観客が主人公をはじめとする登場人物と同じ境遇を得るためには、主人公たちのいる世界に
今まさにここに生きている!
という臨場感を持って世界に入ると、主人公はじめとする登場人物たちに自然と感情移入しやすくなります。
まるで自分のこととして考えられるような・・・役の心境を自分に置き換えるような疑似体験をするわけです。
ここに、五感に全て刺激を与えることが出来れば、相当完璧な臨場感をお客様に持っていただけるのですが、劇場では視覚、聴覚、嗅覚のみで、味覚と触覚の二つの感覚だけは使えないのです。
つまり、お客様のこの視覚、聴覚、嗅覚に訴えて私たちは舞台表現者は勝負している訳なのですね。
お客様に臨場感を持っていただくため、演技者は、お客様の感覚に訴え、意図通りに酌んでいただくのが演技というものなのです
演技って凄いでしょ。これは私たちの俳優養成講座ではこのように言ってます。
演技は、自分の表現をお客様がどのようにお感じになられるかまで責任を持つ技術
演じているけど、お客様がどう思われるかまでは分からないというようなものであれば、それは演技とは言えず、それはただ単に演じているだけであって、俳優の仕事ではないのです。
少し厳しいことを書いていますが、ここを理解して日々演技練習をしているかどうかで俳優の質は変わってきます。現状では、このことを認識されて演技練習に励まれているのかどうか・・・問題はおそらくそこにあると思います。
さて話は戻りますが、この臨場感をお客様に持っていただくことが作品の世界に誘う方法になっているのですが、この臨場感を持っていただくためには、リアリティのある表現が求められるのですね。次に、リアリティのある演技とはどのようなものかということをご説明させていただきます。