2024年7月20日(土)・21日(日)に神戸の新開地アートひろばにて劇団ブルア第6回公演『流れ星』を行いました。
ご来場下さいました皆様、誠に有難うございました。
今回も予想を上回る観客数で、また、前回に引き続き日本各地からご観劇に来て下さいまして本当に有難く思っております。
これもSNSで仲良くしてくださっている方々のお陰でございます。
特にXでご観劇のお申し込みされた方が多かったので、とても嬉しかったです‼
感謝申し上げます。
今回は、公演の裏話なるものに少し触れ、書かせていただければと思います。
本作品にかかりましたのは、昨年の11月からです。
劇団員のたっての希望で、この流れ星の作品を行うことになりました。
出演者数は13人と結構大人数の舞台ですので、今回もたくさんの客演の方々をお招きしての公演となりました。
稽古を始めようとした時のことでした。今年の一月、とても辛いお知らせが……。
今回『流れ星』の主人公、星野謙作役をお願いしておりました吉田商店の原圭太郎さんが急逝されました。
原圭太郎さんは私さいとうつかさの芝居仲間で同じ歳の俳優。今回はこの人物にこの芝居を託そうと期待しておりました。
昨年の公演『大地のかぐや姫』にも出演して下さっていて、ブルア劇団員はとても可愛がっていただいた兄貴的な存在でしたので、劇団員もかなりショックを受けておりました。
失意の中、原さんに代わって色々な人物を探して参りましたが、なかなか決まらず、劇団の中でも、原さんの代わりをするのはやはり私さいとうしかいないのではないかという声が高まり、3月に出演することに決めました。
暫く、俳優としてのブランクがありましたが、再び舞台に上がることになったのでした。
演出兼主演というのは今までしたことがなかったので、最初の稽古は、私が出ていないところを重点的に行い演出業に専念しておりました。そして私の稽古自体は6月以降と決めておりました。
稽古が進むにつれて色々な問題も生じてきました。稽古での折り合いがつかずに、キャスト降板が相次ぎました。
常に波乱の状態で、周りの方々も、本当にこの公演が出来るのかという不安がいつもついて回っていたように思います。
私自身も、その間、身内の不幸があり、稽古を休みがちになっていたので、特に劇団員は不安に思っていたのではないかと思います。
しかしながら、それを毎回払しょくして下さったのが、今回の客演の皆様でした。ブルアの若手劇団員の精神的なケアをして下さって、大いに盛り上げて下さったので、それが心の支えになって下さいました。
ヒロインの降板もありましたが直ぐに、助っ人が現れて助けて下さいました。
もう一人の降板もありましたが、この時もまたすぐに助っ人が現れて下さいました。
稽古の流れが悪くなっているのにもかかわらず、それを座組のメンバーの方々が常に正道に戻して下さっているような感じがして、劇団員一同本当に有難かったです。
こういう流れが悪い中でも、みんなが盛り上げて下さったのが結果、私はこの公演の最大の成功をもたらしたとそのように思います。
稽古の中でも、とにかく役者同士のコミュニケーションがまずしっかりとれているし、お互いがお互いの芝居をリスペクトして進めている姿勢が演出をしている私から見てもとても居心地がよく、今までこういう経験はしたことがありませんでした。
もう稽古の雰囲気がとっても良かったんですね。
誰もが一つひとつのシーンを大切にしているし、次の人へ次の人へ大切にしていこうとするバトンを渡しているような稽古とでも言いますか、演じるという意識ではなく、この世界に生きるんだという気迫があったのを今でもはっきり覚えいています。
稽古中でも、思わず涙が出たり、大笑いしたり、制作者が一丸となって感情を一つにしていたのが、とても居心地が良かったのです。
稽古見学に来られた方々も口を揃えて言われるのは、情熱が凄い、エネルギーが溢れているというご感想が多く、中には、私もこの中で芝居をしたいという方も何人かおられたくらいなんです。
周りが羨むほど楽しく稽古をしていたということになるんでしょうか。
ダメ出しという概念もあまりなく、こうした方が良くなるんじゃないという提案型の稽古の進め方でしたので、客演の方々は本当に伸び伸びとした演技で、毎回何か新しいものをお見せくださったので、毎回稽古が楽しかったというのもあります。
一方、ブルアの劇団員にはとても厳しく、色々と難しい局面は多く経験されたかと思いますが、それは調和を図るためにある程度仕方のないことではございますね。
とはいえ、稽古の雰囲気はいつも楽しく出来たのは、本当に座組の皆様のお陰でございます。
本当に感謝申し上げます。皆様とお芝居が出来て本当に幸せでした!
公演はとても良かった!感動した!泣いた!というご感想が本当に多く、お客様からのアンケートもたくさん寄せられて、一番嬉しかったのは、また観に行きます!というお声がたくさん頂けたことです。
終演後のロビーでのお送りの際も、お客様がハンカチをもって目を抑えてらっしゃった方が多く、また多くの方々から、本当に良かった!面白かった!感動した!というお声を直接いただき、握手を求められたり、ハグもしました。たくさんの記念写真も撮りました。
皆様と作品を共感できた至福のひとときでした。
このために私たちは芝居をしているんだ!と実感したのでした。
今回の公演ほど、私は幸せを感じたことはありませんでした。これほど皆様一人一人の力を感じ、有難いなと思って舞台に立ったこともありませんでした。それだけ、今回は本当に助けられた舞台だったと感じております。
劇団員のみおがこういったのが印象的でした。
お芝居のクライマックスの時に、原さんが近くにいて下さったように思いました。そばにいてくれてましたと……
見守ってくれてありがとう!
見えない力が働いている。
私もそう感じていました。
今回の座組のメンバーは運命で引き寄せられたのだと確信しています。
全てにおいて調和がなされていて、奇麗なエネルギーが生まれたのだと思います。そのエネルギーが多くの観客の皆さんの心に響き劇場が一体となって共感の和が出来たのだと思います。
全ての人に感謝を申し上げます。
私たちを引き合わせて下さって本当に本当にありがとうございます!
素敵な仲間に出会えて幸せでした。
ありがとうございました。
さいとうつかさ
劇団ブルア 代表
劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。さらに、自身のBlog『さいとうつかさの演技力会話力Blog』は1000万PVを超え、多くの方々から支持を得ております。