
演技というのは、生涯学習だと思います。
だから日々理想を追い求めて演技研鑽に励んでいる。
お芝居を教える時に一番重要なのは、常に即興で新鮮な演技をお教えする人にご披露すること。
実際に目の前でやってみて、ご納得いただくことが一番演技に対しての理解が深められるからです。
もしも、実演する演技がお教えいしている人に「大したものではない」とお感じになられたならば、その演技自体が「大したものではない」という誤解を招く場合もある。
ですので、実演には細心の注意を払って、演じる時にどのような面持ちでいるのかまでしっかり話し、かつ、悪い例も実際にやってみてお見せしてをしています。
ですので、このような作業は私の演技術を磨く絶好のチャンスとも言えて、俳優養成講座や、演劇ワークショップ等では毎回勝負させていただいてます。
演技というものは、自分に如何に分かりやすい指示出せるかがとても重要になると思っていて、即興でする時には特に、シンプルな指示を自分に出して、出力するようにします。
演技を出力というのはどうしてかと言いますと、「演技をする」というオーダーを出してしまうと、演技をしようとする自分自身の動機が表われてしまうからです。
表現には自分の意気込みは要りません。
寧ろ邪魔になりますので、出来るだけ純粋に表現できるようにただボタンを押して出力するというような感覚で自分に指示しています。
こうすることにより無意識な身体の動きを自然に得ることが出来て、より強力なエネルギーが出るというカラクリを利用するのです。
この説明だけでは難しいですよね。
一つ例を挙げると、例えば、もっと声を大きく出して欲しいと指導者から言われたとします。
この時、演劇をしたことのない人でしたら、無理に大きい声を出そうとするかと思います。
そしていざ、声を出してみると、確かに声は大きくなっているんです。
ですが、毎回頑張らないと大きな声が出ない状態を作ることになってしまう。
このようなことは誰にでも想像しやすいかと思います。
これでは、頑張れなくなった時、当然ですが声も小さく戻ってしまうのです。
これを解決する方法が、今回のお話。どうすれば大きな声が出せるのか。
実は私は一発で大きな声を出せる方法をご紹介しましょう。
これを実際にご経験された方はかなり驚かれます。
自分にこれだけ大きな声が出るんだと。
どうするかというと、
楽しくするということ
です。
なにそれ?って思われるかもしれませんが、これが本質だと思っています。
人間は得意になったり、楽しくなると声が大きくなります。ですから極力楽しむところから声を出すということをすれば良いのです。
これで、解決します。
特別なトレーニングは必要ありません。
でも一番問題なのは、どうやって楽しんで声を出してみるのかですね。
でもそれはとっても簡単です。
自分で楽しくなるようなことを設定するだけで良いのです。
私の声を大きく出す指導法はとってもシンプルです。
「昭和のドラえもんでこの文を読んでみてください」
であったり
「ロボットのような話し方でこの文を読んで下さい」
とか
「小さい子の物知り博士のような感じで話して下さい」
とオーダーを出すだけなのです。
すると、それこそ劇的に皆さんのパフォーマンスは変わります。
読み終わった後は自分でもあまりの声の大きさにびっくりして爆笑の渦ですが、こういう笑顔のもとで声を出すことが最強なのです。
人間は元々凄い力が備わっている。
その凄い力の殆どは潜在部分にあるのです。
ですので、意識したところではなく意識のないところで出力すれば相当大きなエネルギーが生まれるのです。
この場合は大きな声を出そうという意識にはならず、ドラえもんだけに意識が行くのです。
すると、自分のイメージするドラえもんだけが出てくるのです。
演劇を始めたばかりの方は、表現テクニックを学ぶために、表面的な感情表現を練習しようとしますが、それは間違いです。
既に私たちの中に表現するものが全て備わっているのです。それをどのように引っ張り出すかというのが演技なのです。
演技は自分のためにあるものと常日頃申し上げているのは、こういうところからもあるのです。
自分を正確に動かすことが出来れば、周りの人の心も、観客の心も動かせることができます。
それが演技なのです。
自分の心を動かす技術、それが演技
そして、この自分の心を素早く響かせるような指示を送ることも素晴らしい演技の一つ。
このことを若いうちから実感していただきただければと思います。

さいとうつかさ
劇団ブルア 代表
劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。さらに、自身のBlog『さいとうつかさの演技力会話力Blog』は1500万PVを超え、多くの方々から支持を得ております。
ふむふむ (^~^)
演技力を磨くには大きな声を出すことがポイントになるワケですな☝
その為には「楽しむこと」が重要ですな☆彡
さいとうさんの人の心を動かす技術、素晴らしいです☆彡
ありがとうございます。
大きな声は自信にも繋がるので
是非覚えていただきたいことでもあります。
共感いただき嬉しいです。