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このブログでの演技のお話は知識をお教えしてるというよりも、日々の演技練習を書き留めているといった感じです。

ですので、稽古で、演技講座で、演劇ワークショップで日々の疑問や、説明の付け足しのような役割も果たしております。

今回のお話はにわかに信じがたい話ですが、是非覚えておきたい演技をする上での話です。

お芝居を始められたばかりの方々は、自分の立ち位置だけで、何かを表現できるなんて考えたこともないのではないでしょうか。

しかし、舞台経験を積んでいくと、立ち位置って本当に重要なのですね。

また、このことが分かり出すと、感情を入れて芝居するだけではダメで、常に冷静な自分が求められるということも理解できるかと思います。

具体的な立ち位置の話は、実践してお見せしないとなかなかお教え出来ませんが、簡単なことでしたら、ブログにも書くことも出来るので、少しお話しさせていただきます。

まず、自分と共演者が出ている時の話をさせていただきます。

共演者が一人の場合、自分が話し手で共演者が聞き手の時、この場合の立ち位置は共演者よりも舞台奥に立つことが望ましいとされています。

これはとても簡単で、聞き手の共演者が自分よりも前にいる状態ですので、話しかける時に、客席の方向に顔が自然と向いている状態を作れるからです。

ですから、自分が後ろにいればいるほど、客席側に向いて話せるので、お客様も自然と目が行くのですね。

実はお客様の目が行きやすい順番がありますので、ここで簡単な順序のご説明をさせていただきます。

なのですね。

これは原則みたいなもので、勿論、やり方によっては順番は当然変わってきたりします。

例えば、セリフを客席側に向けて話をしている人は一番お客様の目が向きやすいのです。

一方客席を背にして、セリフを話すとどうなるかというと、例えばその向いている先に聞き手の共演者がいる場合、その共演者に目が行くようになるのです。

つまり自分の向いている方向にお客様も目を向ける傾向があるということなのです。

こういうことが分かってくると、セリフを話している人を見てもらうのかセリフを聞いている人を見てもらうのか意図的に変えることが出来るようになるのですね。

そして、ここからが今回のキーポイントの話になるのですが、聞いている人に目を向けてもらうことが出来れば、共演者の感情表現が間接的に出来るということに繋がるのです。

例えば、セリフを話している人が、陽気に話していても、聞いている人が痛々しい面持ちで話を聞いていたりすると、そのセリフを話している人は陽気には振舞ってはいるけれど、本当は心にいたたまれない気持ちがあるんだろうなと想像しうることに繋がるのですね。

こういう表現は自分の立ち位置がしっかりと分かって、どこで聞くかが正確に分かってないと、成立しない表現となるのです。

如何ですか?

演技って奥が深いでしょ?(笑)

しかしこの話であっても、まだまだ序の口レベルで、他の技術を話せばもっともっと深いです。

今回は、記述で説明できるギリギリの範囲のもののお話しでしたが、他は実践の演技は観て覚えることが求められます。

こういう一つひとつの技術をしっかりと覚えて、舞台に立たれると今よりも数段楽しくなることは言うまでもありません。

また、こういう技術がありますということをお教えしているところも少なくなったのかもしれませんので、このような話であっても、珍しい話になっているのかもしれませんね。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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