私は演劇講座で、演技における心の置き方の話をさせて頂いてます。
すると、この話はどうやら結構変わってて面白いのか、この話で授業が終わりそうな時もあるのです(笑)
そして、知り合いのカウンセラーの方にも、お寺の和尚さんにもこの話を色んな人にしてみてはどうかということを言われて、お悩み相談のような形で個人個人のご相談に乗って、必要であればお話致しております。
私の話は何故面白いのかというと、簡単に言えば、
全然自分に無理をしていない生き方
だからだと思います。
私のところに話に来られる方は、私よりも明らかに立派で、考え方もしっかりしていらっしゃるのですが、そのような方は私みたいなちゃらんぽらんな話がどうも不思議なんだそうです。
というよりも、なんだか偉そうなことを匂わしましたが、
実は、私自身がアドバイスするということは殆ど無く、悩みは専ら聞いていることが殆どなのですね(笑)
だから、
さいとうさんなら話を聞いてくれる
ってなってるのだと思います。
私のお悩み相談は24時間いつでも承っておりますし、
「辛ければ、夜中でも話聞くよ」
って応じています。
それでもやはり人の人生がかかっている場合もあるので、自分の中で入り込んでいい部分と入ったら絶対にダメという線は設けてルールを作っています。
そのルールは相手が辛い時は聞くだけに留めて、相手が少し元気になったら自分なりの話をする
というようなことを……。
それと相手には予め、
「聞くことしかできないけど…」
ということをいつも前置きしてます。
そして、お話を伺うのです。
相手は、自分の話になると、時間が経つのを忘れたかのようにお話しますが、それは私の話の聞きだし方が上手いのではなく、
あなたの意見をしっかり聞いてます
ということが伝わっているからだと思います。
無意識に話し手に「真剣に聞いている」ということを伝わるような演技的な動作で接して、
常に味方でいるという姿勢を貫いています。
誘導しているように思えるかもしれませんが、それは違って、
本当に困っている時にどう言えば相手を安心させられるか
というような、おそらく皆様がそのように考えらえていることと同じことをしているのだと思うのです。
ただ、演技をしていて分かっていることがありまして、
人は言葉ではなく動作の方が相手に伝わりやすい
ということを知っているから、敢えて「返す言葉」ではなく「聞く動作」で応じているのですね。
私も、もしその相談される方と同じ境遇になった時のことを考えると、理屈で頭が切り替わることはまずありませんし、
いくら良い方法や良い手段があっても、困っている人はそれをその時に望んではいることはありません。
そのような時は頭が混乱している時は、まずしっかりと間を空けて自分で落ち着くことの方が重要ですよね。
それに私自身は困っている人の答えはその人自身が一番よく知っていると思っていますので、むやみにアドバイスすることはありません。
アドバイスする時は、
嫌われても良いや
って時に言います。
不思議なのですが、悩み相談をずっとしてますと、相談者が依存することに繋がるので、
ある程度になれば、依存しないようにすることもその方にとってとても大事だと思うのです。
依存は悪いことではありませんが自立を阻む要素にもなりえる場合があるからです。
ですので、ある程度お話をして、少し元気になったなと思ったら、その時に私なりの意見を言わせてもらうようにしています。
そうして、私に連絡が来なくなれば、
便りがないのは良い便り
