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演技って言葉……

普段の会話で出てくると、嘘をついているみたいなイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。

ですが本当の意味において言えば、それは間違いです。

どうしてそう言えるのか?……

それはですね。普段の会話で出てるのは、演技ではなくて、演じているという意味合いで使われているからです。

これは役者として認識しておきたいところなのです。演じているは嘘であっても、演技は嘘ではないということです。

演技は技術です。

演技は観客にお見せする技術でもありますが、もう一つ重要な作用を及ぼすものもあるのです。

それは、自分の心を動かす技術

でもあるのです。

この自分の心を動かす技術はあまり知られていないように思います。

例えば、名優の演技は観る人の心に響きますが、それを真似れば同じように観る人の心に響きますか?

と問われれば、答えはNOです。

真似るだけでは心に響かないのです。

しっかりと心が動くから観ている人にも心に響くのです。

ですので、そういう意味では、お見せする技術だけではいけないのですね。

演技者自身がしっかりと心を動かしていないと観客の心には響かないのです。

これはですね。こういう言い方もできるのです。

自分の心に嘘があるなと思った時点で、それは演技ではなくなるということ。

つまり、自分が本当に心を動かしていれば、紛れもない演技と言えるわけなんです。

人の感情は無意識に伝わるもの。そこをよく分かっていないと演技の本質は掴めません。

例えば、自分の役が怒っているシーンだったとします。

当たり前のことですが、自分は怒ってませんよね。

ですから怒っている表現をしなければなりません。

ここでですね。怒っている表現をしようとすると、自分は怒ってない訳だからと怒ろうとする人が多いのですね。

しかしこれは演技ではありません。演じているだけです。

これを演技とするならば、どうするかと言いますと、起こりたくないけど怒ってしまうというような感じに持っていくのです。

これは自分の意識とは裏腹に感情が湧き起ってしまっているという表現なのです。

ですので、感情を湧き起こらせる表現が演技なのです。感情は出すものではありません。湧き起るものなのです。

ここを演技者はよく認識しないといけません。

感情を出そうとするから嘘になる。

ですからそれは演技ではないのです。感情を湧き起こらせることこそが本当の演技なのです。

ですから、演技は嘘ではないのです。

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