私の劇団は教育事業もしております。

0歳児から15歳の子どもを対象にした知育の教育を行っております。

知育教室でお教えしているのが劇団ブルアのmana先生。

このmana先生が子供たちの中でお教えしているのが

考える力『問題解決力』

という能力です。

正確には5つの力があります。

「集中力」「思考力」「想像力」「構成力」「技巧性」

この五つの力を手に入れて問題を解決させていく勉強法なのです。

この教育を受けた子供たちは、勉強を進んでするようになっていきます。

『勉強しなさい』と言われなくても、自然と机に向かう時間を作るのです。

これはどうしてかというと、

本来、子供は好奇心の塊で常に知りたがっている

そこを、しっかりと酌んで自分のペースで成長させていくと

やがて勉強が得意になり、進んでするようになっていくということなのですね。

勉強が苦手な子供は、何故勉強をしなくなるのかというと、

団体で勉強していくうちに、分からないことに引っかかってしまって取り残されてしまって、ついていけなくなる場合があるのですね。

そして、それをついていけなかった自分が悪いと思ってしまい、

自分はダメな子なんだ

と、自分を否定して、何をやっても自分は出来ないと考えるようになり

知ろうとする意欲が消極的になってしまうのだとmana先生は言われます。

だから、mana先生はここで魔法の言葉を使います。

『大丈夫、今までやる気が出なかっただけだよね。あなたが本気出なかったということは先生知ってるもん』

そう子どもたちに話しかけて、子供たちのやる気を自然に上げていくのですね。

50センチの階段の段差が登れなくても、25センチの段差で少しずつ上る。子どもたちの歩幅に合わせて上がることが重要ということなのです。

でもそうすると……

周りと比べてどんどん遅れていくのではと思いますよね。

しかしそんなことはありません。

実はこれ、あまり知られていないことなのですが、

子どもたちの引っかかるところはそれぞれ別で、得意不得意は誰だってあるのですね。

得意になれば、上るスピードがはやくなるのです。

そしてこれもポイントですが、

苦手だと思っていたことが得意になれば得意は増えていきますよね。

そういう風に苦手意識をなくして簡単なんだと思わせるような考え方を子供に持たせると

そこから『グゥーン‼っと、成長する』のです

追いつくどころか、追い越してしまうくらいに(笑)

そういう風に、自分のペースで進んでいくと、

『なんだ‼そういうことか‼』

となって

そこからの信じられないくらいのスピードで上がっていくのです。

このつまずいた時に、自分で解決できる

『問題解決能力』

これを育てるために、

脳の可動域を増やしていって、常にストレスなく知識を増やしていく素晴らしい教育なのです。

現在の詰め込み型の教育ではやはり子供にかなりのストレスがあります。

当然そうなると、家庭内でもマイナスな空気が出て、負のスパイラルになってしまいますよね。

しかし、

子供が『ありのままの自分で良いんだ』と自然と思えていたならば、

常に幸せを感じて、家庭も明るくなりますよね。

誰だって認められることは嬉しいですから、ありのままで認められるって実はとっても素晴らしいことなのです。

だから、子供を自分の歩幅で歩かせることはとても重要で、そういう教育をmana先生は実践しています。

このmana先生の授業は私さいとうも毎回欠かさず見学させていただいてます。

この授業を見た時に思ったことは、

「これは大人の私たちにも必要な授業方法だ」

と率直に感じました。

ということで、この授業に倣って、演技の技術を習得する心の在り方についてお話をさせて頂きます。

答えは外にはない

私たちの講座の練習はやり方をお教えしていますが、答えは自分の中にあるとお伝えしています。

これは、例えば、動作の練習をして、その動作を私さいとうがまず見本として実演して的確な表現を表しますが、

模倣する人は見様見真似でしてみても、なかなか的確な表現では表れてきません。

他人に出来ても自分に出来るとは限らない

という典型的な例です。

演技動作の練習は、寸分違わず真似できたとしても、

真似されている人は当然上手く表現できているのに、真似している人の方は上手く表現できていない。

こういうことはよくあるのです。

では、何故、同じような動きをしているのに一方は上手く表現が出来ていてもう一方は出来ていないのか?

それは

人は無意識に動きを見てその人の動機をうかがい知ることが出来ているから

なのです。

少し難しいことを言ってますね(笑)

要は、真似はしっかり出来ていても、真似している人が

『これで合ってるのかな?』というような心の迷い

があれば、

その動機が見えてしまって、本来の動作の動機とは違うものなので、そこに違和感が出てきているので、その意図する動作の表現として見えないのです。

つまり思ってしまっていることは無意識に伝わってるから、そうは見えなく、なんか変だなと観る側は感じるのです。

動きの真似が出来ても、どうしてそう動くかその時どういう感覚になっているのか自分でしっかりと認識できていないと

動きだけを真似しても演技とはならないのです。

演技は反復して覚えるもの。

しかし、動きを身体で覚え込ましているだけではなく、

自分の感覚を呼び起こし、その感覚から感情を引き出すという崇高な作業をしてるのです。

演技に魂が入る作業

仏師のように、魂を入れるような作業がこの反復練習には必要なのです。

簡単に言うと、動きを何回も何回も反復させる。そうすると感覚がなんとなく掴めて

その感覚から動いてみると、感情が湧き上がり、その湧き上がった表現が真の演技を生み出すのです。

演技は感情を表現させるのですが、感情を表現させるにはこのような工程が必要で、感情をただ単に表すという考えでは通用しないのです。

感情をただ単に出している演技は、感情を出そうとする動機がみえみえなのです

演技はそんな浅はかなものではありません。

しかし、実際にこういう風に取り組まれてる俳優はプロの中でも多いのが現状で、こういう軽い感覚でされている芝居が今の演劇界に反映しているのかもしれないと思っています。

