2. 台本は逆さから読むと分かりやすい

上下逆という意味ではありませんよ(笑)逆立ちしたらひらめくとか、一休さんの座禅で木魚の音とかそういう類の話ではありません(笑)

結末から読む

ということです。結末から読むと面白いくらいに今まで気がつかなかった、たくさんの疑問が見えてきます。そしてその疑問の答えやヒントは常に「前に」「前に」あるのです。だから話を遡ってみると、

因果が見えてくるようになるのです

私たち俳優は台本を読み続けると段々とマヒしていきます。それは、結末を知ってしまっているが故に盲点が出来てしまうのですね。これは実はとっても深刻な問題で、「普通、こうだよね」ってことがマヒして気づきにくくなるのです。どういうことかというと、そもそも、台本というのは、ドラマチックな展開になるもので、いわゆる「平凡な話」は有り得ないのですね。

例えば・・・想像してみてください。普通の人の一日を日記風な話で展開した作品…お金を払ってまで見たいとは思いませんよね(笑) 凄いことが起きる。それがドラマなのです。劇的な要素があるから面白い訳であって「ラーメン食べで寝ました。おしまい。」っていうような、平凡な一日を見せられたところで…となりますよね(笑)

しかし、台本を読み慣れてくると…劇的なことが起きているにも関わらず、結末を知っているが故にマヒしてしまって、「別に大したことがないじゃん」っていう風に普通に話を流してしまって劇的な要素を奪ってしまう怖れがでてくるのです。

この例として挙げられるのが、

次にセリフがあるという前提で話している

とか

セリフ言い終わるまで待ってしまう

など・・・そういった、次に何が起こるかが分かってるが故に、無意識に分かってしまっているような表現行動についついなってしまうのですね。ですので、常に、

今初めて聞きました!

っていう芝居が必要に・・・・・・・しかし待ってください。これ、実は出来そうで出来ないことなのですよね(笑) 世の中には出来そうで出来ないことを言う人が多いですから気をつけて下さいね(笑) これは絶対にできませんから(笑)

だってもう知っちゃってるのですから、初めて聞いたとはもうなれないんです(笑)

ですから、「今、その時、初めて聞きました」って演じる時点で、役の人物ではなく役者の動機が出てしまって、余計に「嘘臭く」なるのです(笑)

それよりも、「この話を聞いたら、ここで感情のスイッチを押す」といった具合に極めて冷静にすることが演技において実はとってもとっても大切なのです。(感情のスイッチという話はまた別の機会にお話しさせてもらいますね)

簡単に言うと、そのスイッチを押せば自動的に感情が誘発されて、あたかも、本当に今それを体現しているかのような表現になるので、とってもリアリティのある演技が可能となるわけなのです。この表現方法を、

身体動作から感情を誘発させる表現

と言います。これを演技というのです。これとは違って、よく、アマチュアの演劇でお見受けする表現なのが、

感情を出そうとする表現

・・・これは間違った表現方法で、これは残念ながら演技ではありません。演じているだけなのです。

本来、感情というものは自然と湧き上がるものであって、出すものではないという根本的な原理を理解する必要があるのです

例えば、怒っている人を演じる場合、感情を出そうとする人は「私は怒ってます」という動機が見えるので、非常に説明的な演技になってしまう。

そうではなくて、自然と怒りが込み上げてくるものと理解していたならば、怒りを抑えるという動機を表すことが本来は必要であって、決して怒っているという感情を出し方にはならないのです。

これは悲しい感情表現もそうです。涙を堪えるけども、それでも溢れ出てくるものだから、観ている人の感動を誘うのです。

このように、感情のメカニズムをしっかりと理解して、相手のセリフが切欠で感情のスイッチを入れ、自然とそのメカニズムで作動するようにする緻密な作業が実は必要なのです。そこに技があるのです。

そのために台本とにらめっこして、自分がどう感じたかを探し、ここっていうところで、どういう風に感情スイッチのボタン入れるのかということを探るのです。これが台本の読み方なのです。

本当は台本の読み方、重要なことは、まだまだありますが、このように演技というものは、普通に台本を読んでも出来ないことがお分かりいただけたかと思います。

この台本を読む技術をぜひ早いうちに取得して、演技に生かしていただければ、必ずキラリと光る鮮やかなパフォーマンスが出来ますので、ぜひ研究してみて下さいね。もしこの方法を体得したならば、きっと注目される俳優になれます。

演技の表現技術よりも寧ろこちらの方が、頭一つ抜けた存在になれます。だから良いのではありません。頭一つ抜けると、注目度が上がるので、より重要な役が巡ってくるということなので、俳優としての最重要スキルとも言えるのです。

上達すれば素晴らしい役につけると思っておられる方が多いと思います。しかし、それは違います。素晴らしい役に出会えるから自分も成長し演技の上達に繋がるのです。

その切欠を作るのがこの台本の読み方になると言っても過言ではありません。

ですから若いうちから知っておきたい技術なのです。今しかできない役があるのですよ。5年後10年後とかそんな悠長な考えですと、適齢期の役は一生巡ってこないのです。これを知っている人が舞台でも人生でも主役の座を常に掴み取ることが出来るのです。

もし、こういうことを学んでみたい思われる方がおられましたら、俳優養成講座に来てみませんか。

タップするとブルアの俳優養成講座ページへ

ご関心ありましたら、是非、劇団ホームページよりお問い合わせください。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

LINEで送る
Pocket
このエントリーを Google ブックマーク に追加
LinkedIn にシェア

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です