演劇をされたことがない方は戯曲をという「ほぼ人の台詞だけで構成された本」を読んだことがないと思われます。

この戯曲、私たちは台本と言います。

本を読むのが苦手という方は、是非この台本を読んで欲しいのです。

私は中学生まで本を読破したことがなく、漫画すら無理でしたが、そんな私でも台本はすんなりと読むことが出来ました(笑)

何故だかお分かりになりますでしょうか。

答えは簡単です。

一ページに文字がぎっしり詰まっていないからです。

少ないページは2、3行しかない場合もあります(笑)

ですので、結構速くページをめくられるので、調子良く読んでる感じがするのです(笑)

ですので、読書に不慣れな方、台本はお薦めですよ(笑)

特殊な本に思われがちですが、結構簡単に読めるのですよ。

ただ、面白いのは…

何回も戻って読むことが小説と比べて格段に多くなる

のです。

「これはどうだったっけ?」とか「この人は誰だっけ?」とか「こう思ってたけど違うのかな?」など、最初の段階で前を見て確認することが多くなるのですね。

これはどういうことかというと、

それだけ台本は想像の余地がたくさんある本

と言えるのです。

つまり、あまり説明がなされていないので、自分なりに台詞を解釈しないと話の展開が読めなくなるのですね。

実はこのことがとても台本を読む上では重要なことでして、

この想像の余地があるからこそお芝居が面白くなるのです

何回も戻って読むのは、言わば、

知りたいからこその行為

となるので、次の展開がどうなるかという探求心を促進させることに繋がっているのです。

この時の人間の集中力は凄まじく、あっという間に時間が流れます。

というように、初めて作品を手にする時は、こういった楽しみがあるのですね。

では具体的にどのように台本を読むのかを今回は簡単にご説明いたします。

台本を読むには技術がいる

実はこの話、演技をお教えする上で最も時間を割かなければいけない部分で非常に奥の深いものであります。

今回簡単に説明しますが、それでもなかなかのものですので、是非お付き合い下さい。

まず、先ほど、台本はとっても簡単に読めると書きました。それなのに技術がいる。おかしな話ですよね。

これはこういうことです。

どういう話か理解することは簡単だけど、どういう風にこの話を表現するのかが難しいのです

この話をどういう風に表現すれば良いのだろう?となった時、ここにこの台本を読む技術がなければ、演技が出来ないのです。

普通に読んでいたら演技は出来ないのです。

このことを知っている人は演劇をされている方の中でもあまり知られていません。

何故ならそれは技術だからです。

技術なのにもかかわらず、この台本の読み方をお教えしているところが少ないのですね。

それもそのはず、技術というものは教えられて身につくものではないという昔からの風習があるので、技術は学校ではなく現場で盗むものでした。これはおそらくどの世界でもそうではないでしょうか。学校で知識をつけたところで、いざ実践で現場に立つと何にも役に立たないということは周知の事実だと思います。

私もその中でこの技術を身につけたものですから、本来はこのように現場で痛い目に遭いながら覚えることも有りかなとは思います(笑)

しかし、それでは今の風潮ではいけませんので、なんとかここを分かりやすくお教えすることは出来ないものかと、私、10年間考えました。そこで今の経過段階での答えはこれに至ったわけです。

これは、とっても驚かれる内容だと思います。

またまた変なことを言いますが(笑)

『演技の答えは台本にはない』

ということです。

どういうこと???

ですよね(笑)

では、演技の答えはどこにあるのだ???ということですが…それは…

私たちの心の中にある

のです。

台本は飽くまでも答えを導く情報だけで答えはないのです。

ですから、この台本から答えを導くために、自分の心の中から引っ張り出す作業がいるのです。

これが台本を読む技術という訳です。

ここからは少し簡単に申し上げますが、

例えば、先ほど冒頭で、「何度か戻って読み直す作業をする」と書きましたが、舞台はご承知の通り、リプレイはしません。

ということは、「何回も戻って読み直すような読み方」で話を進めてはいけないのです。

ここには細工がいるということです。

どういう細工かというと、話を進めて一回で見て分かっていただけるようにもっていく細工が要るのですね。

例えば、皆さまは、10分くらいの人の話を一から十まで理解し覚えることが出来ますでしょうか?しかも一回で…。

出来ませんよね(笑)不可能です。

ということは、理解し覚えていただくための要所はしっかり押さえないといけないわけです。

では、その要所はどこにあると思いますか???