という様に、演技練習をするプロセスをお教えして、その演技をモノにするのは飽くまでも、自分自身なのだという認識が必要なのです。

こうすればできるよというようなものであるならば、俳優という職業は成立しません。

何にでもそうですが、その道の人になるには己の感覚が全てです。

技術は磨くものであって、教わるものではない

その道の考え方、やり方を教えて、後は自分がどう磨くか?

そうやって技術は習得していくのです。

この考え方、やり方を知っている人は残念なことに、あまりおられないのが現状だと思います。

現在、演技を教えている先生方も年間舞台経験が5回未満の方も多くいらっしゃいます。

このような考え方、やり方を知っている人は最低でも年間10回から20回舞台経験をされている方でないと知りえない境地なのだと思います。

しかし、そういう経験をされたからと言っても、その仕方をご存知だとも限りません。

頭で考えて出来ることと出来ないことがあります。

経験からくる知恵は頭で考えても出来ることでは決してありません。

だから、経験者から学ぶことが大切なのです。

何を学ぶか?

それは、演技技術を学ぶのではなく、

その人の演劇への向き合い方を学ぶのです。

技術は盗むもの。

この盗む正確な意味合いは、

欲しくて欲しくてたまらない。どうやったらそれが自分に入るか。そこから考えているのです。

そういう考えは、教えるところからは当然教えられません。

人の目を盗んで、自分のタスクをこなしつつ、先駆者の技術を得ようとする。

暗中模索だから、どこから真似して良いかも分からない。

ただ闇雲に先駆者の真似をする。

そうすると、先駆者の見えてくるもの聞こえてくるものがあるのです。

今まで「見えてこなかったもの」「聞こえてこなかったもの」が……

それは「こういう風に見えてくる」のです。「こういう風に聞こえてくる」のです。

見えてくるは…『どうしてあんな動きしているのだろう?』と

聞こえてくるのは…『どうしてああいう風に言ってるのだろう?』と

このように、その先駆者の考え方を教えてくれる切欠が目の前に現れるようになるのです。

そして、ここからが自分の旅。

その切欠が自分の練習に何をもたらすのかを知る旅が始まるのです。

練習をしていけば、稽古していけば、本番を重ねれば、

あの先駆者の動きはこういう意味があったのか‼

あの先駆者の言動はそういう意味だったのか‼

と後付けで気がつくようになるのです。

つまり、これは…

自分が進んでいった道は間違いではなかったことを証明しているのです

その人に近づきたい一心で見習ってきた道。

それが経験を積むことで教えてくれるようになるのです。

これは、教えてくれるだけのところでは行きつかない境地なのです。

その経験者のもとでしか分からない境地なのです。

だから、経験豊富な人の元にいることはとても大事なのです。

演技者の理想を言うと、

演技の奥にある揺るぎない自信を感じられる人。

本当に良いものを届けますという気持ちでいられている人

商品が自分なので、品質が悪ければ、すぐに分かりますよね。もし悪ければ、どこかお届けするのに罪悪感出ますよね(笑)

その品質を上げるためには、日々練習をする。

どうか自分の中にいる人、答えを導き出してください

と祈りながら反復するのです。

その反復する理由は本当に簡単です。

自分の中に答えがあります。その答えの導き方をお教えしてもらいました。あとは自分の感覚が目覚めるまで反復練習します。そうすればきっと何かを教えてくれるはず、湧き上がる感情が必ず来ると。

こういう練習をしてると、反復の回数が徐々に少なくなってきます。慣れてくると一回でこういう感情が沸き起こってくることも可能になるのです。

如何でしょう?ここまでを読んでお気づきになられましたでしょうか。

つまり、この練習法は自分の歩幅で歩んでいける練習法なのです。

演技は人にお見せするためのものでもありますが、自分の心に呼びかける技術でもあります。

この自分の心に呼びかける技術こそが自分と無意識の会話を交わしていて、

無意識の自分が、意識下の中にある自分に何事かを語りかけているのです。

使われている脳の領域は3%程と言われています。

後の領域は無意識化で動いているのです。

ですから演技者は、このように人間の能力を多く引き出そうとする作業をしているのかもしれません。

これはとても崇高な取り組みをしていると感じます。

自分の中の本来の自分に語りかけているような……

そして、その本来の自分に語りかけることが、万人の心と繋がっているようなものを発見させていることに繋がっているように感じるのです。

こういうことをより多くの演技者に知って頂きたい。

そうすれば、演技者のしていることはとても崇高で、神がかったことをしているということがお分かりになられると思います。

俳優では食べていけないと考える前に、俳優は凄い仕事なんだと考え、先行投資をしてみては如何でしょうか。

あなたが注目される俳優になるのは、そう遠い日ではないかもしれません。

最後までご覧くださいましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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