにお見せするという意味が込められています。

絵画には、観る人を導く視点誘導という技法がありますが、これは実は演劇にも存在するのです。

その殆どが今はロストテクノロジー化していますが、劇的セオリーを考えた上で、舞台の立ち位置や、動線が決められたものが実はあります。

ですからこれを知らない演者を見ると、その人の技量が一発で分かるのです。

ですがこのミザンスは演出が決めること「ミザンスをつける」という言葉で使われている場合が多く、ミザンスは演出の仕事と思われている演劇人も少なくありません。

ですがこのミザンスは役者自身の演出(こだわり)として、この立ち位置や動線を演技術として持っておくことがよろしいのです。

関東ではミザンスと言ってましたが、私たちはミザンと言ってました。(以降ミザンで)正式はミザンセーヌと言います。

このミザンは、こうすればお客様はこうご覧いただくという演劇的なセオリーとして、役者自身が持つことがとても大切なのです。

この演劇的セオリーを駆使して立ち位置や動線を役者自らで作る(自ら演出する)と、演出にも新しい世界をお見せする機会を与えることになる。

こうして演劇人みんなで作り上げる演劇こそが一番の楽しみで、こういった楽しみが指向性となって、本願となるのです。そうすれば、今までなかったアイデアが舞い降りて、神がかった表現に変化(へんげ)する。

これを他力本願といいます。

他力とは阿弥陀如来のお力。私たちはその奇跡を起こす仕事をしているのです。

ですから、こうした演劇的セオリーから考えた自分なりの立ち位置や動線を見つけることが演技プランにとっても肝心なので、是非身につけて欲しい技術なのです。演出の力だけでは他力はお働きにはならないのです。