それが、自分の心の中にあるという訳なのです。

これを引っ張り出す作業は本当は沢山の工程が要るのですが、簡単に言うと、

一番最初に台本を読んだ時、あなたはどう感じましたか?と自問自答するようにすれば、その要所が見つけられるのです。

つまり、こういうことです。

「あれ、この人誰だっけ?」と思った時、戻って読み直しますよね。

その「この人誰だっけ?」と思ったところが要所

になるのです。

ここを押さえておけば、戻って読み直した時に、理解できた台詞やその状況があれば、そこをしっかりと表現しさえすれば、

「この人誰だっけ?」とはならないのです。

つまり、自分の一番最初に読んだ時の感覚がお客様の感覚と似ているので、その自分の引っかかった部分や、感動した部分をノートに書き記しておく必要があるのです。

ポイントなのは全て自分がどう感じたかということ。これが答えは自分の中にあるということなのです。

このような読み方をすれば、当然ですが台本には書かれていない感情や表現方法が生まれたりして、素晴らしい発見が出来るようになるのですよ。

面白いでしょ。

これが出来るようになるとお芝居は本当に面白くなります。

もっと簡単に言うと、台本は後ろから読むと芝居がしやすいのです。

答えが最後に書いてるのですから、その問題はどこにありますかという問題提起が出来ると、演じる方向性は自ずと決まってきます。

あと、もっと簡単なのは、悲劇の場合は、最初出来るだけ明るい幸せな始まり方が良くて、喜劇の場合は最初不幸のどん底から始まると面白いのです。

これは劇的という考え方で、人間の葛藤を作品のクライマックスをすると、その前と後で正反対の方が面白いという話ですね。まぁ、そんなに単純なものではありませんが、これを押さえるだけでも、十分お芝居の面白さは引き出せます。

この台本を読む技術がとても面白いみたいで、これだけで何講座が出来るくらいのボリュームです。

私のところには公演台本が届けられて、

「さいとうさんならどう読みます?」

と相談を受けるほどです(笑)

でも、この読み方を習得するのに10年はかかりました。

皆様であれば、5年で済むかもしれませんが…(笑)

仮にどなたかが1年でマスターされたら、「私の9年を返せ!」と言いたくなります(笑)

それだけ私はイケてない役者でした(笑)

詳しいお話は講座でお話ししますので、ご関心がありましたら是非。

この技術を身につけると、稽古でのアドバンテージもとれますので、楽しい稽古になります。

演出の言いなりのような稽古なんて面白くないですからね(笑)

でも、殆どのところが演出の言いなりかもしれませんね。

戦わなきゃ‼

俳優の地位を向上させる委員会(自称)としてはこれを何とか普及させたいと思ってます。

皆様もこれを覚えて、ご協力くださいますようお願い申し上げます。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

劇団Blue Earth Theater Company代表

さいとうつかさ

劇団道化座に14年間所属し日本全国、海外で公演。現在は役者の勉強会「いわゆるえんげきの会」と当劇団の代表を務めております。ステージ出演回数は400回以上と実践で培った演技指導が強み。劇団以外でも、演技指導、演劇ワークショップを行なう。スタニスラフスキーシステムを独自にアレンジした実践型メゾッド『ゆるえんメソッド』は今までにはない演技練習法として支持を得ております。特長は「ダメ出しではなく褒め出し」「自分を変えないで本来の自分をみつける」という考えで、演技向上だけではなく「自信を深める」演技レッスンを行なっております。

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