717 ビュー

人間色々ありますよ。

特に芝居してたら、生きていくのも大変ですからね(笑)

それでも笑っていられるのは100%周りの人のお陰です。

この感謝の気持ちが私をいつも幸せにしてくれてるって確信しています。

ですが、以前所属していた劇団にいた時にこういう幸せを感じたことがなかったな。

人間本当に色々とあります。

私の若い時は揉め事ばかりで、お芝居していることがそもそもの元凶とよく言われてました。

人生を棒に振ってるとも言われましたし、将来設計も何も立てられないので、愛想が尽きた人も数知れず。

本当にロクでもない人です。

人間の幸せにはほとほと縁がなかったこの私ですが、でもどうして芝居を続けてきたのかと言われると、正直「これしかなかった」という感じなのですよね。

ですから、これしかないものを自分から取り上げられたら、もう自分ではなくなるなってなるんです(笑)

以前所属してた劇団を退団してからは就職もしました。

昼夜働いて某会社の営業成績では新人の部で日本一になったこともありました。

それでも、その会社を半年で退社。

仕事は楽しかったし、やり甲斐もありました。

でも、なんか違うって。

自分に正直に生きることは本当に我儘だと周りから言われましたが、そこだけはどうもならなかったんですね。

そんな中、元芝居関係者から連絡が。

内容は主役が飛んだから、助けてくれないかというもの。

とても難しいオファーだったので、最初は無理かなと思ってましたが、

さいとうちゃんに断られたら、公演中止にして会場前で来られたお客様に頭下げるつもりだ

と言われて、そういう覚悟があるなら、私も一緒に謝る覚悟でその役を引き受けましょうと、2時間出ずっぱりの芝居の主演を10日前に受けました。

本番の日もセリフは入ってません。

プロンプターを上下に二人つけてもらいましたが、いずれも新人で、全然声も聞こえず、結局、ゲネでも最後まで演じ切ることは出来ませんでした。

途中で中断し、楽屋に引きこもりました。

開演二時間前に演出の方が私の部屋に入り、

以前私と共演したことのある女優さんに連絡取って、そしたら是非ともプロンプを申し出てくれて、今急いで劇場へ向かってくれてる。気休めかもしれんけど、これくらいしか出来ひんでゴメン

と話された。

開演1時間前に、女優さんが到着。私の楽屋へ。

さいとうくん。来たよ。私、どっちにいたら良い?

私が下手階段奥でセリフ飛ばしてもらっても良いですかと言うと、分かったと私の台本を受け取り、その後何も言わず、下手の方へ向かわれた。

そして本番。

幕が上がってしばらくして私の出番。

もうそこからは記憶がないんですよね。

その次に記憶があるのは、カーテンコールが終わって終演した時に、袖でみんなで泣いて抱き合ったこと。

次に、耳に入ってきたのは会場が割れんばかりの拍手で響いていたこと。

余談ですが、初めて本番で、作品全部を最初から最後まで通せたのでした。

プロンプをして下さった女優さんも涙で出迎えてくれてお互いの健闘を讃え合いました。

この芝居が私の芝居の世界へのカムバックでした。

それからはフリーで俳優活動を再開、アルバイトなどしながら、色んなところで芝居を教え、やがて自分の演劇ワークショップを持ち、劇団を持ち、今に至るのですが、今も大変なことばかりです。

ですが、それでも笑っていられる。

どうしてでしょうね。

人並みの幸せとは程遠い生き方ではありますが、今思うとこれほど自分らしい生き方出来るって今の時代では本当に贅沢なことなんじゃないかなって思います。

自分のやりたいことに純粋に取組める。

後は、運任せ。

そんな人生です。

ある種、浮世離れしているところがあるので、お悩み相談も日常茶飯事。

もちろん私は気の利いたことは言えないけれど、元来私は俳優です。

人の喜ぶことを幸せとしている職業ですから、過去の私の失敗談を持ち出して、自虐して一緒に相談にしに来た人に笑ってもらうんです。

その時、こう思うんじゃないかなって思うんです。

上には上がおるけども、下には下もおるんよ(笑)

 って。

でもさ、私みたいに下に居ってもさ、楽しく笑えるもんやで

というのが今のところ私の話のクロージングになってます(笑)

結局なんやかんや言うても、自分は何で生きているのかなんて誰にも分からないし、それを探して生きてるんやと思います。

その時に自分なりの言葉はいるんやと思います。

芝居の主人公と同じ。

クライマックスは自分の言葉で観客と向き合いたいんですよね。

その時に、自分が脇役みたいな生き方なんかしてたら、いつまでも自分の言葉は出てこないんと違うかなとは思います。

今の若い人たちには自分を主役として生きて欲しい。

自分がハブになって生きるんです。

シガラミ的な考え方は一切捨てて、自分から枝葉を伸ばすんです。

私は今も芝居をしていますが、不思議なことに昔の伝で、お芝居は一切していません。

本当に一から始めました。

人との関係はとても大切ですけれども、仮にその関係性で依存するようなことがあると、自分の考えを疎かになるかもしれません。

そしてそれは絶対にして欲しくないのです。

仮に団体にいたとしても、それは飽くまでも私の意思で所属している。

それで良いのです。

この団体で大きな作品を一員として作り上げたいという仲間さえいれば、それだけで良い。

その一緒にいるひと時が幸せのように思います。

私は本当に多くの幸せを経験してきたように思います。

辛いことがあっても頑張りたい。

そう思えることが今の段階では幸せだなって思うんですよね。

「上には上がいるけど下には下もいる」への2件のフィードバック

  1. さいとうさん、一時期、芝居から離れていたんですネ❗
    離れたから「見えたモノ」があったから今があるのかもしれませんな☝

    今後もご自分と周りの人達と笑顔でいられる人生となるといいですネ☆彡

    1. 大信田さん
      いつもありがとうございます。
      はいそうです。芝居から離れて・・・
      何か見えたものは・・・あまりよく分かりませんが
      どのようなお仕事でも同じなんだなと感じました。
      ありがとうございます。
      皆さまと共にありたいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です