響く声の出し方

今回は早速、実際の練習の仕方をご説明します。まず、一人で練習する場合の注意点をお話しします。声を出す発声練習は、呼吸と連動します。呼吸は普段無意識にしていますが、この呼吸は無意識に自分の状態に合わせて呼吸をしています。つまり、普段の呼吸であれば全くもって問題はないのですが、意識して大きく息を吸って吐いたりすると、普段の呼吸ではないので、身体がびっくりすることがあります。例えば、一番多いのが、頭がくらくらして意識が飛んでしまうこともあったり、また、気分が悪くなったりする場合もあるので、この練習になれていない人は、出来るだけ複数人数でやられるようにして下さい。慣れてなくてお一人でする場合は危険ですので、もしするのであれば、普段の息で練習することを心掛けて自己責任でお願いします。

発声練習は専門の方の付き添いが一番安心ですね。

さて、では実際に練習法をご説明します。

1.足幅を肩幅と同じくらいの状態で立ち、呼吸を整える。吸って吐いてを2回くらいしましょう
2.次に、お腹の中に空気を入れる感じで吸ってみて、吐く時は出来るだけゆっくり吐いてみましょう。(2回くらい)
3.次に2の状態で今度は口を閉じて鼻で息を吸い、口を閉じたまま息を吐き、その吐いている息に声を乗せてみましょう。(ハミング)
4.吐いた息に声を暫く乗せていると、自分がちょっと苦しいなと思うポイントがきます。その時、声が若干変調するので、その変わった後の声の出し方を身体で覚えましょう。
5.4の身体で覚えた声の出し方を3の練習法でもう一度やってみましょう。この時、吐き始めから4の身体で覚えた声の出し方を意識して出してみて下さい。

如何でしょうか?それほど難しい練習ではありませんよね。この練習のメリットは、

大きな声を出さなくても響く声が手に入れられるということなのです

ですので、別に1のように立たなくても、座っていたり寝そべったりして声調べのようにできたりもするのです。ただ、立ってした方が、身体の振動している感覚が分かりやすく、座ったりしていると、上半身にしか意識がいかないということもあるので、しっかりと身につけるのであれば、立ってした方が断然良いでしょう。

響く声の人は、身体全体が響いているという感覚になります。これはとっても素晴らしい利点で、自分の声から感情がより誘発されやすくなるのですね。

感情が誘発されると当然役の人物としての臨場感が上がりますので、より核心を突いた演技になる確率が上がるのです。

このように、響く声を手に入れると、観ている人だけではなく、自分にもメリットがあるのです。

そして最後に、このことを申し上げます。

この響く声を手に入れると、間違いなく自分に自信がつきます。

声は自信のバロメーター

なのです。この時に、こう思ってほしいのです。自信があるから声が大きくなるのではなく、

声が大きいから自信がつくのだと

こういう声だからカッコイイ、素敵とかもありますが、好きな人の声は、大抵心地が良いものです。ですから、好かれる人になれば魅力的な声になるとも言えます。

好きな人になるということは、嫌いな人になるということでもある。ですから、自分をどんどんと出して受け入れて下さる人を相手にすれば、好きになる人は必然的に増えます。この時、もしあなたが自信をもって響く声で相手に話しかけていれば、間違いなくその魅力は周りの方にも影響を及ぼし、魅力的な声だけではなく、魅力的な人になっているという言うことに繋がるのです。ですので、ぜひ、魅力的な声を手に入れて、素敵な人になりましょう。

声を大きく響かせる→自信溢れる人になる→魅力的な人になる→嫌われても大丈夫→だったらもっと自分を出して自分と会う人と居よう→自分と合わない人は寄り付かなくなる

こういう風に、自分が白黒はっきりすれば、明確に人の付き合い方は周りから変わっていくものです。そして、自分と合う人がたくさん出来れば、さらなる効果が生まれるのです。如何ですか?響く声を出すことでこれだけのメリットがあるのですね。是非意識して練習してみて下さいね。

でもここで、疑問がある方もいるかもしれませんね。

さっきの練習で、どうして響く声が手に入れられるのかって?

それはですね。さっきの練習で、大きな舞台で必要とされる、腹式呼吸での発声が出来るようになっているからです。つまり、苦しくなったポイントを覚えておいて下さいと言ったのは、自分の身体が自動的に省エネ運転をするようになるのです。つまり、少ない息で大きな声を出すことを私たちは本来知っているのです。赤ちゃんはみんな身体以上に大きな声で泣いてますよね。つまり、その声の出し方を大人になるにつれて忘れていただけなのです。ですから、わざと苦しい状態にすれば、身体は恒常性が働くので自動的に省エネ運転に切り替えるのです。その省エネ運転の声の出し方が、響く声なのです。

変な教え方でしょ(笑)

私の講座はこんな感じです。でも、受講されている人はキツネにつままれたような感覚で、いつも驚かれます。本当に簡単に出来るからです。しかし簡単に出来ても、反復練習がないと直ぐに忘れてしまうものなのですね。技術とはそういうものかもしれません。

最後までご覧いただきましてありがとうございます。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。


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