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皆さんにとって良い演技の定義ってありますか?

今回は私が、良い演技ってどんなのかなというのを本当に簡単に短くお話しさせてもらいます。

演技はお見せする技術だと思われている方が多いと思いますが私はそう思ってません。

演技は人の心を動かす技術だと思っています。

この考えから申しますと、演技というのは「思いが伝わるもの」でなければなりません。

何故なら、思いが伝わらなければ心が動かないからです。

つまり伝わる演技が良い演技だと思っています。

ですから演技者は「伝わる演技」を身につけることが肝心だと思います。

では、

伝わる演技とは具体的にどういうものか?

ここを知る必要があります。

演技表現には大きく分けて2種類あります。

結論から言いますと、セリフ表現よりも動作表現の方が伝わります。

何故なら、皆さんもご経験があるのではないでしょうか。

例えば、スピーチをする人で理論立ててお話しする人がいますが、その説明だけだと、眠たくなりませんか。

内容はすんなり入ってくるんですけどね。

これは、聞き手に考える余地がないからです。

こういう方の話し方は、結論が言わんとすることが途中から分かってくる場合もあるのです。

そうなると、最後まで聞くのは待ち時間になってしまって、早く終わらないかな…となってしまう。

だから理論立てて話をするのは良いのですが、次に何を言うか分からないよという言い方をすれば、まだ、マシにはなります。

このコツは、とても簡単で、

ということをすれば、一発です。

句点は話の結論まで話していますので、理解だけに留まる。

ですが、読点で間を空けると、

…………

「だからなんやねん!」となりませんか(笑)

この文章だけでも、読点の後に…………と間を空けると、次の展開が読めない訳なので、ここに想像の余地が生まれるのです。

これは話芸の鉄則でもあります。

一方、動作表現の方はというと、言葉というはっきりと断定した情報がないのですね。

ですから、いくら表現者が細かい動作をしていても、その表現者が意図してやろうとしているのはどこまで行っても推測に過ぎないのです。

「そう思ってるから、ああ動いていうんだろうな」というように断定までは出来ない。

ここがミソなのです。

断定できないと、人は判断したいがために

これが一番伝わりやすい演技になるわけです。

泣く子に理屈は通用しませんよね。

それと同じで、

聞き手の受け入れ態勢がバッチリだと物事は自然と伝わるようになっている

のです。

コミュニケーションは相手あってのこと。

相手のコンディションを作ることこそが演技の神髄。

だから相手の心も動く。

自分の心も動かなければ、その本物の心は伝わらない。

だから、本当に自分の心を動かせる演技が必要なのです。

これは先ほどと同じ理論。自分に対しても同じです。

自分のコンディションを作ることが演技の神髄。

自分の心が動きやすい心が動くメカニズムを利用して、自分の心を動かす。

心が動くメカニズム。

これをいち早く知って欲しい。

やる気が出てから動くのではなく、動いていたらやる気が出てくるというのはみんな経験していることですよね。

これと全く同じなのです。

自然に誘発された感情を、表現時に出力する。

これが良い演技です。

何故なら、今自分が紛れもなく感じている感情だと知っているからです。

この演技は自分の感覚を信じる作業です。

一回や二回ではものに出来ません。

何回も何回も反復練習をしていけば、頭の中のシナプスが必要な情報同士を結び付け、それがひらめきとなって意識下の私たちに教えてくれる。

こういう神秘的な体験ができると良い演技だということが実感できます。

出来るだけこの素晴らしい演技を知って欲しいですね。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。さらに、自身のBlog『さいとうつかさの演技力会話力Blog』は1000万PVを超え、多くの方々から支持を得ております。

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