台本の読み方をお教えしているところはとても少ないように思います。

しかし、この台本の読み方こそ、最も肝心で、このことをしっかりとお教えしなければ、演劇の発展はないとさえ思えます。

ですので、絶対に台本の読み方をお教えしないといけないのですがどうしてお教えしているところは少ないのでしょうか。

もしかすると、それは私の狭い範囲での事で、お教えしているところはいっぱいあるのかもしれませんが、私もかなりの数の講座を若い時から受けてきているのですが、台本の読み方を教えているところはありませんでした。

そんなもんは自分で台本読んで考えくるもんや‼

そう言って演劇を始めたての頃は先生方によく叱られました。ですから、台本の読み方は自分で見つけるもので経験こそが全てだと感じたのです。

ところが、芝居を続けて10年くらいたった頃です。先輩の台本の読み方があまり良くなく、演出の先生に思いっきり叱られているのを目の当たりにした時に、こう感じたのです。

わたしが先輩の役なら絶対にこうする!

人のダメ出しを見ると簡単に分かるが自分がダメ出しを受けているとなかなかどうして良いものか分からない。

最初はそうなのかなと思ってましたが、その先輩はそれからも違うところで何回も何回もダメ出しを受けるのです。そして演出の先生がこういったのです。

何で、さいとうみたいに出来ひんねん‼アイツは答え持ってきてるぞ‼

当時の私はとっても嬉しかったですね。なんか認められた感じがしたのです。

それから外でお芝居するようになっても、私の読み方は結構重宝されるようになって、演出の方にもお伺いされるようになったのです(笑)

さいとうさんはどうしてそんな読み方が出来るの???

いつしかそう言われるようにもなったのです。

ですが私は自分の読み方がそれほど特別なものではないと思ってましたが、あるところで人と違う読み方をしていることを思い出したのです。それが、

私は初めて台本を読むとき時、必ず台本の横にノートを置いて分からないことを書き記していたということ

ですから一つの台本を読むのに1日で終わったことはありませんでした(笑)

 みんなはどれくらいで読むのかなと聞いて回ると大体2、3時間で読むそうなので・・・・・

おっそ‼‼(遅い)

ってよく言われてました(笑) ここでの言い訳を言うと、実は中学までに一冊の本も読破したことがなく、いつも途中でつまらなくなり諦めていたのです。(漫画も一冊も読破した試しがないのです)

つまらなくなるというのは、内容がつまらないというより、人よりも何時間も理解するのにかかってしまっていて、時間が経ちすぎて最初の内容を忘れてしまって分からなくなり、「もうどうでもいいや!」ってなってたんです(笑) 

私は元々字がすぐに読めないので、字を見ても認識するのにしばらく時間がかかるようなのです。

これは、もともとそうなのか、本を読む癖がついていなかったからなのか・・・その辺りは分かりませんが、そういうちょっとした「短所」があったのですね。

ですので、台本も当然読むのが遅いので、内容を忘れないようにノートに書き記していたのです。めんどくさい人だったんです(笑)

ただ、芝居をはじめて10年経って、この自分の「短所」が自分の強みになろうとは思いもよりませんでした。

字を読む認識の遅さから、こういう強みが出たことを学べたのです。

そこで学べたことは2つ。

1.お客様と同じ視点でモノが見られるようになったということ

2.初顔合わせの読み合わせの時に共演者に驚かれること

1.はですね。これが最も重要なのですが、台本というのは初見が命だということに気がついたのです。

私が初見で忘れないようにノートに書き記している事は、実は大半の人が忘れてしまうことで、その最初の読んだ感覚を忘れると、色々な盲点を生んでしまうことに繋がることに気がついたのです。

この話はまた後で分かりやすく説明します。

そして、2.の方はですね・・・・・これは結構涙ぐましい努力でもありましてですね・・・(笑) 

直ぐに字が認識できず読めないから、セリフを覚えてくるしかなかった(笑)

ということなのです。ですから、初見でエンジン全開の台詞回しにほぼ共演者は驚かれるのです(笑) 

初読みなのにもう台詞入れてきやがって‼って・・・(笑)

この話で、一つ笑い話があって、10年ほど前にとある稽古の初読みで、あまりの勢いでセリフを言いましたらですね。

そこのキャスティングされている中の一人が、こんなところで私は通用しないのでと降板を願い出た人がいたんです(笑)

稽古の帰りにその人を私の車に乗せて必死で降板しないように説得して、「実はこうこうこういう理由でもう台詞入れてきてたんですよ」とネタもばらして、最終的に稽古に頑張って続けてもらってその人との共演が果たせたという楽しい思い出もあります。面白いでしょ。

それからその方は私の演劇教室やワークショップにも来るようになって、今ではとても仲良しなのです(笑)

関東では結構最初から台詞入れてくる俳優は多かったですが、私のいる関西では結構稀な存在だったのでインパクトはあるんですよね(笑) 私の不器用さが幸いにして稽古を楽しくさせてくれてくれる要因を作ってくれたのです。こういうことがあるので、

自分の上手くいかない部分でも、「欠点」と捉えず「個性」と捉えることは重要なのです

さて、話は逸れましたが、肝心の1番目の話を次のページで詳しくお話しします。

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