2.動作練習ー足の運び方

お芝居を始められたばかりの時は、

舞台に立っているだけなのに、

あれ?私って普段どうやって立ってるんだろう?

となって、そわそわした経験はおそらく誰もが経験しているのではないでしょうか?

これも、普段の身体動作が無意識で行っているものですので、急に意識してしまったとたん

立てなくなる

ということが本当にあるのです。

普段私たちはどうやって立っているのか分かりますか?

おそらく殆どの人があまり意識してないのではないでしょうか(笑)

普段自分が立ってる時、どこに重心があるのだろうと考えると、右に体重を載せたり左に体重を載せたりして、ずっと立ち止まることが出来なくなるんですよね。

特に600席以上の劇場になると観客からの圧が変わりますので、

立っていられなくなる

ってことになるんですよ。

それだけ、緊張下にいると自分は動けなくなるものなのですね。

だから、舞台にいても普通に話して普通に動いている人は

とてもつもなく凄いのですよ

客席からの圧をもろともしない心臓に毛が生えている人……

そう思われるかもしれませんが、そうではありません。

心臓に毛が生えている人は、客席を気にしないというタイプ。

でも、とてつもない人は、

観客からの圧力を感じながら舞台に立っている

のです。

これは、本当に凄いことで、集団圧力の中で、冷静にその圧力を自分の力に替えているのですね。

こういう方たちは「お客様の力があったから役を務めあげることが出来た」と考えていて、

とてつもないプレッシャーの中で舞台に生きているのです。

この中に飛び込むのは相当な経験が必要で、これを知ると

俳優ってとっても凄いことをしているんだな

と感じるはずです。

しかし、そこのステージにはそこに行く人にしか分からないところもあるので、

いくら凄い凄いと言っても、なかなか実感が湧かないのは私も含めてそうでしたので、俳優の凄さが分かることの難しさも痛感しています。

難しい話をそれくらいにして、今回は簡単に(笑)

さて、では、舞台で立つ時にどういう感じで動けば良いか少しお話しします。

まず、こう思ってください。

舞台はどこに立っても良い

ということです。

確かにこう言われたりします。

稽古の時に演出が、

「そこにいて下さい」

と。

もちろん動いてはいけない時もありますが、

殆どの場合が、そこに居て下さいとは言っても動くなとはいってない場合が多いのですね。

ですが、そこに居て下さいと言われたら、

動けなくなるものなのですよね(笑)

あまりに動けなくなりすぎて、後ろから声を掛けられて振り返っても

上半身だけが後ろを向いて、足は前を向いたまま

という何とも滑稽な動作をする人も稀にいたりします。

私たちはそういう動作をした時、

クレーンになってるよ(笑)

って言います。

このように、舞台の上ではとっても窮屈に考えて、「動いてはいけない」という意識が働いてしまうのですね。

ですから、このことを直すために足の運び方を練習するのです。

普段私たちはこれも無意識に足を使って態勢を上手く変え、自分の居易い体勢にしています。

これを意識化させるには、

普段こういう風に動いているのだということをまず知ること

から始めなければいけないのです。

そして、自分でやってみて

「私って、いつもこうして動いているんだ‼」

と未だ見ぬ自分と出会ったような経験をそこでするのです(笑)

これは本当に面白くて、自分が思っている動作とは本当に違うのです。

これが出来ている人と出来ていない人で、芝居の出来る人がどうかの明暗が分かれます(笑)

ですので、芝居の達者な人かどうかは、台詞よりも動きを見れば一発で分かるのです。

実際に動いてみると、大抵皆さんが、

難しい‼‼

と言われます(笑)

自分が普段やってることが難しいだなんて可笑しいですよね。

ですので、普段歩いている足の歩み方をよく知り、それを練習しないといけないのです。

これは、

身体に覚え込ます練習ではなく、脳に覚え込ます練習なのです。

演技はフィードバックがとても大切です。このように、脳がこう動いているんだぞという風に覚え込ませて、

『可笑しな動作だと誤作動させない訓練をする』

のです。

実際におやりになればわかりますが、

普段の私たちの無意識の動作を意識すると、あまりに想像と違う動きをするので

「気持ちが悪いのです」

そして、具合が悪いのは、

このように思ってしまうと、観ている人からしても「気持ちが悪い」と感じてしまう

のです。

これは無意識に気持ち悪いと発して無意識に受け取っている人間の凄い力なのかもしれません。

感覚が伝わるという力

ですので、変な感覚を持たないように、「脳にこの動作はおかしくないよ」と覚え込ますのです。

面白いでしょ(笑)

これを私たちは

『気持ち悪いが丁度良い』と言います。

歩き方のポイントは、

・普段の歩幅
・歩むスピード
・歩み出す時の息の吸い方
・歩いている時に何を考えているか
・歩いている時の目線
・立ち止まる時の足の止め方
・振り向く時の足の向け方
・足のコースの取り方

上記の8点は必ずチェックしましょう。

こういう基礎的な練習が演技に良い影響を与えることをしっかりと認識できれば、

目の行きやすい表現者になれるでしょう。

さて最後ページで、よりレベルの高い演技を身につけるための方法をお話しします。

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