という感じになるのではないかと思うのです。
私は相談をプロとして聞いている訳ではありませんので、こういう接し方を致します。
私の場合は、意見を言う時に、おそらく相手の受け入れられるものではないこともお伝えするので、その辺りがプロの方とは違うのでしょうね。
何故なら、受け入れられないようなことを話しますので大抵は嫌われるのです(笑)
だから、相談を受けるたびに、
この人もまた私のことを嫌って去っていくのかもしれないな…
とその時点で、半ば遠いまなざしをしている自分もいます(笑)
ですので、相談を受けると私も辛くなる傾向があるのです。
と、まぁ、そんな自虐的な話は置いといて(笑)
実はこの私の役割、つまり最初は聞き役に徹する人、慣れればアドバイスする人というのは自分でもできるのですよという話を今回はしたいのです。
私が思うに、お悩みを抱えていらっしゃる人は、
自分に厳しすぎる
人が多いですね。
だから、自分の弱い部分も当然あると思うのですが、その弱い部分の歩調に合わせていないから無理しているという感じがよくお見受けされます。
いや、弱い部分の自分を認めようとしていない感じが多いのです。
会話の中にも「○○しなければならない」とか「普通はこうするもんだ」とか「常識的に言うと…」など
聞いてて、息が詰まるような言葉ばかりですね(笑)
そこまでに思わせるのは何だろう?と考えたわけです。
そうすると、こういうことが見えてくるんですよね。
「自分は斯くあるべき」
それが破綻してしまったから、それが悩みになっているといった感じでしょうか。
ですので、このような方は私のゆる~い話を聞くと目からうろこみたいになるので、最初は良いみたいなのです。
私はどちらかというと無理しない人なので、なりで生きている感じでしょうか?(笑)
周りからは人生を捨てている人のように思われているところもあると思いますが、私自身はそんなことありません。楽しく生きてます(笑)
なんかこういうと本当にバカみたいですね(笑)
本当にゆるいんですよね。自分に甘いというか…
ただ、芝居になると、
めっちゃ厳しくなる‼
なるんですよ。
あ、いやでも……自分自身はこれが普通かなと思ってますが、周りから見れば、かなり、
ストイックらしいのです(笑)
まぁ、のめり込んでしまったというわけですね。
しかし、これだけは信じて下さい。周りには一切そのストイックなのは強要しません(笑)
基本ぐーたら人間ですので、
出来なかったら出来ないで仕方がないよね
というスタンスです。
でも、それでもみんななんだかんだ言って、最終的には持ってきてくれるとどこか信じていますが、決して強要はしません。
芝居で結果が出せないなら降板すれば良いじゃない
とも考えています。
それが一番厳しくないかい?って聞く人もいますが、
降板させられたことのある私から言わせてもらうと(笑)
その方が勉強になるんです‼
というより、その人にとってそれが最良の勉強方法なのですよ。
公演がゴールではありませんから、素晴らしい俳優になって誰もが認める人になるんだという高い志があるのですから、
降板させられた方がかえって箔がつく
くらいに常に自分に都合よく考えることの方が重要なのです。
だって、降板ってそんなに経験できませんからね。
それに代わりの人が大抜擢になれば、周りも潤うわけですし、なんてことないのです。
と、こういうことを言うから変な人と言われるのですが(笑)
それくらい、
自分の中に自分の味方になる人がいますか?
