
実は私さいとうつかさは、体調不調が続いている。舞台から降りて体重が20kg近く増え、明らかにメタボです。それに加え、持病の発作が最近頻繁に出てきて、自分の体調がコントロールできなくなっていました。今は療養して、だいぶんマシにはなりましたが、今のままでは再発する可能性はかなり高いと思います。生活を変えなければと思っているところにこういう話が頭によぎったのです。
私が舞台から降りたのが今から20年前。35歳の時でした。35歳以降でも緊急登板で出たことはありますが、それでも10回も立ってはいません。つまり、35歳から完全に裏方にまわったのです。主に演出、演技指導として活動してました。もう舞台に立たないのかとよく聞かれますが、時期が来れば復帰すると言っていました。でも今ではなかった。演出と役者の両立は私にとって難しいと考えていたからです。
ですが、私が舞台に出ることで、今の劇団にはもしかしたらメリットがあるのではないかと、ずっと病床で考えていました。今からまたトレーニングすれば舞台に立てる自信はある。今のチャンスを逃せば、もうないかも知れない。そう考えたのです。自分のエゴで舞台に立とうとしている訳ではありません。教え子に自分の背中を見せて、芝居を盗んで欲しいと思ったのです。実は昨年から、色々な方々から舞台に復帰してみてはいかがですかと、お話をいただいてました。その時は、あまりに負担が大きいように感じたので、難しいと判断していましたが、私が教わったお師匠さんは、常に舞台でご一緒させていただき、数々勉強させていただいたことを思い出すこともあり、やはり私もいつかは教え子と一緒に舞台に立たねば、実践の勉強にはならないかと考えるようになったのです。
私も道半ばの人間ですので、全てにおいて自信があるわけではありません。長いブランクは相当なものだと感じてますし、以前のような板の上での芝居観もないでしょう。それでも、今を逃すともう私は舞台に上がれないような気がして、恐怖を感じてしまったのです。私は、役者になりますとかなりストイックになり、役作りのために一ヶ月で14㎏落とした経験もあります。十日で2時間出ずっぱりの主人公のオファーを受けたこともある。とにかく、芝居のために死んでも良いと考えることは毎度毎度で、舞台に出るということは命を削ってるような感覚でした。今はもう流石に歳でも、私の性格上、年齢関係なくかなり自分を追い込むことになるでしょうから、そのしんどさを耐えれるとしたら、もう今しかないと思っているのかもしれません。
ですから、まずは普段の生活に支障がないほどまで快復したら、来年にはもしかしたら舞台に立つかもしれません。今の教え子は私の舞台を生で観たことがない人もいる。今の演劇ではいけないと思い、裏方にまわって20年。まだまだ道半ばですが、少しアプローチを変えて、劇団の将来に繋がる活動をしていきたいと考えました。

さいとうつかさ
劇団ブルア 代表
劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。
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