人間の感情の前には驚くという動作があります。

驚くという動作は息を吸う

ことになりますので、感情が出る時に息を吸うという動作をすると、リアリティのある感情表現になります。

喜怒哀楽。

ネガティブな感情、例えば「怒り」と「哀しみ」は息を吸ってしまうとその感情に支配されてしまうので、出来るだけ吸わないようにします。

すると、「怒り」を或いは「哀しみ」を我慢しているように見えます。これもリアリティがあるように見えるのです。

本来このような不快な感情は表に出したくないものですから、驚いて息を出来るだけ吸い込まないようにすれば誘発されることはありません。しかし、その感情を抑えたところで、頭の中でその感情が支配されてくると無意識に息を吸ってしまうことになるので、吸いたくないけど吸わされているという感覚になるのです。そして息を吸いきった時に感情の頂点に達してしまってコントロールがいよいよ効かなくなるというのが情動の動作メカニズムにになるのだと思います。

一方、快な感情の場合は、その感情を表に出すことに抵抗があるという状況は滅多にないと思いますので「笑う」「楽しい」「嬉しい」の時はほぼオートマチックに心の赴くままの身体の動きをすれば良いのです。

つまり、驚いて息を吸いながら、感情を表に出せばいいのです。息を吸い込んで自然に快の感情を迎え入れる態勢ですね。

でもそんなことで本当に快の気持ちになれるのかということですが、

これは訓練をしていくと段々とそういう感情が誘発されてくるようになります。

これを私の講座では、

身体動作から感情を誘発させる

として実践的な練習をしております。

この時の具体例を今回ご紹介いたします。

本当に楽しくなってくるような感情を誘発させるためには…

驚く仕草をするためにはっと驚くように息を吸ってみてこの時に徐々に口角を上げて笑顔を作る

この動作でポイントなのは、最初は驚いてゆっくり息を吸って笑顔を作ることから始めることです。

笑顔って知ってますか?

「笑ってください」っていって笑ったら大抵の人は目が怖かったりするのです(笑)

俗にいう目が笑ってないというやつです(笑)

意識的に笑顔を作ると、口だけになってしまって、目は一つも動かない場合が結構多いのです。

ですから、笑顔って練習が必要なのですよ。本物の笑顔でなければ効果がないのです(笑)

後右左のバランスも違う人がいます。

笑うと顔の左右のバランスが悪く「不敵な笑み」のように見える人も多いのです(笑)

ですので、左右出来るだけ同じような感じで口角を上げて目もしっかりと笑っているという顔を鏡で作らないといけないのです。

それくらい、笑顔って意識してないものなのです。そしてこの正しい笑顔(笑)をマスターしてから、

驚く仕草をするためにはっと驚くように息を吸ってみてこの時に徐々に口角を上げて笑顔を作るという練習を何回も何回も反復していくのです。

そうすると徐々に身体の部分に変化が訪れます。それが出来るようになると頬の奥がジーンと痺れるような感覚になったり、後頭部が痺れるという方も中にはおられます。

つまりこの痺れるような感覚が感情を誘発させているサインとなって、「本当にそういう楽しい気分になっているような」感覚が徐々に掴めるようになってくるのです。

つまり「驚いて息を吸いながら笑顔を作る」と本当に楽しくなってくる感覚が生まれるのです。

嘘みたいな話ですけどね(笑)

このように何回も何回も感情が誘発する身体動作のメカニズムで動かせると、本当にそのような感情が芽生えてくるようになってくるのです。

ですので、普段でも暗くて沈んでいる時に、この演技手法を使うとある程度気分が晴れて、深く陥ることは無くなります。もっと感覚が慣れてくれば、楽しくなるメカニズムで動けば、本当にそういう気持ちが自らで誘発されるようになってくるのです。

楽しい気持ちになると、頭の中のイメージも明るいものへと目が行くようになるので、心が軽くなります。この心の軽い時に、笑顔の種は沢山増えるのです。

例えば暗い顔をしている人がいますが、ご本人は誰にも迷惑をかけていないと思っていても、暗い顔だけで実はすごく周りにネガティブな印象を与えてしまってて、ダメなのです。特に影響力のある社長や上司が暗い顔をしていると、周りも暗い顔を強いられてしまうのです。暗い顔をしてて面白い訳はありませんよね。だから、本当に迷惑をかけてないと思うのであれば、顔にもしっかりと責任を持ってもらわなければいけません(笑)

それくらい顔の表情は重要なのです。

辛くても笑顔でいること。これを無理していると捉えるのではなく、笑顔から感情を楽しいに変えるという意識で取り組んで欲しいのです。

この意識が増えれば、笑顔になる時間は自ずと増えていきますし、笑顔の多い人はキラキラ輝いていますので、これを武器にしてもらえたらと思います。

それだけ笑顔って凄い効果なのですよ。

ただ、先ほども言ったように笑顔になれと言ってもなかなか笑顔にはなれませんので、鏡を見て練習して下さいね。

この練習はバカバカしい練習になるのでなかなか続けるのは難しいのですが、笑顔の魅力が分かればきっとできますので、是非お試し頂ければと思います。

もう一度言います。

驚くように息を吸う、そして段々と笑顔にしていく。

この時しっかりと目も笑顔になっているかをチェックする。口角のバランスもチェックする。

出来ればしわくちゃな顔になるくらいの笑顔が望ましいです。

そうして、回数を重ねていくと、頬の奥の部分か後頭部に痺れる感覚が現れるので、その感覚が現れた時に、笑顔になった時の感情が湧き上がってくるような感覚が出てきます。

そしてその感覚が出た時に、物事を何か浮かべたら、ポジティブな感情が湧き起り自然と感情が誘発されるようになります。

人間にはいろんな動作が無意識でされています。その無意識に動かしているものを動作のメカニズムによって感覚を呼び覚ますような方法なのです。

是非一度お試し下さい。

気分が滅入りがちな人にお勧めします。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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