1.やってみたいことは口にする

今から一年半ほど前、私のお友達の照明家から連絡がありました。

コロナの影響でキャンセルキャンセルの嵐で、劇場や私たち演劇人も大変でしたが、その照明家も例外ではなかったそうです。キャンセルだけならともかく、ギリギリまで予定が組めない現場も結構あるようで、今回もそのことでの連絡でした。

『さいとうさん、急で申し訳ないんだけど、いついつの現場手伝ってくれないかな⁉』

驚きの連絡です(笑)

私は、照明のお仕事はしたことがないし、それは照明家のその友人も分かっているはずなのに……なんで???

『いや、現場に居てくれるだけで良いから‼』

要員数の問題で、いつもなら照明家さん同士の連絡でいけたのだと思うのですが、現場が重なると当然人が足りないので、本当に困っていたんだと思います。

『そんなん、僕…ものにならへんで。・・・それでも良いの?』と私が言うと…

『分かってる。照明分からなくても舞台の仕事分かってたら良いから』

とその友人は言う。

私は友人を助けてあげたいけど……したことのない仕事を受けるのも無責任だし…ただ無碍に断ることも出来ないので、

『梯子とか怖いから登られへんで。』と続けると…

『大丈夫、そんな仕事は絶対にさせへんから。見とくだけで良いねん。ちょっと困ったら補助で欲しいということはあるとは思うけど』

現場は昔と違ってかなりリスクマネジメントがしっかりとしてて、その安全対策なのだということ。

『そりゃ、この荷物一緒に運んでということもあるかもしれないけど、それくらいやったらできるやろ?』

それならできる‼(笑)

体力には自信があるので(笑)

でもその時にふと思ったのです。

以前うちの劇団で照明やってみたいと言ってた人がいたよな…って

そこで私はこう切り返しました。

さいとう『その仕事、ど素人でも良いんやんね?』

照明家『良いって言うてるやん。』

さいとう『うちの劇団員に照明の勉強したい子がいるんだけど、教えてくれる?』

交換条件を出したのです(笑)

照明家『それは別に良いけど』

さいとう『じゃあ、その子に行ってもらっても良い?』

照明家『え?その子行けるん?』

さいとう『聞いてみるわ』と言って、

真夜中にその子に連絡したのです。その「その子」が

凛旺雅子だったのです(笑)

言霊ってこういうことだな…って思いましたね。

こんなケースは絶対にありえない(笑)

普通現場のお仕事は経験がなければ入れません。一般的に言うと、芸大や専門の学校でまず知識を得てそれから会社に入りなのですが、こんないきなり現場で、しかも素人でも良いというお話は、30年この世界にいるけどそんなことは一回もなかったし、その友人が私に仕事を頼むこと自体も今回が初めてだったので、本当に驚きました。

コロナ禍でお互いに大変でしたが、コロナ禍だったからこういう緊急事態的な巡り合わせが来たのかもしれません。コロナに負けるなということでしょう。私はそう思いました。

こうして凛旺雅子は照明の勉強をすることになったということなのです。

現在は頑張って続いているのでしょうか?(笑)

次のページに続きます。

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