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お客様に舞台でどのようにお見せするのか。この時に、この「劇的」という言葉は物凄く重要なのですよというお話をさせていただきます。

まず、「劇」とは何ぞや?ということですが、これは著しく変化するという意味です。例えば、劇の後に「薬」をつけると劇薬。これは毒薬とは意味が違い、この薬を触ったりすると火傷など著しく変化するという意味合いですよね。

こう考えるように私たち演劇人は著しく変化することを演じるわけなのです。

ですから、日記のような普通の日常で今日も一日平平凡凡だったというような話だと「劇」の意味をなさない訳でそういう何も起こらない普通の日常の話では演劇とはならないのです。

つまり、演劇って絶対にありえないことが起きた方が面白いってことなのです。

ありえないこと。これがいわゆる劇的なポイントで、その劇的を境にその前後に著しく変化をもたらせることが出来れば、演劇は成立するのです。こう考えれば、演劇って滅茶苦茶簡単なのです。

つまり、ハッピーエンドの作品であれば、その劇的ポイントよりも前の段階では、絶対にアンハッピーな状態に見せておくということがセオリーなのです。

実は、演劇にはこういったセオリーが他にも沢山ありますので、そのセオリーをしっかりと踏んで舞台を作っているかどうかで、実は良い作品かどうかがすぐに分かるのです。これは余談ですが、以前、某協会で演劇の評価をしているところがありましたが、こういうところを分かって評価しているとは思えない作品が優秀賞とかになっていたので、そのような状態では演劇は発展しないだろうなと率直に感じたことがありました。

それだけ、この「劇的」ということは押さえておかないといけない部分なのですがこのことが意外に浸透していないのが現状だと思います。

「劇的」とは人間の葛藤。この人間の葛藤をどのように現わすのか。こういうシンプルかつ明確な意図を持って演劇を作ることが何よりも大切かと思います。

ですから、この「劇」という意味は物凄く重要なのです。

人間の心理からいうと、著しく変化するものに対し、人間は驚くという生体反応があります。この驚くという反応はとても重要なことなのです。それは何故かと言いますと、これも劇的セオリーですが、人間は驚くと胸襟が開きやすくなるからです。胸襟が開きやすくなると、客席と舞台との心が通じ合いやすくなるということなのです。

何故、驚くと胸襟が開きやすくなるのかという理由はここでは教えられませんが、例えば、驚くことで心臓がドキドキしたりすると人は不安を感じたり、安全だと分かれば安心感が生まれたりもしますよね。つまり、外からの情報から自分の感情に直結するから、驚くことにより心に刺さりやすくなるのです。

こういう劇的セオリーは他にもたくさんあります。というよりも、考え方次第では無数にあるのです。しかし、何度も言うようにこの「劇的」というものの視点がなければ、そのセオリーを見つけることは難しいでしょう。ですから、この劇的(ドラマチック)という言葉は演劇人にとって、とても大切なことなのです。

今、若い人たちが今の演劇に必要なこととして、段々と目覚めてきています。本来、こうしたごく自然で、よく考えてみればシンプルで誰からみても分かりやすいことが大切だということに。