このことを是非知っていただきたいのです。

皆様の中には、素晴らしい方はそれ相応の努力をされて今の地位にいると思われている方は多いのではないでしょうか。いや、頭ではそうではないとは分かっていても、自分に置き換えてやってみるとそれなりの地位に行くにはやはり努力は必要だと思われる方も多いのではないでしょうか。

けども、本当は努力なんて必要ないんです‼

と言うのが今回のお話なのです。

演劇はこの話をするのに丁度適していると思います。

演劇は、やってみたいとおやりになられる方が殆どです。

舞台に立つ自分に注目が集まる感覚を一度味わうともう離れられなくなるでしょう(笑)

ですから、演劇は好きだからしているという人が結構多いのですね。

ですがこの「好き」というのは、好きだからやっているという人が殆どで、こういう考えですと「嫌い」となれば、当然しなくなりますよね。実はここにちょっとした障害があるのです。

演技というのは文字通り技術です。この技術の鍛錬はほぼあまり皆様がお好きではない反復練習がかなりの割合で占めます。

しかも、日々の積み重ねですから、演劇を好きでやっている人にとっては毎回ちょっとした壁になるのです。そうなんです。

積み重ね練習が毎回、壁のように感じるのです

こうお考えになると、当然日々の積み重ねは・・・・・

努力だと感じてしまうのです

ですので、この考え方のサイクルを持っていますと・・・・・

いつか練習を続けるのは困難‼

になる可能性がある。

言い方を変えますと、

好きだからしていると考えている人は、努力をしなければいけない環境を作っているのです

このことに出来るだけ早く気がつくと良いのですが、なかなかそうはいかないのですね。

では反対に、どういう人だと努力せず演技練習を積み重ねることが出来るのでしょうか?

それは・・・・・

目の前のことを楽しむ能力を持っている人になる

ということです。つまり好きとか嫌いとかで道を選ぶのではなく、目の前に現れた道にただ進み、その中で楽しみを見出せる人になれば良いのです。

これが出来る人と出来ない人で、実は将来が決まってくるのです。

例えば、後進の指導に当たっている時に、この映画を観た方が良いとか、この本を読んでおいた方が良いよとこちらが言うとします。

そしたらその次の日に、もうその映画を観ていたり、本を手にって読んでいたりする人は、目の前の事を楽しむ能力があると言えます。

この時に、「あとでみよう」とか考えている時点で、目の前の事に対しての優先順が低くなっているので、結果的にこういう考えの人は、努力しないとダメな人になるのです。

え~、そんなこと言ったって、時間がないし、どうしてもそういうのは後で出来る時に・・・

と思われる方も多いでしょう。では、ここでこういう話をすれば如何でしょうか。

二つあります。もしあなたが演技を教わる方から映画や、本を見た方が良いと言われたします。

一つは、お教えする人が何故それを観た方が良いというのかという理由をあなた自身が探ることが出来るでしょう。これは、教えて下さる方の考え方が分かることに繋がります。

もう一つはお教えした人の助言をあなたが直ぐに実行すれば、お教えした人はあなたに対して、どういう印象を持たれるとお思いになられますか・・・・・ということです。それは教える側にとってとても好印象に繋がります。

私たちは一人で生きている訳ではありません。相互関係に基づいて生きているのです。自分という人間は一人で成長している訳ではありません。

自分という人間を自分と周りの人と一緒になって共に築き上げるものなのです

その共同作業をしている時に足並みがそろわなければどうなりますでしょうか・・・・・

そういうことなのです。私たちは一人で生きていると錯覚してしまいがちです。

しかし自分の行動で、周りにどれほどの影響を及ぼすのかということを知らなければ、自分都合で物事を成そうとするものですよね。

そういうことで、周りへのエネルギーを与えられる人になるのか、取る人になるのかで人生は大きく変わってくるのです。

エネルギーの与えられる人の周りには人が集まりますが、エネルギーを取る人には人は離れていきます。

離れる人になれば当然ですが、自分という人間を周り人と共に築き上げることは困難になりますので、良いエネルギーを出す人であって欲しいのです。

前述のように目の前の事を楽しむことが出来る人はそれだけで周りの人へのとてつもない良いエネルギーを与えられる素敵な人になっているのです。このことに気がつかないのは本当に勿体ないことなのです。

自分には関心がないから関心のあるものだけを・・・・・

そうやって自分が選好みをして、学ぶ学ばないを自分で決めれば、自分で盲点をたくさん増やすことにも繋がります。そして今回最も言いたかったことがこれです。

演技は見えないもの

演技というのは普通には見破られないものなのです。普通でも見破られないので、選好みをしている人からするともっと見えないものになっているのです。見えないから・・・・

重要なことにもかかわらず、気がつかないで知らないままになっている

のです。これはたぶんずっとお芝居をされておられる方にはよく分かるお話だと思います。

これは皆様が通る道なのではないでしょうか。

ですから、そのことにいち早く気がつけば、自分の今しかできない役も気づきを得られた状態で思う存分演じることが出来るようになるのです。

このことを先人のアドバイスと思って聞いていただければ幸いです。

最後に、ではどうすれば見えない演技を見ることが出来るのかということをご説明します。

私が以前先生からこう言われたことがありました。

中国で公演をした時、オフに現地のお芝居を観劇していたことです。

その時に、「あの役者の演技は、ここにおる人の中でもそうはおらんぞ」と言われたことがあります。

その話を照明の先生にお話ししたところ「凄い技術って言うのは凄い人にしか分からんもんや」と言われたんです。

ですので、極論は、凄い人になれば凄い演技術が見えるということです(笑)

でも、それじゃ後味が悪いので、こう締めくくりますね。

お教えしている人の技術を盗むのであれば、一番の近道はその先生の手足のようになって動くのが良いのです。

その先生の手足となれば、先生の言うことを聞かなくなった時、その先生はものすごく怒ると思うのです。

それは丁度、自分の手足が思うように動かなければもどかしいのと同じです。

言えば、脳は先生で、手足は自分だとすれば良いのです。

そうすると、不思議と脳が何を考えているのかが見えてくる。

いいえ、脳が考えるまでのもなく手足が先に反応する場合だってあるのです。

この反応が実は学びとなって、自分の脳にフィードバックされるのです。

そうすれば、自分が凄くなくても、その凄い人の目が一つ養えることになるのです。

この話は少し難しいですかね・・・・

もし分かり難いようでしたら・・・これだけでも結構です。

これからの方へ、これが届くと幸いです。

自分の心に絶えず舞台で成功している自分を思い描くこと。

これが、目の前の事を楽しむ秘訣です。これが努力を必要としない唯一の方法なのです。

この成功している絵がかすんでいると確信できませんので、絶えず思い描くことをしていただければと思います。

そして、好きで自分の行動を決めている人はこういった成功の絵を想像することは出来るのですが、すぐにその絵を破ってしまう可能性もあるのです。だからなかなか最後まで行きつかない。

「好きだからする」ではなく、「今までしていたことは好きだったんでしょうね~」というのが良いんですよね。

ちょっとした言葉の違いでも中身は全然違うものなんです。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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