今回は演劇の話をさせて頂きます。先日、若い女の子から演技の相談を受けました。

ここの台詞をどう話して良いかが分からないのですけどどうすれば良いですか?

その答えに

自分で考えなさい

といったんは門前払いをしましたが(笑) でも、セリフに対しての考え方だけはやっぱりお教えしてあげた方が良いかなと思いましたので、次のようにお伝えさせてもらいました。

台詞はね、例えば台本に自分の役の台詞が4行あるとするじゃない?お芝居の展開がお客さんにバレてしまう役者は、そのセリフを4行の構成で読み方を決めてくるの。するとお客さんはそのセリフを話している途中で「このセリフはまだまだ続くんだな」と無意識に感じて、その時点で聞く集中が削がれるんだよ。

このように申し上げました。これはどういうことかというと、リアルでの私たちの会話は、相手がどのくらいのボリュームで話をするかは分からないですよね。返事だけで終わる時もあるだろうし、すっごくエキサイトして長~い話をしてしまう場合だってありますよね。つまり、

話し出す時に、セリフのように4行でまとめようと思って言葉を発している訳ではない

ということなのです。まぁ、当たり前のことを言ってますね(笑)

例えば、仮にセリフが4行であっても、相手の理解が早ければ、一行で終わったりするような言葉にしないといけないのですね。一行では理解がされていない場合。ないしは言葉が足りないということがあれば、言葉を付け足し付け足ししていくのであって、それが結果4行の台詞になってしまったという感じが良いのです。それに、4行ある構成で台詞を話すということは・・・

聞き手の相手の聞いている雰囲気を無視して話す可能性もあるということ

にもつながるのです。

ですので、言い方を決める話し方はいけないのです。受け手の相手の反応をしっかりと見て、「こう話そう」という普段と同じような会話の感覚で台詞を話さないといけないのですね。

台詞を忘れる作業をする

「今初めて聞きました」

「今から何を言うか分からない」

誰が話すかもわからないし、

何か話しそうで話さない。

こういったものであれば、お客さんは次の展開が全く読めないので、集中して聞けるのですね。展開を読ませないように演技プランを立てるとも言いますが、台詞一つにしても、こういった次にどんな言葉が出るか予想だに出来ない台詞の発し方が求められるんですね。こういうことを念頭に置いて日々練習すれば、鮮やかなセリフを話すことが出来るようになるのです。

最後までご覧くださいましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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