演技で、感情を出そうとする人がいますが

こういう考えで演技するとリアリティが欠けてしまいます。

感情は自分が感じたことが自然に湧きあがるもので、自分の意志で感情が出るものではないからです。

ですので、

感情を出そうとしている人の演技を見ると

「泣こうとしてる?」

「私は怒ってるぞ!」

というのが伝わるのです。

そしてこれがどうしてリアリティにかける演技なのかというと

表現の奥にある動機が伝わってしまっているからなのです。

つまり、見ている側は

話の流れに生きているという感覚とはかけ離れて、

この演技者は感情を表したいんだろうなという

役者自身の動機が見えてしまっているということです。

動機は伝わっている

人間は無意識に動機を感じ取っています。

役の人物の動機であればいいのですが、役を演じる演技者の動機を感じてしまうから、作品のリアリティがなくなるのです。

感情は湧き上がるものです。作るものではありません。

感情を作っているということは演技者の動機です。

そしてその動機は伝わるのです。

このことを理解すれば、演技に対してのアプローチは必ず変わります。

役の人物を介して自分を表現する

役の人物は自分なのです。

ですので、自分がある感情を起こした時、どういう現象が起きているのかを知れば、それを踏襲すればいいのです。

感情を誘発させる体の動かし方がある

自分が感情を起こした時にどういう身体の動きをしたのかを覚え、それを再現すること。

このようにして、感情を誘発させる練習を重ね、感情を誘発させることが出来たならば、役の人物の動機が表れてきます。

もしその表現が役の人物とあまりにもかけ離れた表現であるならば、役の人物に歩み寄る練習もいるでしょう。ただ、違う人になろうとするとそれだけリアリティは失われます。自分に置き換えて考えてみるアプローチで少しずつ表現の幅を広げていけば、素晴らしい俳優になるでしょう。

自分の中にあるまだ見ぬ可能性を見つけませんか。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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