2. 身体を動かして感情を誘発させる

この表題は、私のブログをいつもご覧下さっている方は、一番よくご覧になられてたことのある言葉だと思います。

この言葉は私の演技におけるテーマでありまして、これがなければ演技が語れないとさえ思っているほどなのです(笑)

よく演技というと…

というようなイメージを持たれている方がおられます。

悲しいことに演技には色々ありますからそれは否定できません。

まがい物の演技でしたらそのような嘘と感じることはむしろ正しい見方だと言えます。

しかし私の考える演技は少し違います。

演技というのは、人に見せるための技にはなっているのですが、どちらかというと自分の心を動かせる技という方が説明がしやすいのです。

私の思う演技の概念は、

『役の人物を介して、自分を表現する』

ということで、決して違う人になろうとはしていないのです。

飽くまでも自分を表現する

これに徹する訳です。これを簡単に申し上げると、

まず、役の人物の置かれている状況を自分の身になって考えて、私だったらどうするのだろうという自己探求のような作業をしています。

こうして自己探求をして行き、たくさんの自分の抱く感覚を拾い集めるのですね。その拾い集める際に必要な技術が演技なのだと思っているのです。

簡単に言っても難しいですね(笑)

演技で拾い集めた自分の感性が表に出て現れている。

つまりこれが表現ということになっているのです。

手をこのように動かすとどのように見えるのか…こういった知恵から来た動作一つ一つが演技。そして、その演技をレイヤーとして重ねていくと一つの感情表現が浮き上がってくる。

こういった感じでしょうか。

こういう表現は、眼前に演技としては現れません。だから見えている演技であるならば、それは「嘘」なので、まがい物の演技はそういったものになるのです。

しかし、私の今申し上げた見ない演技のお話をお聞きいただくと、演技というのは本当の自分を再現していくものだということがご理解いただけると思います。

この本当に自分がどのように感じているのかを探す旅をするための必須道具が演技なのです。

演技というのはとても不思議な技で、自分の本心から納得できる演技から作られた表現が出来ると、本当に自分が疑似体験したかのような感覚になるのです。

これはこのブログの最初でも記しました、新鮮な空気を入れた際に草木の匂いがすると言葉を発しただけで、あたかもそれが体験できたかのようなことが起きるということと全く同じことなのです。

つまり感覚を研ぎ澄ませれば、すぐにその疑似体験は可能で、その疑似体験を直ぐに出来るようにさせるための技術が演技ということなのです。

演技というのは自分の為にしている

と言っても過言ではありません。自分の中で演技をしていき、その本質にある感覚を掘り出すということです。

この話は、講座で実際に話さないとなかなか難しいお話になるかと思いますが(笑)

これは実際に何個かのワークをすれば簡単に分かるのです。しかし、ブログでは実際に動いてお教え出来ませんので、ブログで出来る範囲のワークを一つ、ここでご紹介します。

息を使って気分を入れ替えるというワーク

部屋の空気の入れ替えと全く同じです(笑)

これを実践するだけで、かなり気分がすっきりしますよ。

ここでのポイントは、

実際にやってみてどう変化したのかということを自分で確実に分かって判断すること

1で書いたことですね。自分の感覚は自分で決めて良いんです。そして、自分が本当に快の方向に向かっているとイメージするのです。

快の感情を表す言葉を使っても良いです。

快の感情が一番出やすいのは感謝の言葉ですから、「ありがとう」でも良いでしょう。

息を吸うときに感謝のことを頭に思い浮かべる。そしてしばらくためて、息を吐く時に「ありがとう」と心の中で唱える。

~深呼吸~満たされたと思って息を吸い心の底から感謝の息を吐く

重要なのは、ここからです。息を吸った時に、身体にジーンとくるような痺れや、鳥肌が立つかということ。

もしそういった体から出てくるサインがあれば、身体全体から感覚として捉えられているといえますので、身体から出てくる『快』の信号をしっかりとキャッチして下さい。

勢いよく息を吸い込んでも良いですし、じっくりと息を吸い込んでも構いません。私の場合は、じっくり息を今から少しずつ吸うぞ少しずつ吸うぞという感じで吸っていくと、身体にドーパミンが出てくるようなジーンとしたものを感じます。

この練習をしていくとどうなるかというと…

本当にイメージしたものが体験できたかのようになるのです。

こうした体験が自分の今まさに生きているという確信となった表現に繋がるのですが、この体験までが実際に自分の気分を替える劇的な方法なのです。

良い言葉、良い音楽、良い香り。こういった触発させる道具も勿論効果を発揮しますが、一番は自分のイメージで、しかも鮮明なものを頭に思い浮かべながら息を吸うことが実は最強の気分転換法なのです。

ではどうしてそれが息なのかを話します。

それは、人間の感情は息から始まっているということに起因しています。

喜怒哀楽の前に息を吸うというということがあるからです。

喜びの時の息の吸い方、悲しみの時の息の吸い方、怒りの時の吸い方…

それぞれがあるのです。

そして面白いことにこの息の吸う動作は人間共通なのですね。

共通ということはその動作をすることで、その感情に移行しやすいというとも言えないでしょうか。

つまりもっと細かく言うと、感情の前に息を吸うのですが、何故息を吸うのかというと、

驚いているから

なのですね。感情の前には驚くという動作があるのですがそのと動作が

息を吸う

という動作なのです。

ですので、例えば何かに感動した時に、まず驚く、そしてそのじわじわした感情が湧き起こるのですが、この時に喜怒哀楽の息を使えば、あたかもその状態になった時のような感覚が呼び覚まされるのです。

気分を良くしたいのであれば、嬉しい時にどんな息を吸うのかを想像してみて下さい。例えば、サプライズでプレゼントをもらった時のことを思い返すと直ぐにイメージが出来ると思います。その時の自分がどういう息を吸っているのか模倣するのです。

そうして反復練習していくと、こういう感覚だなとなるのです。

これが演技です。今は息だけですが、これに手足など身体全体がつくのです。そうするとより自分の中で臨場感が増し、より自分の感覚が確信へとなるのです。

確信した時、自分はもうその世界にいるということ。

その感覚を身体から教えてもらうのです。

模倣した身体動作はやがて自然に反応しだし感情が誘発されるという話、お分かりいただけましたでしょうか。

これは本当に多くの方に試していただきたい。

もしブログでは分かり難いと思われましたら、そちらへ出張します(笑)

これを機会に是非演劇の技術を取り入れて、健全な心育てをしてみては如何でしょうか?

もし、気持ちが塞ぎこみな人が周りにおられましたら、この方法是非お試し下さい。

きっと驚かれる効果を体験されると思います。

ただし、一点、注意することがあります。

この呼吸の練習は、急激にされると頭がくらくらとすることがあります。

練習する際は、専門の方についていただくか、トレーナーの方に見ていただいて下さい。

普段の息でしたら大丈夫ですが、それでも自己責任でお願いします。

勿論、私の所に来てくだされば、安心ですので是非お越し下さいね(笑)

色んな社会福祉施設であったり、学校であったりと、この演技練習の技術が多くの方々のお役に立てれば・・・

息だけですと簡単ですが、他にも身体を動かして感情を誘発させる方法は沢山あります。

ご関心ありましたら、是非私の講座にお越し下さい。

最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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