俳優はお客さんにどのようにすれば面白く観ていただけるかという演技プランを立てます。
そしてその演技プランで一番大切にしているのが『垣間見せる表現』を心掛けること。
この垣間見せるというのはどういう意味かと言いますと、表現することによって説明的にするのではなく、少し考えないと分からないように一手間入れていただけるような表現を心がけるのです。
これは人の話でもそうですが、例えば相手の話が途中から分かってくると、もう最後まで聞くことはしません。
「わかったわかった」
となるからですね。こうなると、聞き側は分かってから以降は「待つ」退屈な時間になります。
待っている時ほど退屈なものはありません(笑)
ですので、相手に考えていただく余地を作ることが必要で、話の展開を敢えて読みにくくすることで注目を得る方法が効果的だったりする場合もあるのです。要領よく端的に話をする以外はこういう手法で相手を退屈させないことを会話に取り入れるのも良いかもしれませんね。
聞き手に退屈させない会話で一番有効なのが
問題提起をして相手に答えを言って貰う方法
自分の質問を選択式にして相手に答えを選んでもらう。仮に間違った選択であっても修正して正しい方向へ誘い、あくまでも相手に自分が選択したというふうにしていくのが良いのです。自分で答えを導き出すと人に説得される時よりも「なるほどこういう事だったんだ」と不思議なほど納得がいくものなのです。
このように、常に相手に手柄を渡すように会話をすれば相手は心地良くいてくださるのです。
ただ、これはなんだか策略っぽくて嫌だとお感じなられるかもしれません。
だからと言って、自分が正直にと思ったことをどんどん話をするのは、時に配慮が欠けたりするものですので、それはそれで「我の強い人」という印象を与えかねません。
コミュニケーションは何と言っても相手に「配慮を感じてもらう」ことが何よりも重要で、もし仮に相手がそれを策略だと感じたとしても動機の部分で「善意」を感じていたら、そのまま相手の意に沿ってあげようと、策略を策略で返すものなのですね。
こうしてお互いの距離を縮めて、信用を築くこともあるということです。
何よりも、
相手を喜ばせること
を常に思っておけば、その動機は必ず伝わります。相手に喜んでもらいたいという無意識な動作を無意識に観て感じとっている。
私たち俳優はその無意識な動作を意識化して、その動作を取り入れて、相手の無意識に働きかける方法で相手に喜んでいただけるよう技術を磨いています。この俳優の技術を駆使すれば、相手にとても良い印象を与えることが出来ます。
誰だって、相手に好かれたいと思っています。自分を誤解されたくありませんよね。
だからこれは自分を誤解されないようにする技術なのですね。このベースには「相手を喜ばせたい」という気持ちがあるので、それを有効的に使えたら、良い関係が築けるのです。
こういう技術を磨くことで「幸せを撒く」人になりませんか。相手を喜ばせる人の周りにはたくさんの人が集まりますよ。これを不快に思われる方もいらっしゃいますが、それはその方の問題でうっちゃっておきましょう。世の中は全ての人に好かれるということは難しいようですので、相手の問題を自分の問題と捉えず、ただ自分の善意の行動を信じて、取組んでいただければと思います。
まだまだ、相手を喜ばせる方法はありますが、方法論を理解しただけでは難しい身体的な動作があるのでまた機会がありましたら、コミュニケーション教室でお会いしましょう。
個人でオンラインも承っております。
コミュニケーションが不安でという方はカウンセリングも行ってます。お気軽にご相談くださいね。
演技術を使った普段の会話のスキルアップは必ず自分のモチベーションが上がります 。人の笑顔を自分で作ることが出来ていると実感するからです。これからの最強ツールです。
最後までご覧くださいましてありがとうございました。
さいとうつかさ
劇団ブルア 代表
劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。