感情のスイッチ

まず、身体動作から感情を誘発させるために、感情のトリガーになる切欠を見つけます。そして、ここだというところが見つかれば、そこが動作トリガーとなるので、次にそのトリガーがどのように動作なのかを知る必要があるのです。

例えば、感情のトリガーで代表的な身体動作は呼吸による息があります。どうして息がトリガーになるのかというと、

感情が湧き起る前には必ず息を吸うという動作があるから

これはとても重要なことですから覚えておいてくださいね。細かく言うと感情が湧き起る前には、驚きという動作があるのですが、この驚くという動作が実は息を吸うという動作なのです。ですから、全ての感情の前には息を吸うという動作があるので、これがトリガーになるのです。そしてこの息をどこで吸うかということですが、例えば相手の話を理解して驚いた時が、当に息の吸いどころなのです。喜びであれば、徐々に笑顔になりながら息を吸うであろうし、今までの苦労が走馬灯のように現れるような喜びであるならば、涙を堪えるような息の吸い方にもなるでしょう。怒りであるならば、吸いたくない息を吸わされているというイメージで息を吸うと簡単に感覚が掴めます。そうして何回も何回もその動作を模倣してみるのです。

そうすれば、あら不思議(笑) 自分の動作から段々とその湧き起る感情が感覚的に掴めて来るようになるのです。この湧き起こるような感覚を掴めるようになると、後はその動作をするだけに留めて、出力するだけで良いのです。決して表現しようとしてはいけません。そんなことをすると役者の動機が見えてリアリティの世界へ誘えなくなります。出力するだけに留めるということは表現しようする役者の動機を消し込む作業なのです。すると、観ている人は当にリアリティのある演技を目の当たりにするということになるのです。観ている人も臨場感を感じている訳ですから、当然ですが、共演者も臨場感を感じて自然に感情が誘発されやすくなるのです。

どうですか?素晴らしい技術だと思いませんか?

このような演技は、自分だけではなく空間までも誘発させるとてつもない技術なのです。

劇場空間をコントロールする技術

これが伝わるという演技術なのです。これを知ると俳優はとても凄いことをやってのけている素晴らしい職業だと思うはずです。誰もが出来る職業ではありません。この演技技術を本気で学んでいただきたければ、より魅力的な芸術として多くの方に認知されるのではと思っています。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

劇団道化座に13年間所属し、日本各地、海外公演に数多く出演。道化座退団後はフリーで演出・俳優活動を行う。「社会に寄り添う演劇」を掲げ、2019年に劇団ブルアを設立。同劇団代表を務める。現在の演劇活動として、演出業、俳優業だけではなく、関西各地で演劇のワークショップで演技指導も行う。出演回数は400ステージを超え、実践的な演技指導が持ち味。またスタニスラフスキーシステムを独自にアレンジしたブルアメゾッドを作り、「身体動作から感情を誘発させる」演技術を展開し、リアリティーのある演技を追究。「役の人物を介して自分を表現する」「自己探求」などを念頭に演技向上を図り、ありのままの魅力的な自分で勝負する独特の演技コンセプトが好評を得ております。

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