ということが言いたいのですね。
自分の中には悪いふうに物事をとらえる人は絶対にいるんです。
ただ、そいつの言うことだけを聞いてたらダメなのですね。
「こうしたらダメだとか」「こう思ってはいけない」
自分の中のそいつは本来の自分を悪者にせしめてるんですよ。
「このままじゃいけないよ」
って今の自分を完全に否定した考えにしてるのですよね。
こんな考えで自己肯定感なんて上がるわけがないのです。
この人間の欲が抑えられているから具合が悪くなってるのだと思うのです。
だから、自己肯定感を上げるための直接的な努力、つまりSOSを出して相談しているのではないでしょうか。
その自己肯定感を上げる矢先に、目の向けたくないこと、つまり『自分に全て問題がある』と相談相手に言われたら、
自分の中でいつも苦しめている「そいつ」と同じ自分を否定することと同じことをされるのだと思うのです。
ここで明らかにしたいのは、
自分の中で否定する「そいつ」がいるから問題なのですよね。
でも、そいつの存在を消し去ることは難しいのだと思うのです。
だから、自分の中にもう一人自分を肯定する人を共存させる方法で考えなければいけないのですね。
今までは、そいつの意見だけを聞いてましたけど、今度からは…
セカンドオピニオン
を言う人が心の中で現れるのです(笑)
つまり、自分を否定する「そいつ」に対抗できる、肯定の『そのお方』にも自分の中で住んでいただければいいのです(笑)
例えば、何か習い事をしている時に、
「そんなこと考えているから、いつまで経っても上手くいかないんだ」と「そいつ」が言ったら、
もうやめたくなりますよね。だからそういう時に、
『そのお方』が現れて「いや、でもそう考えてしまうよね…どうしてそう考えるんだろうね仕方ないね。何回か数をこなせば分かってくるよ」と応戦する。
こうすることで継続の意義が保てるようになったりするのです。
継続できない大きな理由は「心変わりですよね」
人間は上手くいかなくなると、諦めたりするものですよ。
その時、諦める人は心の中の「そいつ」の意見しか聞けなくなってるんですよね。
いよいよって時には『そのお方』が登場してももう焼け石に水なのですよね。
だから、早いうちから『そのお方』に自分を肯定するように持っていくことが大切なのです。
そして、
お待たせしました(笑)
今回最も言いたかったことは、
「そいつ」は言葉で攻めてきますが、それに対抗するには『そのお方』に
イメージを添えて自分に訴えてもらうと良いのですね。
何を言ってるか分からないですかね(笑)
演技では、セリフと動作の演技であればどちらがお客様に伝わるかというと
「動作」の方なのです。
ですから、視覚に訴える方が聴覚よりも「伝わる」のです。
言葉は「伝える」という意味合いが強くなるので、
動作の「伝わる」という演技法を自分にも使ってみるのです。
例えば、「そいつ」がまた良からぬことをあなたにそそのかそうとしています(笑)
その時、
「また、お前はそんなこと言ってるの!ダメだよ。そんなの信じちゃダメだよ!」
という動作をするのです(笑)
一度やってみて下さい。絶対に自分で何やってるんだろって笑えてきます(笑)
動作ってどうするのよ!
って思うかもしれませんが、
まず「そいつ」が心の声でそそのかそうとした時に、それを遮り『息をびっくりして吸う』
これが「また!」と驚いてるわけですね。
その次に『大きなため息をつく』
これは、もう本当にあきれているという表現になります。この時に目をつむって、眉毛と目の間を空けるくらい眉毛を上に上げると、なお呆れているというイメージがしやすいです。
そして最後に「ダメだよ、そんなこと聞いちゃ」は、外国人のゼスチャーみたいに両手を上げて首を左右に振って、口をムの字にする。
それを言葉なしでやると完了です(笑)
バカバカしいでしょ(笑)
でも、面白いですよ。否定しようとする自分が本当にバカバカしくなってきますから。
まぁ、信じられないかもしれませんね(笑)
ただです。これが違う人間だと上手くいくのが分かると思います。
つまり、相談する人が少しでも自分を否定するようなことを言ったりした時に、
とても険しい顔をして「そんなことないよ」と念じる
すると相談している人もその受け答えに無意識に自己肯定感が得られるようになるのです。
この時に言葉はかえって、聞かないのです。慰めで言ってくれてるんだなとその奥の動機を無意識に感じ取ってしまうからです。
でも、とてもとても辛そうな顔で自分の話を聞かれたらどうですか?
親身になってくれてるなというのが伝わるはずなのです。
つまり人間には、自分にも周りの人にも「伝わる」方法で意思表示をすることが大切なのです。
とっても、バカバカしいお話かもしれません。
信じていただけないかもしれませんが(笑)
自分の心の中の会話を上手くしないと、奥底の心の想いはなかなか見えないものではないかと思います。
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さいとうつかさ
劇団ブルア 代表
劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。さらに、自身のBlog『さいとうつかさの演技力会話力Blog』は1000万PVを超え、多くの方々から支持を得ております。
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