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私が若い役者への演技指導にあたったのは今から15年ほど前。30代後半の頃でした。

以前所属していた劇団を辞めて、フリーで活動を再開しました。

と言っても、単発の舞台ばかりで、急激に出演回数も減り、辞めたとはいえ、しばらくは古巣の劇団の巡業公演に出演する日々を過ごしていました。

その間、色々な劇団にも出演させていただきました。

ある劇団の演出家の方から、今の若い人たちに演技を教えてもらえないかというのが、演技指導を行ったきっかけ。

そこから単発ですが、色んなところで教えるようになりました。

初老前の身で、公演の裏方で演技指導という立場で、作品に携わったこともありました。

この時は、私よりもはるかに演劇キャリアのある年配の方もおられましたし、同年代の俳優陣も多かったため、そのお仕事をお断りしようと思ってましたが、その公演の演出の先生が、

確かに、この演出の方は、みんな立場は同じということで、仲間を全員にニックネームで呼び合うことをしていた。

そういうところは徹底して、誰でも意見が言える環境を作りたいねんと熱く語られもしていたので、私も忖度なしで色んなことをぶつけ、過去何度も、演出家の先生と役者の中の一人として私もお芝居作りに携わりました。

ですから、その仕事もお引き受けしました。

けれども、私の予想は的中。

稽古が始まって、演出のダメ出しの後、その対策を出演者の皆様に各々演技指導としてお伝えしていましたが、あまり良い顔はされません。

それはそうだと思います。特に初めて会う客演のお歴々の方々は、どこの馬の骨とも知れない若造なものですから、プロの役者とは言え、そうそう意見を聞いていただけることはありません。

言っても、全く違うことをされるので、こちらとしても全く仕事が出来ない状態でした。

演出に相談もするけれど、根本的な解決には至らず、私自身も出来るだけ出演者の中に飛び込もうとはしましたが、難しかった。

人間関係が出来ていないうえに、指導という立場で急に入ってきた人を受け入れることが出来ようか。

演出の意見を聞くのであればまだ分かるが……。

私が逆の立場だったらとても嫌ですね。

公演は無事に成功を収めましたが、そこいる私は明らかに蚊帳の外でした。

公演後、演出の先生から、

演出の先生も初めての経験でしたので、仕方ありません。

ですが、私にとっては苦い思い出。

普通であれば、公演後も座組の人とは仲良く出来るのですが、この時の座組の方々とは、未だにお会いすることは殆どありません。

また別の団体でも同じようなことがありました。

私は演出と演技指導をお願いされましたので、指導をしていたところ、あまりに細かい演技指導でしたので、そこのプロデューサーの方が猛反発。その方の門下生の方々が全員、稽古をボイコットされたこともありました。

私もまだ若かったので、かなりとんがっていて、妥協は一切許さないという我を通したため、悲鳴が上がったんですね。

ボイコットされては仕事が出来ないので、もう何もかも放任し、稽古を静観したこともありました。

丁度、その時に、以前から私を知る方が、さいとうさんの久しぶりの厳しい稽古を観てみたいということで、見学に訪れましたが、あまりにも私が何も言わないので、その方は稽古途中、私に挨拶もしないで帰られたことも。

さいとうさんは演出の仕方がよっぽど変わったんだなと思ったどうかは定かではありませんが(笑)

それ以降、その方とは一度もお会いできていないんです。

幸いにして、ここの団体様とは和解も出来て、普通にお付き合いできていますが、当時の私はかなり細かく、そして強引だったので反発をされる方は本当に多かったのですね。

このような、ちょっと変わった経験もしたのですが、総じて一番感じたことは、

ということでした。

だから、どこへ行っても、私の考えは通用しなかった。

ならば自分の思う通りの環境を作ってみて、

関西でも演技を追究する演劇人を育てる

というのが10年前の誓いになったのでした。今もその思いは全く変わりません。

ですが、今まで通りの手法でやれば、間違になく人は離れる。

ですから、色々と試行錯誤をして、現在に至っております。

10年経っても、まだまだ思う環境は作れてはおりません。

しかし周りには素晴らしい人が集まった。

私のダメダメな部分を大幅に補って下さって、環境は整いつつある。そう感じております。

後は、人が集まること。私の活動時間は限られていますので焦りもありますが、それを少しずつ継承して下さる方も増えてきたように思います。

また、素晴らしい演劇をなさっている団体も沢山ございます。

私たちも、微力ではございますが少しでも演劇にご関心をお寄せいただける方を増やして参りたい。そのように思っております。

温かく見守っていただけましたら幸いです。

今も先輩方の創意を汲んでいると、私は思っている。

だからその先輩方との誓いでもあるのです。