演劇の練習では『身体の動作から感情を誘発する』という技術訓練があります。この訓練をおこなっていくと、自分の感情がどのように湧きあがってくるのかが感覚として分かってきます。

つまり、これは自分の感情をコントロール出来る訓練でもあるのです。

不思議なことに、自分の動作を注意深く意識すると身体の隅々まで血液が流れている感覚や、手足が温かくなることを感じたり、息を吸うことで気分が劇的に変化したり出来るのです。

このような訓練は、鳥肌を立たせることも出来たり、動悸を速くさせたりすることも出来ます。

瞑想でやマインドフルネスでも、身体をスクリーニングするというものがありますが、身体のある部分を意識することで「今を生きている実感」をこのようなことで感じられるのですね。

演劇の訓練では、そのような身体の動きを使ってどのような気分を誘発できているのかを感覚で探る練習もあるのです。

今回はこのような練習を使って、普段から使える「感情のコントロール法」をお伝えします。

特にこういう方におすすめです。

  • 感情の起伏が激しい方
  • いつも気分が沈みがちな方
  • やる気の出ない方
  • 何をやっても楽しいと思えない方

そういう方々に、演劇のメソッドを使って少しでも『良い気分の作り方』をマスターしていただければと、普段お教えしている講座レッスン内容を公開します。

今回のもくじ
1. あなたの感情はこうして作られている
2. この練習を続けるための心構え
3. 感情をコントロール出来れば世界が変わる

1.あなたの感情はこうして作られている

この話はにわかに信じられないかもしれません。

しかし、それは「見えないものはないものだから」と信じられないだけなのかもしれないと思って、このような話もあるんだなという程度でまずは読んでいただければ幸いです。

まず、自分の感情はどのように出てきているのか?

例えば、楽しくなったり、嬉しくなったり、悲しくなったり、怒ったり・・・

これはどういう原理で出てきているのしょう。

もしかしたら自分の目の前に現れる事象で、そういう感情が働くと思ってしまっている人がいるかもしれませんね。

それは間違いではありません。

ただ、こういうふうに思っている人は、自分の感情は周りの環境によって左右されるということですから、とっても不安定になりやすくなるのですよね。

これは、御存知の方も多いと思われますが、

正確に言うと、実は、

周りの事象で感情が動いているのではなく、周りの事象に自分がどう感じたかによって感情が動いている

のですね。

例えば、ある一つの出来事で、快に感じる人もいれば、不快に感じることもありまよね。

自分の立場で当然、モノの味方は変わりますので、感情の出どころは「自分発出」であることが言えます。

ですから考え方をあらためるとすれば、

自分の感情は自分の責任で、外的なところに問題があるわけではない

ということになります。

つまり、「自分の考え方や観念の判断で感情が動いている」のですね。

自分の考え方や観念が変化すれば感情の動きも変わります。ですので、ネガティブな感情が多ければ、その考え方や観念を変えられると、理屈上は、ポジティブな感情へと移行させられるのは可能だということです。

しかし、自分の考え方は未だしも自分の観念を変えるのはなかなか難しいですよね。

ですので、そういうふうに感情を変化させようとするのは、ちょっと無理があるのです。

では、感情を変えることが出来ないのかと問われれば、

それは

出来ます。

ただそれには、まず感情が湧きあがるメカニズムを知る必要がありますので、簡単に説明します。

感情の流れ
1. 何かの事象で「感じる」
2. 無意識的な身体動作が作動する
3. 感情が湧き出てくる

本当はもっと細かく説明できるのですが、今回は、簡単にこの3つの流れで説明します

1.  何かの事象で「感じる」

これはあるで出来事でどう感じたかという最初にもお話したことで、感情を引き起こす切欠からどう自分が感じたかという段階です。

2. 無意識的な身体動作が作動する

これが今回のポイント部分です。感情を誘発する「スイッチ」の部分です。

3. 感情が湧き出てくる

この2.の部分で押されたスイッチから自動的に感情が出てくるので、その感情を抑えるというまた新しい働きも生まれる。


このような流れになっています。

このような流れで感情は作られているのです。

その流れを利用して、演劇の練習では身体の動きから感情を誘発する練習を行っています。

この練習は実際に体験されると驚かれます。

この練習を習慣化すると、

笑顔が増えたり

積極的になったり

沈んだ気持ちの回数が少なくなったり

良いふうに利用すれば気持ちの改善がなされます。

ただ、この改善・・・

思わぬところから気づきがもたらされます。

この練習を習慣化しているご本人は最初なかなか気がつきません。

ではどうして改善したと認識できるかというと、

その人の周りの人が「最近、表情が出てくるようになったね」とか「よく笑うようになってるね」というような思いもよらないところから気づかされるのです。

どうしてこのように自分ではなかなか気がつかずに周りのご指摘で気付かされることのなるのかというと、

初めはこの練習に疑心暗鬼なところがあって、自分の今やっていることが本当に効果があるのか信じられないでいるからということがあるのです。

この練習で本当に感情が誘発されるのが信じられないと目に見える効果が表われない限り、なかなか日々の小さな変化に気がつきにくいのですね。

しかし徐々に日々の練習から無意識に誘発されていくので、その身体の動きや、顔の表情は無意識に良くなっているのです。

顔色も良くなるので、表情が明るく見える。そのような変化は、自分よりもむしろ客観的に見ている人の方が分かるのです。

そして、その周りの人が、客観的に良い気分になっている人を見ることができたので、この練習には効果があるんだと信じる方向へと働くことになるのです。

これは当に相乗効果で、同じ取組みを仲間でする利点はこういうところにもあるのです。

このように、身体を動かすことで感情を誘発し、自分の感情をコントロールする練習で「自分の気分を良くする術」もあるのだということを説明しました。

次に、この練習をするために必要な心構えについて次のページでお話します。

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