
舞台にはプロセニアム・アーチという額縁があります。これは演劇は絵画のようにお見せするという意味が込められています。
絵画には、観る人を導く視点誘導という技法がありますが、これは実は演劇にも存在するのです。
その殆どが今はロストテクノロジー化していますが、劇的セオリーを考えた上で、舞台の立ち位置や、動線が決められたものが実はあります。
ですからこれを知らない演者を見ると、その人の技量が一発で分かるのです。
ですがこのミザンスは演出が決めること「ミザンスをつける」という言葉で使われている場合が多く、ミザンスは演出の仕事と思われている演劇人も少なくありません。
ですがこのミザンスは役者自身の演出(こだわり)として、この立ち位置や動線を演技術として持っておくことがよろしいのです。
関東ではミザンスと言ってましたが、私たちはミザンと言ってました。(以降ミザンで)正式はミザンセーヌと言います。
このミザンは、こうすればお客様はこうご覧いただくという演劇的なセオリーとして、役者自身が持つことがとても大切なのです。
この演劇的セオリーを駆使して立ち位置や動線を役者自らで作る(自ら演出する)と、演出にも新しい世界をお見せする機会を与えることになる。
こうして演劇人みんなで作り上げる演劇こそが一番の楽しみで、こういった楽しみが指向性となって、本願となるのです。そうすれば、今までなかったアイデアが舞い降りて、神がかった表現に変化(へんげ)する。
これを他力本願といいます。
他力とは阿弥陀如来のお力。私たちはその奇跡を起こす仕事をしているのです。
ですから、こうした演劇的セオリーから考えた自分なりの立ち位置や動線を見つけることが演技プランにとっても肝心なので、是非身につけて欲しい技術なのです。演出の力だけでは他力はお働きにはならないのです。

さいとうつかさ
劇団ブルア 代表
劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。
劇団ブルアのSNSも応援してね‼🥰