お芝居の練習でよくやりがちなことなのですが、

動作表現よりも台詞表現に時間をかける

ことが多かったりします。

これは大前提に、

台本通りに忠実にやる!

ということに意識が行っているから、

一言一句間違わないようにといった感じで、台詞のチェックをするような稽古が多かったりします。

『○○さん、ここいつもそう言ってるけど、台本にはこう書かれているからね』

といった具合に。

もちろんこれは悪いことではありませんが、私たちはどうも指針がしっかりしていると

それに忠実に守らなければいけないとなってしまうのですね。

ですので、台詞が出てこなかったり、違うセリフの言い方をすると、演出だけではなく出待ちをしている共演者の人にも

『間違ってるよ』

って簡単に突っ込まれたりするのです。

もう一度言いますが、これは決して悪いことではありません(笑)

むしろしっかりとしていていいなと思います‼

ただですね。少し気になるのが、このように、

指摘されたら直そうという意識が当然働きますよね。

そして台詞間違いを指摘する人も多い。

そして稽古は、上手くいかないことの方が当然多いので、

演技者としては、台詞の言い間違いに意識する人がどうしても多くなるのです。

ここまで聞くと、なんだそういうことか…って感じかもしれませんが、

実は、この意識は結構おかしな現象を引き起こしてしまうのです。

それは、

台詞はしっかり言えているけど動きが全然伴ってない

これは前から見ると、とっても不自然に見えることなのですが、不思議な現象「その2」

台詞はしっかりと言えてるので、動作が伴ってなくてもおかしく見えない

という不思議な現象が起きるのです。

この現象、つまり『台詞をいてるのと動きがあっていないの演技』は、初めてその稽古をご覧になった人であれば、すぐにその「おかしさ」に気がつくのですが、

ずっと稽古をしている人から見ると普通に見えてしまう

という不思議な現象が起きてしまうのです。

新鮮な目で見られていないということも勿論あるのですが、どうやら人間には……

意識したもの以外にはあまり気にならない

という特徴があるようで、おかしな動きをしているのに、おかしく見えないということが実際に稽古ではよく起こっているのです。

指針があるから逆に意識しなくなっている

台本の台詞という、しっかりとしたレールがあるから、そのレールから脱線してはいけないと守るがゆえに、他のことに意識がなかなか向かなくなっている。

このような現象が良く起きているのです。

ここで少し頭に入れていきたいのが、

セリフだって、言い方が違えば、全然違う意味に伝わるんだよ

ということ。

本来はそんな意味ではないのにもかかわらず、違う意味合いでセリフを話すことも十分に考えらえるのです。

こうなると、次の台詞を言うのが言いづらくなったり、言えなくなったりする…(笑)

そういうことだってあるのです。

台本の台詞は勿論、間違えないに越したことはないのですが、

セリフと動きがチグハグで全然伝わらないことも当然あるのです。

セリフと動きがチグハグだと当然、無意識に人はおかしいなって思うのですが、次の台詞がしっかりとあるために、続いてしまうのですね。

このようなボタンの掛け違えがあるにもかかわらず、それが稽古では見過ごしがちになる

ことがあったりするのです。

そして、今回一番申し上げたいことは、

お芝居は、台詞表現よりも動作表現の方が重要だということ

なのです。

台詞表現は「伝える」で動作表現は「伝わる」表現なのです。

もちろん全てとは言いませんが。…こういうことです(笑)

これは以前のブログでも書いておりますので、今回は長くなるので省きますが、つまり‼

動作表現の方が圧倒的に重要なのです‼

伝えても伝わらなければ意味がありません。ですから「伝わる演技」が当然良い訳です。

ですので、台詞の練習よりも動作の練習を圧倒的にしないと良いお芝居は作れないともいえるのです。

しかし、動作は、ご承知の通り台本ではト書き部分に主に記されていて、後は殆どが想像部分に頼っているところが殆どなので、

動作の指針があまりない

のです。

つまり、自由度が結構あるので、動作を決めて行うということを稽古ではしないことの方が多いのです。

もちろん例外はあります。周りとの動きの兼ね合いの稽古であったり、劇中のダンスもそうですね。このようにみんなで合わせるような動作練習はありますが、個人の動く動作練習は実は少なかったりするのです。

というよりも、

動作が実は重要だということをあまり知らない演技者が多い

のかもしれません。

どうしてかというと……

舞台での動き方を知っている人があまりに少ないからです。

こういうところに演技術があるのにもかかわらず、動作は結構自由にされるので、とても勿体ないなと思うのです。

セリフだけ言えば、芝居が成立するとはもちろん思ってないとは思いますが、動作技術を知らない演技者が多いのも事実です。

少し厳しい言い方になって『お前は何様だ!』と思われるかもしれませんが、これは自戒でもあります。

演技という技術に対価を払って観にくるお客様がいるのに、それを磨かないのはやはりいけないことだと思うからです。

先人たちの素晴らしい技術を受け継ぎ、それを模倣して、自分の技に変えていく。

どの世界でも、自術の向上があって反映していると思うのですが、演劇の場合は技術の向上があるのかというと、これは自戒を込めて自分に問うところでもあります。

演劇は自分たちがやりたいだけ

残念ですが、私たちから見ても、そう見えるのが今の演劇の現状だと思います。

ですので、私は後進者の方々に私が今まで教わった動作表現をお伝えしています。

「こうすると伝わりますよ」

というものを実際に目の前で実践してお教えしています。

見られる方の多くは、何気ない動作に

「これのどこが技術があるの?」

とお感じになられます。

しかし実際にやって頂くと皆さん口をそろえて

『難しい‼』(笑)

と言われます。

一行のセリフに動きが10個くらいは普通にありますから、

姿勢、身体の向き、足の運び、呼吸、視線、瞬き、首の角度、手の位置、足の位置、

こう言った身体の動きをタイミングよく動作させるのです。

セリフを話していても、手はここにある、足はここにある、瞬きはここですると常に動作に意識している。

こういう動作は一つ一つの心情や場の状況を表す表現ツールになっているのです。この技術を知れば、

伝わる演技が確立されるのです。

それだけではありません。

伝わる演技を習得すると「お客様を味方につけやすくなる」のです。

心にすっと入る表現は、共感を得やすいからです。

お客様の共感を得ると、当然ですが見る機会も増え、不確かな演技になればなるほど

良い風に捉えて下さるようになるのです。

そうなるとどうなるかというと、

動作表現は奇麗な表現に見えるのです。

表現美

がお客様から生まれるのです。

このことが分かると、動作表現を磨けば磨くほど、印象度は上がります。

磨かれた表現は人を魅了します。

その奇麗な表現をお客様は観に来ているのです。

ですから、この表現美を是非身につけて

お客様に良かったと言われる俳優ではなく好きと言われる俳優になりませんか

動作の技術はそれだけ大切な引き寄せツールなのです。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

劇団Blue Earth Theater Company代表

さいとうつかさ

劇団道化座に14年間所属し日本全国、海外で公演。現在は役者の勉強会「いわゆるえんげきの会」と当劇団の代表を務めております。ステージ出演回数は400回以上と実践で培った演技指導が強み。劇団以外でも、演技指導、演劇ワークショップを行なう。スタニスラフスキーシステムを独自にアレンジした実践型メゾッド『ゆるえんメソッド』は今までにはない演技練習法として支持を得ております。特長は「ダメ出しではなく褒め出し」「自分を変えないで本来の自分をみつける」という考えで、演技向上だけではなく「自信を深める」演技レッスンを行なっております。

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