お芝居を教えて下さった私のお師匠さんはプロの舞台の世界ではとても有名な方で、
天才肌
ですから、私のような凡人では、色々と教わる時に毎回、理解に苦しんでいましたね・・・(笑)
物覚えも良い方ではないので、技術は他の人よりも一つ一つ時間をかけて覚えさせていただきました。
怒号の中・・・・厳しかったし怖かった(笑) 私は本当に不器用だったのでよく叱られました~(笑) ただ、周りの先輩方から良い性格してるとよく言われてたんです。
こいつだけは何を言っても堪えへん!
今から思うと私は物凄く自己肯定感の強い人だったのですね・・・(笑)
周りからいくらダメ出しを受けても・・・・・出来ていないところには目を向けず、自分の出来たところにだけ目を向けられる才能がありました(笑) みんなは教わったことを必死に食らいついて出来ていないところを必死に我が物にしようとしてましたが、私の場合は、本当に・・・・・
マイペース
B型の特権ですね。これで皆からどれだけ呆れられた人か…(笑) でも、おバカな弟子ほど可愛いのでしょうね。師匠はあまりに私を怒鳴りすぎて
ワシを病院送りにする気か!
と言われたこともありました(笑) 高血圧で何度か倒れられていたので、その時はさすがに出来が悪くて申し訳ないと反省しました。
とはいえ、技術の習得はそんなに簡単なものではなく、その後も本当によく𠮟られました。何とか、師匠の言うことを分かりたいと、本屋さん、図書館でたくさんの演劇の書物を読んで必死に知識を入れようとしていました。
その時に、スタニスラフスキーの書物と出会ったのです。この書物は今の私の演技に大きく影響しているのですが、その当時は、何を書いているか分からない。全然内容が入ってこなかったのです(笑)
でも、もしかしたらこういうこういうことを言ってるのかな…? そしてもう少し分かりやすい本はないかと色々と読んでいましたら、マイケル・チェーホフや千田是也の本と出会い、それらの知識の点が、お師匠さんから教わった『膨大な分からず仕舞いの点々』とを結びつけることが出来るようになったのです。
師匠がおっしゃっていることはこういうことか!
面白いようにわかる時もありました。そこから、演技がとても面白くなったのです。入団5年目くらいの時でした。その頃になると、自分に少しずつ少しずつ『やりたい役』がつくようになりました。
良い役に出会うこと
それをお師匠さんは常日頃おっしゃってました。
ある小説の話を出して、『さいとう。その本読んどけ。そうやな。お前が30になったらこれくらいは出来んといかん』そう言われて、その日にその小説を買って、次の日までに読みました。「面白いですね」と私がお師匠さんに言うと『あの最後に相手がセリフ言うてるやろ。あの時の聞いている芝居が見せるんや。そういう聞く芝居を覚えんといかん』と。・・・この時に、
聞く芝居とは何ぞや?
・・・・・今まで台詞を話すのが芝居だと思っていたのですが、そういう芝居もいるんだな~と・・・・
そうして、目の前の疑問を一つ一つ解決させようとしていきました。それからは、夢中でした。外の芝居の世界にも内緒で出て自分を試したりもしました。
色んなワークショップを受けて自分が今どの位置にいるのか?
よそ様はどういう演技練習をされているのか?
もう知りたいことだらけの時代でした。そうしてあることに気がつくことが出来るようになったのです。最後のページでその話をさせていただきます。