身体動作から自分の本来の機能を引き出す

身体動作を動かして感情を誘発させる。簡単に言うと、動作をすると気持ちも動きますよということです。

仕事でも遊びでもそうですが、身体を動かしていくと段々と気分が高揚してくるっていう経験は誰もがされていると思います。これと同じように、動作をさせることによって、自分の機能や能力を向上させることが実は出来るのです。

例えば、他人の話をしっかりと聞けない場合、動きを止めて息も止めてみれば、自然と人の話が耳に入ってきます。あとは理解力の問題になるのですが、理解する時に必要なのは、冷静になれる環境ですので、自分を冷静な世界に持って行かせることがとても重要なのですね。だから、この時に一つ集中させる動作を入れればその冷静環境下に自分を入れることが出来るのです。また、何かを考えている時に、ペンを手でクルクル回す人であったり、ボールペンをカチカチ言わせる人もいますよね。腕を組み手で二の腕をポンポン叩く人もいます。顎を指でトントンする人もいますよね。「今日は何を食べよっかな~」なんて…(笑)

このように人間は一つの単純動作をすると、意識を集中させる効果があるみたいなんですよね。そして、こういった身体の動きをしていると、私たちは無意識に「何かを考えている」って見てて無意識に分かるようなんです。

もう一度例を。シャーペンをカチカチさせている子どもかいるとします。これを大人が咎めることがあったりしますよね。「他の人が気になるからやめなさい」と。これは、本当は自分が気に障っているからやめなさいと言っている場合もあるのですね。それは無意識に相手の動機を感じ取っているのです。例えばそれを言葉にすると「いやな感情を音で出すなよ」というような…(笑) まぁ、それは冗談ですが、メカニズム的に言うと、人は考える時にこういう動作手順があります。それは…

考え出す時は連続動作を起こすことがよくあり、その考えが核心に迫ってくると動きが止まってくる

ということ。つまりシャーペンでカチカチ音を出している時は、今から考えるのでその環境下に自分をいざなう儀式というよなものですね。お行儀が悪いと思われる方も多いと思うので敬遠される動作と思われるかもしれません。それならば、

瞬きは、ツケマをつけても音はしません(笑) 目は心の窓と言われますが、瞬きをたくさんして考えるとそれを周りの人が見ると無意識に

と感じるのです。パソコンのCPUのランプと同じですね(笑) 瞬きの速さで処理速度を表現しているのです(笑) ですので、意図的に考えてるということを表現したい場合は、瞬きを多めにするとそれだけで意図的だなと観ている人は無意識に感じるのです。心にもないことを話す時は瞬き多めにするのは要注意なのですよ(笑)無意識レベルで「コイツ、心にもねーことを‼」と受け取られますよ(笑)

さて話は戻りますが、考えようとする時は単純な動きをつけて、考えに集中しだす時には、動きを止めて息も止めている。どこかに目を一点に据えて。この時「何見てるの?」と聞いても、絶対に答えられません(笑)

コメディで、モテない男性が考え事をしていて、その男性の目の先が女性のお尻らへんだったのでそれを女性が気がついて「どこ見てるのよ、どスケベッ‼」って叩かれるというようなシーンとかありそうですよね(笑) その男性の弁論をする訳ではありませんが…(笑) それはその男性はお尻を見ていません。たまたま考えている時に目を据えた先にそれがあったというだけなのです(笑)いま、たまたまと言いましたがこのような「間の悪い人」を演じる時は、そのたまたまを計算する俳優もいるのですよ(笑) こういうのを業界用語で「スケベ心を出す」と言います。俳優はスケベな方が良いと言われるのはこういうところからきています。本来使われる「スケベェ」の意味ではありませんので悪しからず(笑)

注意散漫な人を演じる時は、他人の話を聞いている時でも、いつも何かに気になって全然止まらないようにすると、

と相手からも周りからも感じ取られるようになる。これをすればもうお分かりだとは思いますが、絶対に集中して話は聞けてませんよね(笑) ですので、動作をあらためれば、人は集中して聞けるようになるのです。

身体の動き止めて、息を止めて一点を見つめ集中できるまで瞬きをいつもより多くする

これを反復練習すれば、他人の話は本当によく耳に入ってきます。一回二回じゃダメですよ。それでは、瞬きすることに意識が行きすぎて、考えるどころではなくなりますから(笑) こういう風に、身体の動作から本来の人間の機能をアップさせることが出来るのです。

そして、もう一つのポイント。

人は驚いた時、息を無意識に吸います。そして、人の感情が表れる時の一番最初の動作が「驚く」ということになりますので、感情を誘発させる前に『息』を吸うということをよく覚えておいて下さい。これは、こう言うことにも応用が出来ます。

人の話を理解した時

です。人は相手の話を理解した時、小さな『発見』。つまり驚きがあるのです。ですので、他人の話を理解出来た時は大小必ず息を吸うのです。それプラス、上半身の状態を少し上げる(起こす)とより話が理解できた感じになります。相手から話は聞いているのですが、答えが分かると自分で発見したような感覚になるというわけです。

この感覚を大きめにすると、より自分は理解できたと感じることが出来て、理解することへの喜び、つまり理解することへのイメージが良くなるので、もっと理解したいとなるわけですね。そういう状態になると、理解することが喜びになるので、どんどん知りたいと頭でなっていくわけです。どうせ聞いても分からないと考えている人とは比べものにならないくらい理解力が増すことになるでしょう。という様に・・・

演技とは観ている人の心を動かすだけではなく、自分の心も動かすことが出来る

のです。そしてこれがやがて自分の感情コントロールにも繋がり、常に自分を中庸へとさせることができるようになるので、感情に左右され気味の方にも是非、このような演技の練習をしていただきたいなと思っています。

お芝居されている方でもあまり知られていない演技のメリットなのですよ。

身体動作から感情を誘発させる仕組みは、実際に目の前でお教えすることしか今のところ方法はありませんが、この方法は本当に素晴らしい方法だと思っております。多くの方々にこういう感情のコントロール法を学んで頂ければ、心に振り回されるような人生とはさよなら出来るとお約束します。

相手の話を理解した時に、息を吸ってみると、自分の心が動くと言いました。そして最後に、もう一つ素晴らしいことがあります。それは、

相手の心も満足させることに繋がっている

ということです。相手の話を理解出来た時、驚いて息を大きく吸ってみて下さい。相手は、あなたに分かってもらえてほんとに良かった‼って心から思えるようになります。誰だって、自分の話はしっかりと分かってもらいたいものですよね。それが聞き方ひとつで、相手の幸せを感じていただくことが出来るのですよ。

芝居でも、普段のコミュニケーションでも演技は役立つ。少しでもこの話が広まれば幸いです。

最後までご覧くださいましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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